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年末調整から学ぶ税のしくみ

 

納税する男性社員

年末調整を通じて税金のしくみを学ぶ

みなさんの給与から天引きされている税金は「源泉所得税」と「個人住民税」です。

源泉所得税は国税で、個人住民税は地方税になります。(※新入社員の個人住民税は入社2年目から天引きされます)

そしてこれらの税金は、「年末調整」によって税額が決まります。

そこで今回は「年末調整」事務の流れを通じて、2つの税金のしくみについて解説します。(以後の文章は源泉所得税を「源泉税」、個人住民税を「住民税」の略称で表記します)

 

課税の原則

税金は何に対して課税するのか?ということから話を始めます。課税の原則は会社も個人も、概ね一緒ですので、会社の収益を例に説明します。

損益計算書

これは会社の決算書(損益計算書)を簡略化した図です。

右側に売上高、そして左側に売上を得るためにかかった費用(必要経費)と、それによって得られた利益が表示されています。

税金は売上高ではなくて、売上高から費用を差し引いて残った利益に対して課税します。

税金は収益をあげるために要した必要経費には課税しないのが原則です。

サラリーマンの税金も、給与の総支給額に対して課税するのではなく、生活費などの必要経費相当額を差し引いて、残った利益に対して課税することになります。

 

 

年末調整事務のながれ

 

給与明細書

年末調整とは?

みなさんの給与から毎月天引きされている源泉税ですが、実はこれは「概算額」です。

源泉税は毎月の給与から概算額を控除しておき、年末に正式な税額を計算して概算額と確定額の差額を調整(追徴or還付)し、年税額を確定する仕組みになっています。

なぜ税額を年末に確定するのか?というと、年末にならないと1年間にかかった経費の額が確定しないからです。

これは年収(左端)から段階的に必要経費を差し引き、年税額(右端)を算出してゆく年末調整のプロセスを図にしたものです。

年末調整01

 

給与所得控除後の金額の計算

会社の事業年度(4月~翌3月)と異なり、源泉税や個人住民税は毎年1月~12月に支払われた給与と賞与の総支給額をもとに年税額を計算します。

年末調整02

12月の給与計算が完了すると1年間の総支給額が確定しますので、国税庁の「年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額の表」でもって「給与所得控除後の金額」に換算します。

「給与所得控除後の金額」とは1年間の総支給額から、経費相当額を差し引いた後の金額のことです
 
 

課税所得金額の計算

年末調整の時期になると、総務課から社員全員に年末調整の申告書(緑色の2枚組)が配布されます。

そして社員はそれらの申告書に、被扶養配偶者の年収や保険会社から送られてきた保険料支払証明の額を転記して、総務課に提出します。

年末調整03

総務課の給与担当者は、社員から提出された年末調整の申告書をもとに、「給与所得控除後の金額」から、社会保険料(雇用保険含む)や生命保険料などを差し引きます。

さらに基礎控除(本人分の経費)、配偶者控除、扶養控除(扶養に入っている子供や老親)、障がい者控除などの額を差し引くと、「課税所得金額」が算出されます。

 

具体的な控除方法については、国税庁の「年末調整の手引き」の中に詳細な計算方法が記載されています
 
 

算出所得税額の計算

前のプロセスまでは、税率をかける基となる「課税所得金額」の計算でした。ここからは税額そのものを計算してゆきます。

年末調整04

「課税所得額」に対し、「算出所得税額表」に定められた税率(課税所得額によって5~33%の幅がある)を乗じて所得税額を計算します。

 

年調所得税額の計算

住宅ローンを組んで最初の年末調整を行うと、税務署から住宅ローンの減税申告書がローン期間分まとめて送られてきます。

したがって2年目以降は、該当する年度の住宅ローン減税申告書を、他の年末調整の申告書と一緒に総務課へ提出することになります。

年末調整05

「所得税額」から住宅ローン減税分を控除して、「年調所得税額を計算します。

 

年調年税額と過不足調整

最後に「年調所得税額」に102.1%を乗じて「年調年税額」を計算すると、その年の源泉税が確定します。

ちなみにこの「2.1%」分は、東北震災復興の財源に充てるための「復興特別所得税」です。

年末調整06

最後に年調年税額から、1年間に控除した概算源泉税を差し引いて算出された過不足額を、12月の給与で加減(追徴or還付)して年末調整は完了です。

 

 

源泉所得税

 

税務署

源泉所得税とは?

