学校では教えてくれないお金の話
給与と貯金では生きてゆけない
バブル時代は新卒で入社した時に100万円の定期預金を開設し、定年まで放置しておくだけで1,700万円もの老後資金を作ることが可能でした。(30年満期、年利8%、元利合計複利計算)
しかし今や預金金利は、定期でも年利0.01%とバブル時代の千分の1にまで下がり、今後も金利が上昇する見込みはありません。そして可処分所得(家計が自由に使えるお金)は、年間50万円以上も減少し、一方で社会保険料や税金の負担は年々増加しています。
政府はアベノミクスの成果を強調していますが、実態はサラリーマンの非正規雇用化や45歳以上のリストラが進み、老後の生活設計はもはや運任せの時代となりました。
学校では教えないお金のはなし
国の制度と会社のレールにのっかり、定年までおとなしく勤めあげれば、安泰な老 後生活が保障された時代は終わりました。
従って我々は、国や会社に頼らずに、自力で生活資産を築いてゆかねばなりませんが、そのためには、まずお金のことをよく知らなければなりません。
しかしこれまで日本の学校教育では、子供達にお金や法律など、社会を生きてゆくために不可欠な実学を教えてきませんでした。
そこでこのシリーズでは、数回に渡ってお金と運用について、基礎的な金融知識を解説し、資産づくりのちょっとした知恵をご紹介したいと思います。
資産運用の知恵(貯蓄編)
利息(金利)のしくみ
受取利息と借入利息
利息には、預金に対して金融機関が預金者に支払う「受取利息」と、企業もしくは消費者が金融機関からお金を借りた時に支払う「借入利息」があります。
多くの金融機関では、預金者から預かったお金を企業や消費者に貸し付け、受取利息(金融機関側では支払利息)と借入利息(金融機関には受取利息)の金利差によって利益を得ています。
金融マーケット
実は金融機関同士でも、金融マーケットをとおして、企業に貸し付ける資金をお互いに貸し借りしています。
このマーケットを「コール市場」といい、コール市場で金融機関同士が資金を貸し借りする時の利息を「コールレート」といいます。
「お金を貸してくれ」という金融機関が多ければコールレートが上がり、「お金を借りてくれ」という金融機関が多ければコールレートは下がります。
政府発表によると、今は戦後最長の好景気ですが、一方で日銀により未曾有の超低金利政策が続いています。しかし本当に景気が良ければ企業は生産を増やし、国民の消費が増えるので、資金の需要も増して金利が上がるはずです。
借入金の種類
企業の借入金には「短期借入金」と「長期借入金」があります。
「短期借入金」は、取引先への代金や従業員の給与の支払に充てるための資金として、「長期借入金」は、社屋の改築や営業車の購入など、設備投資のための資金として借り入れます。
短期借入金と長期借入金は、返済期間が「1年以内」かどうかによって分類されます(ワンイヤールール)。
短期借入は「コールレート」、長期借入は「日銀長期プライムレート」に、金融機関のマージン(スプレッドレート)を上乗せして金利を決めることが多いようです。
普通預金と定期預金
「普通預金」は貯蓄よりも、給与の受け取りや、公共料金の支払いなど、お金の決済手段として開設されることが一般的です。
「定期預金」はまとまった額のお金を、一定期間、銀行に預けておくもので、満期まで預金を引き出せない代わりに、普通預金より高めの利息が設定されています。
北海道の某地銀の預金金利は、年利で普通預金が0.001%、定期預金は0.01%(2019年3月末日)ですが、同じ銀行でローンを組むと年利3%~6%の利息がかかります。
外貨預金
外貨預金の魅力
日本にいながら米ドルや英ポンドなどの外貨でもって、普通預金や定期預金を開設できるものを「外貨預金」といいます。
外貨預金は、都銀や地銀の窓口もしくはネット銀行で口座を開設することができますが、どちらも口座の開設には一定の条件をクリアする必要があります。
