人事部長のひとりごと・・・

職場の生産性を改善しないと日本はけっこうヤバいことになる


なぜ労働生産性が低いとダメなのか?

最近、さまざまなビジネス系のコラムで「日本の職場は外国に比べて生産性が低い」」という記事を目にすることが多くなった。

生産性とは「単位時間あたりどれくらいの付加価値を生み出したのか?」という指標であり、国の生産性という意味では「労働生産性」=「GDP」÷「労働投入量」で算出されるが、この計算式に基づけば、我が国はOECD諸国の中で万年最下位に甘んじている。

そこで「なぜ日本の生産性が低いのか?」という考察をこれから行ってゆくのだが、その前に生産性を上げてゆかねばならない主な理由について、簡単に持論を述べさせて頂く。

まず先の計算式の「GDP」であるが、「GDP」とは国内総生産のことで、国の経済力を表す指標であり、国際社会におけるGDPランクは周辺国との軍事的パワーバランスにも影響するため、特に厄介な隣国を抱える我が国にとって、GDPの低下は国防問題(および借金&社会保障問題)に直結する。

そこでどうやってGDPを維持してゆくか?という話だが、前述の計算式を「GDP」=「労働投入量」✕「労働生産性」に展開し、さらに「労働投入量」を「労働者人口」✕「総労働時間」に因数分解してみると、生産性問題の論点がよく見えてくる。

つまり「GDP」=「労働者人口」✕「総労働時間」✕「労働生産性」のうち、「労働力人口の減少」と働き方改革により「労働時間短縮」が急速に進む日本において、GDPを維持するために我々がコントロールできるパラメーターは「労働生産性」しか無いということだ。

余談だが、GDPの話題が出たついでに主要先進国のGDPが直近30年間でどのように変化したのか、IMFの統計を元に簡単にまとめてみた。

この30年でほとんどの先進国が自国のGDPを2〜3倍に伸ばしているのに対し、日本はわずか1.5倍にも満たない惨状となっている(これでは日本のサラリーマンの給与も上がらないワケだ・・・)。

注目すべきは中国のGDPのスケールが急激に拡大している点であり、また韓国も欧米先進国に比べて高い成長率を示している。

これらの国々の竹島や尖閣諸島などの領土問題を巡る強気の姿勢の背景には、きっと「もはや日本は恐れるに足りず」といった意識も働いているのかもしれない。

日本が急激な人口減少を迎えるにあたり、経済活動の生産性の改善は喫緊の課題であり、これは外国人の移民やAIの活用程度では解決できる問題ではないし、また自己満足な高品質・低価格な製品、女性活用の遅れ、無知な企業経営者など従来の日本社会の常識を根底から見直す必要がある・・といった刺激的で納得感のある一冊。

あなたの仕事はブルシット・ジョブかもしれない

アメリカの人類学者のデヴィッド・グレーバーが著書の中で「世の中にはブルシット・ジョブ(クソみたいな無意味で無駄な仕事)が溢れており、誰かの努力と創意工夫でもって生み出された貴重な付加価値の多くが、ブルシット・ジョブのために浪費されている」と述べている。

グレーバーによると、ブルシット・ジョブは次の5つに分類されるという。

5つのブルシット・ジョブ

  1. 誰かを偉そうにみせたり、偉そうな気分を味あわせるためだけの仕事
    ~ドアマン、受付嬢
  2. 雇い主のために、脅迫や詐欺まがいの方法で他人をそそのかすだけの仕事
    ~偉そうな顧問弁護士、小狡いテレアポ営業スタッフ
  3. 組織の欠陥から生じるエラーの尻拭いをし、取り繕うためだけにある仕事
    ~今の私か!?
  4. 誰の役にも立たない資料を作ったり、どうでもいいことを管理したりする仕事
    ~専門を持たない一般事務員、利用目的のわからない公共施設の管理人
  5. 他人に仕事を割り当て(丸投げ)し、新たなブルシット・ジョブを創り出す仕事
    ~無能な中間管理職

たしかに言われてみると、ブルシット・ジョブは「仕事の本質(何のために、何をするのか?)」よりもまずは「形式(社内の誰が、どのようにやるか)」を重んじる日本の職場に多く見られそうだ。

たとえば個々の重役の嗜好に合わせて会議の飲み物を多数用意しなければならない女性社員、前任者から引き継いだというだけで誰も使わない資料を何年も作り続けている古参の事務員、調整だのとりまとめだといって具体的な仕事内容が全く見えない中間管理職などなど。

しかし多くの日本の職場では「メンバーシップ雇用」が強く根付いており、職場の和を重んじ、先輩を立て、また自ら進んで雑務(要するにブルシット・ジョブ)を買ってでる人が「良い人」とされ、滅私奉公の忠勤の恩賞として、年功序列でもって役職に処遇されてきた。

その結果、今の日本の職場(特に官公庁)では、付加価値を生まない間接業務や事務作業がますます増えてゆき、年月の経過とともに「属人化」し、本人以外には誰も仕事の実態がわからない「聖域(ブラックボックス)」と化してしまっているのである。

DXとは職場の断捨離だ!