一口に所得税と言っても、課税する所得には事業所得、退職所得、利子所得、配当所得、不動産所得等、多くの種類があり、サラリーマンの所得は「給与所得」といいます。

一般的に自営業者は毎年自分で納税額の計算を行って確定申告をしますが、サラリーマンの場合は会社が代わりに年末調整を行い、納税してくれます。

このように会社が個々の従業員から所得税を徴収し、一括して納税することを「源泉徴収」というので、サラリーマンの所得税は「源泉所得税」と呼ばれているのです。

 

徴収と納税の方法

毎月の給与から天引きされている源泉税(概算額)は、国税庁の「源泉徴収税額表」によって細かく金額が決められています。

源泉税の課税&徴収フロー

これは源泉税の課税と徴税をフローチャートにしたものです。

あらかじめ毎月の給与と賞与から概算額を控除して納税しておき、年末調整の際に1年間の給与所得と経費を遡って計算して税額を確定し、概算額と相殺します。

 

 

個人住民税

 

市役所

個人住民税とは?

住民税とは住所地の市町村に収める税金で、個人だけではなく、法人にも課税されるため、「個人住民税」と「法人住民税」の2つがあります。

 

課税方法

住民税の額は「均等割」と「所得割」から構成されており、「均等割」は住民に均等に課税される分で、「所得割」は個々の住民ごとに、前年の所得に応じて課税される分です。

 

徴税方法

住民税は前年の所得(1月~12月)に対して課税(所得割)し、翌年の6月から翌々年の5月にかけて納付することになります。

住民税の課税&納税フロー

会社の給与担当者は年末調整が終わると、翌年の1月末までに税務署と市町村に対し、年末調整の結果をまとめた「給与支払報告書」を提出します。

市町村役場では、この給与支払報告書をもとに2月から4月にかけて住民税の計算を行い、5月中に各企業宛に納税通知書を発送しているのです。

住民税は個人が直接市町村に納税(普通徴収)しますが、会社員の場合は、勤務先が社員の住民税をまとめて各市町村に納税(特別徴収)するしくみになっています。

 
 
 

重税社会をどう生きるか?

 

重税にあえぐ女性社員

重税社会の到来

少子高齢社会が進むと現役世代が減少しますので源泉税や住民税の税収が減ります。また企業数も減少するので法人税や事業税などの税収が減り、国内の市場も縮小して消費税も減ってゆきます。

税収が減ると地域社会を維持する財源が無くなりますので、自治体の再編が加速して消滅する市町村がたくさん出てきます。

国や地域のインフラを維持するために、現役世代に対する税負担(社会保険料含む)が急激に増してゆくでしょう。

 

日本の不都合な現実

国連が毎年発表している世界幸福度ランキングによると、日本の幸福度は毎年下がり続け、2019年は過去最低の58位(先進国でも最低)になっています。

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
44位 43位 なし 46位 53位 51位 54位 58位

この理由は「他者への寛容性の無い社会」、つまり社会的弱者やマイノリティに対して冷たい国だ…ということです。

しかし経済的弱者については、「こどもの貧困」「ひきこもり中高年」「下流老人」「官製ワープア」などが社会問題化しているように、マイノリティではなくなっています。

 

キャリアの視野を広げる

税負担(社会保険料含む)が増しても、日本は「高負担・低福祉」国家なので、みなさんには還元されません。

日本の現状を変えるために個人が声をあげてゆくことは大切ですが、いっそのこと働く環境を国内に限定しないという考え方も必要です。

英語とITと会計は世界共通のプラットフォームですから、この3点セットで海外脱出する方法もありです。

欧米に限らず、アジア新興国で英語が通じる国はかなりあります。

 

ギグエコノミーで自由に生きる

また海外移住しなくても「ギグエコノミー」という働き方もあります。

これは自分の専門分野を活かし、英語とインターネットを使って海外から直接フリーランスの仕事を受注するという働き方ですが、IT系や医療系など、グローバルに通用する職業と相性が良いようです。

近い将来、勤め先からの給与だけで重税国家を生きてゆくのは厳しくなることは間違いありませんので、広い視野でキャリア設計されることをおすすめします。

END

 

参考

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新社会人が検定資格を狙うべき理由

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