新入社員の教科書

新入社員の教科書㉔ 決算書は事実を語る(PL編)


損益計算書のおさらい

この回では前回に引き続いて決算書の解説をします。今回は損益計算書です。

損益計算書01

損益計算書は会社の1年間の「売上高」と、売上高を得るために使った「費用」、そしてその結果、得られた「利益」の額を表す決算書でした。

 

 

損益計算書(PL)の使い方

損益計算書(報告式)

実際に税務署や金融機関に損益計算書を提出する際は、このような「報告式」損益計算書を用います。(解りやすいように枠線で囲って色をつけています)

報告式損益計算書

売上高から売上原価を引いて「売上総利益」→「営業利益」→「経常利益」→「特別利益」のように、段階的に収益と費用を加減しながら、税引後当期純利益を計算します。

 

営業収支の部

売上総利益

「営業収支」とは、営業活動によって得られた「売上高」と、その収益を得るためにかかった「費用」およびその結果得られた「利益(損失)」のことです。

この一番最初の利益を「売上総利益」または「粗利益」(あらりえき・そりえき)と言います。

「売上総利益(粗利益)」=「売上高」-「売上原価」

 
営業利益

「売上総利益」から「販売費および一般管理費」を差し引くと、「営業利益」になります。

「販売費および一般管理費」とは、人件費、広告宣伝費、店舗の賃借料、水道光熱費、その他一般経費(事務用品など)をいいます。

「営業利益」=「売上総利益」ー「販売費および一般管理費」

営業利益は本業で得られる利益、つまり「商売の実力」です。
 
 

経常収支の部

「経常収支」とは、会社の定期預金の受取利息や子会社の株式配当金、および借入金の支払利息など、本業の商売以外から生じた収支をいいます。

「経常利益」=「営業利益」+「経常収益」ー「経常支出」

借金の多い会社は経常支出(支払利息)が大きく、場合によっては営業利益を食い潰してしまうケースもあります。
 
 

特別収支の部

「特別収支」は「経常外収支」ともいいます。

例えば自社の店舗が火災で全焼し(特別損失)、その保険金が支払われた(特別収入)など、経常外(想定外)の収益や支出のことをいいます。

「特別利益」=「経常利益」+「特別収益」-「特別支出」

 
 
 

損益計算書の特徴的なルール

発生主義

貸借対照表が「実現主義」を採用するのに対して、損益計算書は「発生主義」です。

「発生主義」とは、売上代金が入金になった日ではなく、売上が発生した日に売上高を計上することです。(経費も支払日ではなく、経費が発生した日に計上します)

これは取引先に入金や支払の時期をずらしてもらうことで、売上や費用の計上時期を調整し、決算日をまたいで利益操作することを防ぐためです。

 

期間損益の原則

「期間損益の原則」とは、費用が発生した原因に基づいて、費用を適正に期間配分しましょうという意味です。

夏・冬のボーナスを支給する場合、支給月の6月と12月にまとめて賞与費を計上するのではなく、それぞれの考課期間に応じて均等配分することになります。

賞与の期間損益配分
たとえば夏のボーナスであれば、1月から6月の査定期間によって支給額が決まりますので、賞与費28万円を1月から6月で均等配分します。(端数は最終月で調整)

賞与の支給額は夏期と冬期の人事評価だけで決定するワケではありません

 

損益計算書の読み方

多くの会計セミナーでは、会計仕訳の解説から入るケースが圧倒的に多いと思います。しかし決算書を活用するために、会計仕訳の知識は必要ありません。

貸借対照表も損益計算書も「何かと比較」して、自社の数字が「多いか、少ないか」を判断するのが正しい使い方です。

 

事業計画書との比較

「事業計画書」とは予算書のことです。

予算と実績を比較することで、予算を到達できたのか、それとも未達だったのか、そしてその乖離(かいり)はどれくらいだったのか…という事を把握できます。

経営管理の基本は「計画と実績の乖離」を把握し、その要因を特定して、有効な対策を早期に講じることです。

損益計算書の全項目をチェックする必要はありません。はじめは「売上高」「売上総利益高」「販売費および一般管理費」「営業利益高」の4つで充分です

 
 

過去3年間の比較

業績のトレンド(良し悪し)を把握できたら、過去3年間の損益計算書を比較してみます。

一般的に事業計画書は前期の実績をベースに予算編成を行います。

よって計画と実績が大きく乖離していた場合、今期の業績になにか大きなイレギュラー(異常値)が生じたと考えるのが自然です。

そこで過去3年間の損益計算書を比較することで、イレギュラーを特定することができます。

比較のポイントは大項目(売上総利益、営業利益など)を比較し、乖離があった項目を見つけたら、中項目→小項目へと掘り下げて、要因を特定してゆきます。

 
 

同業他社との比較(百分率換算)

可能であれば、官庁の発表している統計データをもとに、業界平均や似たような経営規模の同業他社と、自社の業績を比較してみましょう。

ただし数値そのものを直接比較しても、良し悪しの判断が難しいケースが多いです。そこで主な指標をパーセンテージに置き換え(百分率換算)して比較してみましょう。

「売上高前年対比」=「今期売上高」÷「前期売上高」×100 (前年に対する売上高の伸びを比較する)

「営業利益率」=「営業利益高」÷「売上高」×100 (売上高に占める営業利益高の割合=営業効率を比較する)