新型コロナウイルス感染拡大によって、日本の多くの職場においてテレワークが普及したが、それによって紙やハンコの非効率さがクローズアップされ、そこから「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」のムーブメントが加速し始めたのは最近のことだ。

しかし未だに多くの人は「DX=IT化」であると勘違いしており、紙をパソコンに置き換えればDX完了であると錯覚している経営者もいる。

ITデバイスはDX実現のためには不可欠だが、これらはあくまでもDXのツールのひとつに過ぎず、むしろシステムやデバイスを効果的に活用するために、既存のアナログでグレーな仕事のやり方を整理整頓し、体系化してロジカルに運用することこそDXのキモだ。

よってDX実現のためには、あるべきルールやシステムに合致しないやり方・・・すなわち業務プロセスに潜む「ブラックボックス(古参の聖域)」や「ボトルネック(ブルシット・ジョブ)」を徹底的にあぶり出し、排除してゆかねばならない。

すなわちDXとは職場における「断捨離」のようなものであるが、一方で「島国根性」のはびこる日本の職場では、断捨離を進めようとすると必ず既得権(自己本位にもとづく長年慣れた仕事のやり方)にしがみつく抵抗勢力からの反発は必至だ。

国をあげてDXを実現したエストニアとは違って、我が国では「日本の印章制度・文化を守る議員連盟」なる輩がハンコ廃止に抗議したり、またお役所では頑なに「和暦」や国産オフィスソフトの「一太郎」に固執したりと、政・官セクターがあまりにも酷すぎる。

これでは我々納税者の血税のかなりの部分が、政・官の既得権(ブルシット・ジョブ)を守るために使われているといっても過言ではないかもしれない・・・。

DXとは単なる職場のIT化のことではなく、社内にイノベーションを起こして企業そのものが生まれ変わり、さらなる革新を続けてゆくことに意義がある。本書ではDXを実現する社内環境の5つのポイント、DXを阻む日本企業特有の3つの呪縛、そしてこれらを克服するための5つの処方箋を実務的な視点で解説している。

職場の和などといった茶番をやっている場合ではない・・・

DXを推進し、職場の生産性を改善し、日本のGDPを維持して、我々の子供達に安心・安全で希望に満ちた日本の未来を残してゆくためには、我々現役世代が職場の軋轢を恐れずにブルシット・ジョブをあぶり出し、徹底的に排除してゆく必要がある。

一方で極論すれば「DXによる生産性改善」と「昭和チックな職場の和」はトレードオフの関係にあるので、「DXはやりたいが古参社員との間に波風を立てないようにうまく進めたい・・・」などという甘っちょろい考えでは、全て中途半端に終わってしまう。

これまでに私はいくつかの職場を転々としてきたが、結局のところ私がゆく先々で古参との軋轢を生んでしまうのは、嗅覚鋭く非効率の元凶を見抜き、ステークホルダーのためにあえて対立を恐れず、果敢に組織改革に邁進してゆこうとするからだ。

そして理解ある経営者の元では大きな成果をあげ、そうでない経営者からは追放されたりもしたが、私自身は50歳を過ぎたのでそろそろ丸くなって周囲とうまくやって・・・などという考えは毛頭なく、むしろ気力・体力のあるうちに起業して、少しでも多くの志ある経営者を全身全霊でサポートしたいと願っている。

なぜならば、もはや今の日本には、我々が思っている以上に「会社には無駄も必要・・・」とか「いずれ時が解決してくれる・・・」などといった悠長な茶番劇をやっている時間的な猶予はないからだ。

「職場の『いい人』は『無能』の代名詞である・・・」とはどこかの社長さんの言葉だったが、まさに社内の「何でも屋」は長期的なキャリア戦略としては最悪の選択であるだろう。人事戦略コンサルタントの著者が30代でどのようにキャリア形成を行い、いかにして40代で実り多い収穫期を迎えるか明快に指南した一冊。

まずはブルシットジョブと化している日本の教育改革だ!

日本は経済成長率のみならず賃金水準でもすでに先進国とはいえないレベルであり、また低賃金の国ゆえに外国人技能実習生も日本を避けて韓国やマレーシアを希望する人が増えているという(ちなみに日本の技能実習のブラックさは、SNSをとおして実習生の間で拡散されまくっているそうな・・・)。

さらに日本はこれから「重税社会」になってゆくので、若い人はますますやる気を失ってゆくだろうし、そんな日本の行く末を見越してか、最近では国外での就職を前提とした片道切符での海外留学が増えており、また日本人は新興国に「出稼ぎ」しなければならない時代になった・・・と嘆く有識者もいる。

生産性について長々と語ってきたが、日本が後進国として没落してしまわないためにはDXを貫徹する一方で、すでに文科省のブルシット・ジョブと化している学校教育を抜本的に見直し、また社会人のリカレント教育を積極的に推進して長らく根付いた閉鎖的で子供っぽい島国根性を払拭することだろう。

きちんとした知識があればおのずから正しいマインドが育つし、正しいマインドが育てば勇気をもって自身の行動をより適切なものに変えることができるからだ。

というワケで今年も52週間のうち、早くも4週目に突入したので、ブルシット・ジョブなんぞ放っておいて、自分が本来成すべきミッションに邁進するぞ!

リモートワークになって部下をどうマネジメントしてよいかわからない・・・と悩む管理職にぜひ読んで頂きたい一冊。特に今どきPPAP(パスワード付きZip→パスワード→暗号化→プロトコル)なんてやってたら、取引先からも敬遠されてしまうこと間違いなし・・・。だったらテンエックスでお勉強するしかないでしょ。

参考記事

日本にあふれる「無意味な労働」生産性が低いのはこれのせいだ~怒れるガバナンス(時事ドットコム)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021111900690&g=eco


書類は郵送、会議は対面、旧い自社ルールを押し付ける・・・みんなで仲良く苦しみたがる「事務作業大国・日本」からの脱却(LogmiBiz)

https://logmi.jp/business/articles/325484


脱ハンコ・ペーパーレスは、もはや国力の問題だ(東洋経済オンライン)

https://toyokeizai.net/articles/-/416805


日本を先進国とはいえないまで貧しくしたハンコ文化は今なお健在(現代ビジネス)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/88731


IT化遅い日本の欠点「紙と電子の共存」は愚策だ(東洋経済オンライン)

https://toyokeizai.net/articles/-/425090

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