新入社員の教科書

新入社員の教科書㉕ 赤字決算より怖い資金ショート


赤字決算より怖い資金ショート

 

倒産企業と男性社長

会社が倒産すると「資金がショートして事業を停止し…」などとニュースで報道されますが、「資金がショート」するとは、会社から「資金が無くなる」という意味です。

資金は会社にとって血液のようなものであり、資金が循環している限り、赤字経営であっても会社を存続できますが、資金の流れが止まると会社は倒産します。

今回は会社の経営で最も重要な「資金繰り」について解説します。

 

 

会社は黒字でも倒産する

 

請求書

現代は請求書払いが主流

「資金繰り」の前に、現在の企業間取引(BtoB)の代金決済方法である「請求書払い」について簡単に説明します。

「請求書払い」とは、売り手が月末でいったん売上を締め、「翌月末日までに支払って下さい」と買い手に請求書を送付する方法です。(「月末締め・翌月末払い」など)

納品の都度、代金を支払う手間が省けるので、多くの企業では、取引契約を結ぶ際に、請求書払いにすることが多いのです。

架空請求や売上金横領などの内部不正防止ため、請求書を発行できるのは経理部門のみとしている企業が多いです。

 
 

勘定合って銭足らず…

請求書払いの場合、売上が立っても代金が入金されるのは翌月末です。つまり当月の業績が黒字であっても、会社の金庫にお金が入ってくるのは1か月先になります。

この状態を「勘定合って銭足らず」といいますが、この理屈をきちんと理解することが、資金ショートを防止する上でとても重要になります。

 

資金ショートはどのようにして起こる?

「勘定合って銭足らず」を資金繰り表から見てみましょう。「資金繰り表」とは、経理部門が作成している、会社の入金と支払の予定表です。

資金繰り表1

仮に月初に7,000千円あったとします。そして先月は10,000千円の売り上げがあったので、当月はトータルで17,000千円の支払余力がある計算になります。

しかし10,000千円が入金するのは月末ですから、その前に経費や給料を支払うことによって、20日の時点で資金が資金ショートしてしまいます。

 

 

資金ショートしたら会社はどうなる?

 

会社をたたむ社長

商品や原料の供給停止

商品や原料の仕入先に対して支払いができなくなると、商品や原料を供給してもらえなくなるので、営業を継続できなくなります。

通常はいきなり商品や原料の供給を止められるようなことはなく、一回あたりの取引限度額を設定され、都度払いの条件で仕入れを継続できるケースが多いです。

 

事務所の立ち退き

貸し事務所や貸し店舗であれば、家賃が支払不能になると退去しなければならないので、事業の継続は不可能となります。

家賃の滞納であれば、貸主が支払いを猶予してくれる場合もありますが、事業停止による支払い不能の場合は、即時退去するように不動産賃貸借契約に定めてあることが一般的です。

 

業務委託の解除

清掃や警備、受付、調理など、業務を外部業者に委託している場合は、委託料が支払えなくなった時点で、常駐スタッフを引き揚げられてしまいます。

医療機関など、委託業者に認定制度(医療サービスマーク認定)がある場合は、代替え業者の手配は容易ではありません。

 

リース契約の解除

工場や店舗の設備機械や事務所の複合機など、高額な機器をリース契約で調達している会社は多いと思いますが、リース料が支払えなくなるとリース物件を引き揚げられてしまいます。

不動産賃借と同様に、リース料の延滞であれば、リース会社に支払を猶予してもらうことが可能ですが、事業停止による支払不能の場合は、即時解約となるケースが一般的です。

支払い猶予の場合は、延滞した部分について延滞利息がかかります。

 
 

借入金の一括返済

多くの企業は設備資金や運転資金を、金融機関からの借り入れでまかなっていますが、支払い不能になると、金融機関から一括返済を迫られることになります。

返済資金がなければ、借入時にあらかじめ設定しておいた抵当権を実行し、会社の社屋や土地などの資産を競売(けいばい)にかけて借入金の弁済に充てます。

ただし金融機関の場合は、返済が遅延した段階で、まず返済計画の見直し(リスケジュール)を行い、事業再建を目指すことになります。

抵当権とは借金の担保で、抵当権を設定すると不動産登記簿にその旨が記載されます。

 
 

