増え続ける非正規雇用者 日本のワーキングプア問題

数字で見る日本の非正規労働者の実態


非正規労働者の種類

今回は非正規労働者の実態について、雇用制度や統計データを元に解説します。

一口に非正規労働者と言いますが、非正規労働者には雇用契約の有無や就労時間帯によって、いくつかの種類に分けられます。

 

雇用契約の非正規労働者

パートタイマー社員

パートタイマー社員とは、1日の所定労働時間(7~8時間)のうち、パートタイムで働く労働者のことをいいます。

一般的なパートタイマー社員は、無期雇用契約であり、賃金は時給制であることが多いです。

多くの職場ではパートとアルバイトという区別がありますが、これらについては法的な区別はなく、各職場において便宜上使い分けられているだけです。法的にはパートタイマーでひとくくりにされます。

 

契約社員

一定の雇用期間を定めて有期雇用される労働者のことをいい、原則として勤務時間や休日などの就業条件は正社員と同じです。

ただし有期雇用契約なので、賞与や退職金については正社員と異なるルールを設けている事業所が多いようです。

平成31年から、同一の事業所に通算して5年以上勤務している契約社員は、事業主に対して次回の契約更新から無期雇用へ転換するよう申し込むことができるようになります。(無期雇用転換ルール)

 

嘱託社員

法的には「嘱託社員」や「契約社員」という雇用形態は存在せず、両方とも「有期雇用労働者」というのが正解です。

一般的には定年退職後の社員が新たな就労条件で再雇用された場合に、「嘱託社員」という名称を用いて、それ以外の有期雇用契約の労働者(いわゆる契約社員)と区別している企業が多いようです。

「嘱託医」など外部の専門家に自社の業務の一部を委嘱する場合は、雇用契約ではなく請負契約もしくは委任契約となり、労使関係というより元請と下請の関係になるため、非正規労働者としては扱いません。
 

 

派遣契約の非正規労働者

人材派遣会社(派遣元)から派遣された労働者が、派遣先の企業の指揮命令下で労働することを派遣契約といいます。

労働者を雇用し、給与を支払うのは「派遣元」ですが、「派遣先」には「労働基準法」に基づいて労働者の労務管理を適切に行う義務があります。

「派遣元」は「派遣先」と「労働者派遣法」に基づいて人材派遣契約を結び、労働者を派遣先で就労させて事業収益を得ます。

かつては派遣元が派遣労働者を常用雇用している業態を「特定派遣業」、派遣労働者を登録制にしてある業態を「一般派遣業」といいましたが、現在は「派遣業」に一本化されました。
港湾運送業、建設業、警備業については、労働者派遣業を行うことは禁止されています。

派遣禁止3事業

 

 

 

非正規労働者の実態

非正規労働者はどれくらいいるのか?

全労働者に占める非正規労働者数

平成29年度の総務省の統計によると、全労働者およそ5,500万人のうち、非正規労働者はその4割弱(37%)の2,036万人になります。

 

 

非正規労働者数の推移

平成24年~平成29年まで(6年間)の正規・非正規労働者数の推移、非正規率、有効求人倍率をまとめました。

正規労働者は平成26年まで減少傾向にありましたが、有効求人倍率が1倍を超えたあたりから増加に転じます。一方の非正規労働者は一定のペースで増加傾向が続いています。

 

特に注目すべきは全労働者に占める非正規労働者の割合です。正規労働者が増加に転じた後も非正規率が上昇し続けており、多くの企業において非正規雇用のウエイトが増していることがわかります。

 

 

非正規労働者の内訳はどうなのか?

年齢別に見た非正規労働者

年齢別では35歳~65歳までの中高齢者が、非正規労働者全体の4分の3を占めています。

 

 

雇用形態別に見た非正規労働者

雇用形態別では、パート・アルバイトが全体の70%を占め、次に契約社員が14%、派遣労働者が7%と続きます。

雇用の身分が不安定と言われている契約労働者と派遣労働者と合わせると、全体の21%を占めます。

 

 

男女別に見た非正規労働者

<男性> 男性の場合、全労働者に占める非正規労働者の割合はわずか18%です。またその半数をパート・アルバイトが占めています。

 

 

<女性> 女性の場合は、全労働者の53%が非正規労働者になります。また非正規労働者に占めるパート・アルバイトの割合は80%です。

 

 

産業別に見た非正規労働者

これは2018年の総務省統計を元にした産業別の正規・非正規労働者の従事者数です。

注目すべきは「卸・小売業」「宿泊・飲食サービス業」「生活関連サービス・娯楽業」「教育・学習支援業」「医療・福祉業」において、非正規労働者の割合が非常に高くなっていることです。

非正規労働者の多い上記5つの業界は、違法な長時間残業や賃金未払、パワハラなどが問題になっているブラック企業の多い業界でもあります。

 

 

 

不本意非正規労働者

不本意非正規労働者とは?

非正規労働者のうち、自ら希望して非正規雇用を望む人と、本当は正規雇用を希望しているが、就業の機会に恵まれずに不本意ながら非正規雇用に甘んじている人が存在します。

不本意ながら非正規雇用での就業を余儀なくされている人を、「不本意非正規労働者」といいます。

平成29年の時点では「不本意非正規労働者」は非正規労働者全体の13%であり、正規労働者も含めた全労働者の中ではわずか5%です。

 

 

不本意非正規労働者の問題点

世代別の「不本意非正規労働者」と普通の非正規労働者の数です。特筆すべきは「25歳~34歳」世代における「不本意非正規労働者」の割合が突出して高い(20.8%)ことです。

「25~34歳」世代は、本人の就業意欲も企業の人材ニーズも高い世代ですが、その世代において「不本意非正規労働者」が最も多いということは、それだけ「雇用のミスマッチ」も多いということになります。

 

 

 

非正規労働者の国際比較

パート雇用者

海外の国々では非正規労働者数はどうなっているのでしょうか?そこでOECDの統計データを元に、欧米の先進国とパートタイマー雇用率を比較してみました。

日本のパートタイマーの雇用率は先進国中、イギリスに次いで2位と非常に高いことがわかります。また日本の場合はパートタイマーの大部分が女性ということは先に述べた通りです。

 

 

有期雇用契約者

有期雇用労働者の雇用率については、日本は先進国中では低くなっています。やはり終身雇用が根付いたお国柄なのか、有期雇用を望まない労働者が多いのかもしれません。

アメリカでは正規か非正規かといった就労条件は、労使間で決める問題であって国は関知しないというスタンスを採っているため、OECDには米国の非正規労働者に関する統計がありませんでした。

 

 

世の中には、企業の都合で非正規労働者が増加し、ワーキングプア問題を生んでいるという論調がありますが、統計を見る限りでは不本意非正規労働者は全労働者の5%に過ぎません。(ただし統計が正確かどうかはちょっと疑問ですが)

一方でキャリア形成に非常に大切な「24~35歳」世代において、不本意非正規労働者の割合が大きいことは、国内において若い世代が理想的な仕事に就くことが難しいということを意味しています。

そして女性の非正規労働者比率の異常な高さです。

日本の伝統的な家父長制の名残りが、就業環境において未だ色濃く残っているためと思われますが、早急に「オジサン至上社会」を変えてゆかないと、女性活躍社会などいつまで経っても訪れないでしょう。

END

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