 
 
 

補講 減価償却の解説

 

CTと診療放射線技師

会計ビギナーの多くが苦手としているのが減価償却の処理です。そこで決算書パートのおまけとして、減価償却についてわかりやすく解説してみたいと思います。

減価償却は、貸借対照表と損益計算書の両方から考えてみると理屈がよく解ります。

 

貸借対照表(資産)

例えば新車の営業車を200万円で購入しました。年度末の決算で、貸借対照表の固定資産が200万円増えます。

それから10年の歳月が流れました。でも貸借対照表の固定資産「営業車」の帳簿価格は200万円のままです…って、ちょっとおかしいですよね。

10年経った営業車の資産価値が、新車で購入した時と同じであるはずがありません。よって税法で定められた「法定耐用年数表」に基づいて、1年ごとに営業車の資産価値を減価してゆく必要があります。

 

減価償却

 

損益計算書(費用)

資産価値を減価する場合、減らした資産は費用として処理(償却)します。

営業車の法定耐用年数は4年ですので、先の営業車であれば、毎年50万円を4年かけて償却してゆきます。

それに相対して資産価値も毎年50万円ずつ減少し、4年目の決算が終わると営業車の資産価値はゼロになります。

(参考)国税庁HP 法定耐用年数表

(牛や馬などの家畜にも耐用年数が設定されていてちょっと驚きです…)

 

なお一般的な費用は、費用が発生すると必ず支出(現預金、借入金)が発生しますが、減価償却費は自前の資産が減ってゆくだけなので、支出を伴いません。

実際にはメーカーの定める物理的な耐用年数よりも、法定耐用年数の方が短く設定されています。医療機関の検査機器のように、収益を生み出す機械設備であれば、減価償却が終わった後も機器を使い続けることで利益率がアップします。

10万円以下の少額資産は減価償却せずに、備品費などの費目で一括処理します。

 
 
 

決算書を理解するメリット

 

経理マン

2回に分けて決算書の使い方について解説しましたが、決算書を使いこなすことで、数字=事実ベースで物事を客観的に判断できるようになります。

また販売強化にせよ、コスト削減にせよ、精神論に頼らずに、科学的なアプローチを行い、合理的な施策を立案できますので、仕事の成果もあげやすくなります。

経理部門でない限りは本格的な会計知識は必要ありませんが、ぜひこの機会に会計の基礎を学んでおくことをおすすめします。会計知識の有無は、職種を問わずにあなたのキャリア形成の大きな武器となります。

END

 

参考

人事部長オススメの新社会人が取るべき検定資格TOP4
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新社会人が検定資格を狙うべき理由

世の中を賢く生きてゆくためにはお金と法律の知識は必須です。また仕事で成果をあげるためには、会社が利益を生み出す仕組みを理解するがあります。さらに今のご時世は営業だろうが事務だろうが、ITを使いこなせない人は仕事のスタートラインにすら立つことはできません。

そこで「資格を取りましょう!」と言いたいところですが、筆者は新社会人には難関国家資格はオススメしません。新入社員は本業で覚えなければならないことがたくさんあるので受験勉強の時間を捻出するのが大変な上に、年一回の試験日に急な仕事が入ってその年の受験そのものをキャンセルしなければならなくなるリスクが高いからです。

「じゃあどうすればいいの?」という人のために、筆者は検定資格を勧めています。検定資格であれば年に2~3回受験できますし、1~2ヶ月くらいの学習期間で短期合格も充分アリなので達成感もあります。

ここでは上場準備企業の現役人事部長であり、自身も20種類以上の検定資格を取得してきた筆者が、今後のキャリアアップのために新入社員が絶対に取得しておきたい4つの検定資格をご紹介します。

人事部長オススメの新社会人が狙うべき検定資格TOP4!

フィナンシャル・プランニング技能士3級

税金、金利、年金、保険など、社会を生きてゆく上で必須であるお金に関する知識を網羅的に学ぶことができます。自己責任の時代においては老後資金の形成に投資は不可欠ですが、運用リスク回避のポイントは若い頃から長期運用することです。またお金の基礎知識さえあればうっかりリボルビング払いをしてカード破産してしまうリスクも回避できます。

ビジネス実務法務検定3級

世の中は売り手と買い手、使用者と労働者など、他人同士の利害関係で成り立っているといっても過言ではありません。そして利害関係にはコンフリクトがつきものですが、それを解決するためのルールこそ法律なのです。そして法律は「知っている者に味方する」とも言われます。法律の基本を知ることで詐欺やハラスメントから身を守ることができます。

日商簿記検定3級

企業の経営活動は全て財務諸表に集約されます、つまり簿記の知識さえあれば会社がどのような仕組みで運営されているのか知ることができ、営業職であろうと事務職であろうと会社から評価されやすい仕事をすることができるようになります。さらに簿記の知識があると株式投資や家計管理にも応用でき、堅実に資産形成することができます。

ITパスポート試験

今やIT知識はビジネスに必須であり、IT知識の有無がハイパフォーマーと情弱ワープアの分かれ道となることは間違いありません。ITパスポート試験はパソコンに限らず、ネットワークや情報セキュリティなどの仕組みもしっかり学ぶことができますので、業務システムの運用だけでなく、ネット副業を始める時も役立つこと間違いありません。

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