法人の違いを説明できますか?
法人とはなんだろうか?
みなさんの就職先も概ね「法人」だと思います。「法人」とは組織に人格(「法人格」)を持たせたものです。
会社に「法人格」を持たせるには、法務局へ行って「法人設立登記」を行うことになりますが、これによって会社名で契約を結んだり、従業員を雇用したりできるようになります。
今回は法人とその代表格である株式会社のしくみについて解説してゆきます。
会社が法人化されることで、従業員が業務上の行為について、会社が責任を持つことになります。
営利法人と非営利法人
法人は目的によって大まかに「営利法人」と「非営利法人」の2つに分類されます。「営利法人」の典型例が「株式会社」であり、営利を追求するために設立された法人です。「非営利法人」とは社会貢献や慈善事業のような、営利以外の目的で設立する法人です。
銀行と信用金庫はどちらも金融機関ですが、銀行は営利法人で、信用金庫は非営利法人ということをご存知でしたか?銀行は営利のために企業に融資(投資)しますが、信用金庫は地場企業の育成のために融資(支援)します。ゆえに信用金庫は貸出先の範囲が広く、焦げ付きリスクが高いため、金利を高めに設定する傾向があります。
営利法人の種類
株式会社
「株式会社」は株式市場で「株主(投資家)」を募集し、「株式(株券)」を購入してもらうことで資金調達(資本金)を行い、会社を設立します。
そして株主は経営者に経営を委任し、経営者は従業員を雇用して会社を経営し、株主に対して出資金(保有株式数)に応じた利益分配(配当)を行います。
資本主義社会においては株式会社を所有しているのは株主(オーナー)です。
合同会社(LLC)
「合同会社」とは、2006年の会社法改正にともない、「有限会社」を廃止した代わりに新設された法人形態です。
株式会社との大きな違いは、株式会社の株主は持ち株数に応じて、株主総会の議決権や配当額が決まりますが、合同会社は出資者の間で自由にルールを決めることができます。
その他
他にも「合資会社」や「合名会社」などの法人形態がありますが、家族経営の小規模事業者がほとんどなので、ここでは説明を割愛させて頂きます。
非営利法人の種類
NPO法人
「NPO法人」とは「特定非営利活動法人」のことで、特定の20分野において、非営利目的で活動する法人をいいます。
公益性の強い事業を行うため、営利法人に比べて行政機関の支援や、補助金や寄付金などを集めやすいというメリットがあります。
<NPO法人 特定20分野>
1.保健医療・福祉の増進
2.社会教育の推進
3.まちづくりの推進
4.観光の振興
5.農山漁村や山間地域の振興
6.学術・文化・芸術・スポーツの振興
7.環境保全
8.災害救援
9.地域安全
10.人権擁護・平和推進
11.国際協力
12.男女共同参画社会の形成促進
13.こどもの健全育成
14.情報化社会の発展
15.科学技術の振興
16.経済活動の活性化
17.職業能力の開発または雇用機会の拡充支援
18.消費者の保護
19.前述の活動への連絡助言や支援
20.前述の活動に準ずる条例で定める活動
社団法人
〇〇組合や〇〇協会のように、特定の目的のために人が集まって設立された法人で、非営利目的なので、出資者に対して利益の配当を行いません。
社団法人には「一般社団法人」と「公益社団法人」がありますが、前者は公益性が求められない代わりに利益に対して課税されます。
後者はその逆で利益の一部が不課税となります。
財団法人
〇〇基金や〇〇財団のように、特定の目的のために集められた資金を運用するために設立された法人です。
財団法人にも「一般財団法人」と「公益財団法人」があり、公益性の有無や利益に対する課税の取り扱いは社団法人と同じです。
会社法と定款
会社法
「会社法」とは会社の設立、株式の発行や募集方法、株主総会の運営や取締役の選任・解任など、会社経営の根幹となるルールを定めた法律です。
もとは「商法(商取引に関するルールを定めた法律)」の一部でしたが、平成17年に商法からスピンアウトし、会社法として独立しました。
定款(ていかん)
「定款」には会社の正式名称、所在地、営業内容など、会社の設立目的や事業概要が記載されており、法人設立登記を行う際に法務局に提出します。
定款とは自動車の車検証みたいなものです。
株式会社のしくみ
株主と株主総会
株主
「株主」とは株式会社のオーナーです。会社の最高意思決定機関である「株主総会」で、取締役の選任や解任、利益の配当額の決定、定款の変更などについて議決します。
株主総会には毎年、決算終了後に開催される「定時株主総会」と、臨時に開催される「臨時株主総会」があります。
株主総会
「定時株主総会」では、取締役から「決算報告(前年度の業績報告)」が行われ、業績に応じて株主に対する「配当金(利益の分配)」を決定します。
税法上では、決算月から2か月以内に税務申告を行わねばなりません。そこで3月決算の会社では、4月中に決算を結了(けつりょう)し、5月に株主総会を開催して配当額を確定し、5月末に税務申告を行うことになります。
日本の多くの企業では、株主と経営者が同一ですが、欧米では「所有と経営の分離」が進んでいて、株主と経営者は別です。欧米では株主は「投資のプロ」として、また経営者は「経営のプロ」として、それぞれ役割分担しています。
上場企業
証券取引所を通して、誰でも自由に株式を売買できる会社のことを「上場(じょうじょう)企業」といいます。上場企業のメリットは、株式市場から大量の資金調達ができることです。
非上場企業の場合は、自社の株式を株式市場で自由に売買できませんので、資金調達はもっぱら金融機関からの借入に頼ることになります。非上場企業は資金調達力では上場企業に劣りますが、オーナー一族以外が、株式を買い占めて会社を乗っ取ったり、「総会屋」に悩まされるリスクがありません。