給与の遅配(ちはい)

資金ショートすると給与の支払いが遅れます。このことを「遅配(ちはい)」といいますが、遅配は経営が末期であるサインとみなされています。

給与の遅配が世間に知れ渡ると、信用調査会社が契約先企業に警報を発しますので、その中に自社の取引先があれば、取引停止や契約解除など、債権保全に動きます。

ただし従業員の未払い給与については、前述の債権者に優先して支払いされることになっています。(民法第308条 給与の先取特権)

 

 

手形の取り扱いは慎重に…

 

落ち込む会社員達

取引先への支払いに「手形(支払手形)」を利用している場合は、手形の取り扱いに充分注意すべきです。

「支払手形」は代金支払いの約束証書のようなもので、金融機関に当座預金を開設できるような、信用ある企業でなければ利用できません。

支払手形には、支払金額と支払期日が記載されており、手形を受け取った取引先は、期日までに金融機関に手形を持ち込んで取り立て(換金)します。

ところが自社が資金を用意できず、もし取引先が期日に換金できなかった場合は「手形の不渡り」といい、不渡り2回で自社の当座預金は凍結されてしまいます。

当座預金を凍結されると、得意先や取引先とお金のやりとりができなくなりますので、会社は事実上の倒産となります。

 

 

資金ショートしないために

 

外勤の女性社員

資金繰り表の活用

資金繰り表は貸借対照表や損益計算書のような作成ルールはありませんので、自社にとって使いやすい様式のもので構いません。

資金繰り表2

資金繰り表の構成は「前月繰越」+「当月入金」-「当月出金」=「翌月繰越」となっており、月末に資金が残っていればOKです。

ただし月間トータルで資金が足りていても、入出金のタイミングによって、月の半ばで資金ショートする恐れもあるため、カレンダー形式にしてチェックします。

入金日と支払日を5日刻みに設定しておけば、支払いや入金確認の作業を合理化できますし、毎日資金繰り表をチェックする必要もありません。

 

与信管理の実施

与信管理とは、得意先に対して信用調査を行って支払い能力をチェックし、必要に応じて取引限度額や支払い条件を設定したり見直したりすることです。

請求書払いの場合、商品を販売してから代金が入金されるまで1~2か月程度のタイムラグがあるので、代金回収前に得意先が倒産するリスクがあります。

そこで信用調査会社に依頼して、得意先の業績を調べ、もし経営に危険な兆候がみられたら、取引限度額を引き下げたり、支払い期日を前倒ししてリスクを軽減します。

 

職場でできること

資金繰り表や与信管理は主に経理部門の管理職クラスの仕事ですが、一般社員にも資金繰り改善のために協力できることがあります。

営業担当者であれば、得意先と交渉して売上代金の入金をなるべく早くしてもらいましょう。また得意先を訪問した時に、社内の様子に気を配ることも大切です。

購買担当者は、代金の支払い期間を遅くしてもらうように、取引先と交渉しましょう。営業部門と連携して「回収は早く、支払いは遅く」することがセオリーです。

またムダな在庫を抱えないことも資金繰り改善には有効です。在庫は売れなければお金になりませんが、仕入代金の支払いは待ってはくれません。

 

 

経営はマラソン、資金繰りはボクシング

 

ボクシンググローブをはめた女性社員

会社の経営は山あり谷ありです。業績が良い時もあれば、悪い時もあります。いうなれば経営は「フルマラソン」競技のようなものです。ゆえに目先の業績に一喜一憂するのではなく、長期的な視点でもって、腰を据えて経営にあたることが大切です。

一方で資金繰りは、どれだけ業績が好調であっても、たった一回のミスで会社が倒産することもあります。ボクシングも11ラウンドまで優勢にゲームを支配していても、最終ラウンドでまさかのKO負けを喫することがあります。

ゆえに「経営はマラソン、資金繰りはボクシング」と言われます。

みなさんの担当業務には資金繰りが直接関係することはあまりないと思いますが、会社の経営にとっては非常に重要なことですので、基本知識だけは理解しておきましょう。

END

 

参考

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