「総会屋」とは、経営者のスキャンダルをネタに、株主総会を混乱させ、自分達になんらかの便宜を図るように要求する悪質な株主です。
株主総会を穏便に済まそうと、総会屋に対して何らかの利益供与を図った場合は、経営者も総会屋も背任罪で処罰さられます。
取締役と取締役会
「取締役」とは経営者です。会社との関係は「雇用契約」ではなく「委任契約」であり、2年の任期ごとに株主総会で選任されます(再任されなければ解任となります)。
株主総会の下に「取締役会」を設置している会社では、取締役を3名以上選任しなければならず、取締役はお互いの仕事をチェックする義務があります。取締役は取締役会を開催し、取締役の中から「代表取締役」を選任し、株主総会の招集や決算書の承認を決議します。
なお社長や専務といった肩書は、社内での便宜上、設けられた役職名であって、法律的には規定されていません。
「重役出勤」という言葉がありますが、取締役は「委任契約」なので、成果さえ出せば、出勤しようがしまいが本人の自由です。
一方、「雇用契約」ではないということは、労働者のような解雇制限や失業保険などの身分や経済的な保障はありません。
監査役
「監査役」とは取締役の仕事を監視するための役職で、取締役や従業員以外の者から1名以上を、株主総会でもって選任します。
任期は4年ですが、日本の多くの企業においては、経営者の同族が監査役に就任するケースが多いため、公正なチェック機能が働きづらいという問題がありました。
そこで大企業では「監査役会(3名以上)」を設置し、「社外監査役」(監査役会の過半数)を設置するケースが増えています。
執行役員
「執行役員」とは会社法で規定された役職ではなく、あくまでも社内での呼称であって、基本的に会社との関係は「雇用契約」になります。
「役員」という名称ですが、就業規則に従って勤務し、労働基準法によって労働者の権利が守られています。
取締役の給与(役員報酬)は株主総会で支給総額を決め、支給総額の範囲内で代表取締役が役員ごとの年俸を決めるのが一般的です。
一方、執行役員は就業規則の給与規定に則り、基本給プラス役職手当で給与計算を行っている企業が多いです。
会社を知ることで仕事の視点が変わる
組織とは会社の目的を実現するための手段ですので、勤め先の法人形態と運営の目的を知ることで、自分のすべき仕事がよく見えてきます。
漠然と通勤している人と、自分が職場で果たすべき役割をしっかり認識して、日々仕事に取り組んでいる人とでは、数年後に大きな実力の差がついていることでしょう。
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参考
人事部長オススメの新社会人が取るべき検定資格TOP4
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新社会人が検定資格を狙うべき理由
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そこで「資格を取りましょう!」と言いたいところですが、筆者は新社会人には難関国家資格はオススメしません。新入社員は本業で覚えなければならないことがたくさんあるので受験勉強の時間を捻出するのが大変な上に、年一回の試験日に急な仕事が入ってその年の受験そのものをキャンセルしなければならなくなるリスクが高いからです。
「じゃあどうすればいいの?」という人のために、筆者は検定資格を勧めています。検定資格であれば年に2~3回受験できますし、1~2ヶ月くらいの学習期間で短期合格も充分アリなので達成感もあります。
ここでは上場準備企業の現役人事部長であり、自身も20種類以上の検定資格を取得してきた筆者が、今後のキャリアアップのために新入社員が絶対に取得しておきたい4つの検定資格をご紹介します。
人事部長オススメの新社会人が狙うべき検定資格TOP4!
フィナンシャル・プランニング技能士3級
税金、金利、年金、保険など、社会を生きてゆく上で必須であるお金に関する知識を網羅的に学ぶことができます。自己責任の時代においては老後資金の形成に投資は不可欠ですが、運用リスク回避のポイントは若い頃から長期運用することです。またお金の基礎知識さえあればうっかりリボルビング払いをしてカード破産してしまうリスクも回避できます。
ビジネス実務法務検定3級
世の中は売り手と買い手、使用者と労働者など、他人同士の利害関係で成り立っているといっても過言ではありません。そして利害関係にはコンフリクトがつきものですが、それを解決するためのルールこそ法律なのです。そして法律は「知っている者に味方する」とも言われます。法律の基本を知ることで詐欺やハラスメントから身を守ることができます。
日商簿記検定3級
企業の経営活動は全て財務諸表に集約されます、つまり簿記の知識さえあれば会社がどのような仕組みで運営されているのか知ることができ、営業職であろうと事務職であろうと会社から評価されやすい仕事をすることができるようになります。さらに簿記の知識があると株式投資や家計管理にも応用でき、堅実に資産形成することができます。
ITパスポート試験
今やIT知識はビジネスに必須であり、IT知識の有無がハイパフォーマーと情弱ワープアの分かれ道となることは間違いありません。ITパスポート試験はパソコンに限らず、ネットワークや情報セキュリティなどの仕組みもしっかり学ぶことができますので、業務システムの運用だけでなく、ネット副業を始める時も役立つこと間違いありません。
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