都銀や地銀では米ドル、ユーロ、英ポンドなど、欧米先進国の通貨を中心に取り扱っており、某地銀では米ドル1年定期で年利0.95%と、日本の金利に比べるとケタがひとつ違います。
一方、ネットバンクでは開発途上国の通貨も取り扱っており、例えば楽天銀行では、南アフリカ通貨のランドで定期預金を組んだ場合、金利はなんと40.0%(!)にもなります。
このような円預金ではありえない高い金利が外貨預金の魅力です。
外貨預金のデメリット
ただし外貨預金には、高金利相応のデメリットもあり、それは主に「為替リスク」、「カントリーリスク」、「高い為替コスト」などです。
為替リスク
100万円で米ドルの定期預金(年利0.95%)を開設した場合、その時の為替レートが1ドル120円であれば、開設時の定期預金残高は8,333ドルになります。
一年後には79ドルの利息がつくので、元利を合計すると8,412ドルに増えています。
ところが定期を解約してお金を引き出そうとした時に、もし為替レートが1ドル100円(円高)になっていたら、手元に戻ってくるお金は84万円に目減りしてしまいます。
このように為替変動によって、金利が相殺されてしまうことを「為替リスク」といいます。
カントリーリスク
南アフリカのランドは年利40.0%と破格の超高金利ですが、南アフリカのような政情が不安定な国では、いつ市民の預金口座が凍結されるかわからないリスクがあります。
このような国の政情や治安に起因するリスクを「カントリーリスク」といいますが、最悪の場合は預金が全額戻ってこない可能性もあるので注意が必要です。
為替コスト
外貨預金にお金を預け入れたり、引き出したりする時は、日本円→外貨、もしくは外貨→日本円に交換しなければなりませんが、この時に高い交換手数料がかかります。
結局のところ、いくら外貨預金が高金利だとしても、為替リスク、カントリーリスク、そして為替コストを加味すると、うま味のある貯蓄とは言い難い面があります。
財形貯蓄制度
財形貯蓄とは
「財形貯蓄」とは、「勤労者財産形成促進法」に基づき、勤労者が住宅購入や老後資金を貯蓄する際に、利息にかかる税金を優遇することで、財産形成を促進する制度です。
利用にあたっては勤務先が財形貯蓄制度を導入していること、毎月一定額を給与および賞与から天引きし、勤務先が契約した金融機関へ預金することが条件です。
財形貯蓄制度には、「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の3種類があります。
一般財形貯蓄
「一般財形貯蓄」は、貯蓄目的は自由ですが、その代わりに税制面の優遇措置もありません。
なかなか自分の意思で貯蓄ができない人が、勤務先に依頼してあらかじめ給与から一定額を天引きしてもらうことで確実に貯蓄できますよ…という制度でしょうね。
財形住宅貯蓄
「財形住宅貯蓄」とは、満55歳未満の勤労者で、マイホーム購入やリフォーム目的の貯蓄に限り、元利合計で550万円までの利息について非課税となる制度です。
5年以上の積み立てが条件で、「一般財形」や「財形年金」との併用が可能です。また預貯金以外にも生命保険(満期積立型)などで運用することもできます。
しかしなんといっても「財形住宅貯蓄」の最大のメリットは、貯蓄残高の10倍(上限4千万円)まで、低金利で融資を受けられる点でしょう。
道内の某地銀の住宅ローンの金利は、一番安いものでも年2.5%ですが、財形住宅貯蓄の融資制度を利用すると年0.64%(5年固定)で住宅資金を借りることができます。
財形年金貯蓄
「財形年金貯蓄」は、満55歳未満の勤労者で、老後資金のための貯蓄を行う場合、元利合計で550万円までの利息について非課税となる制度です。
ただし非課税となるのは積立期間が5年以上、老後資金は満60歳以上かつ、5年以上20年以内の期間に引き出すことが条件となります。
これも「住宅財形」同様に、金融機関の預貯金だけではなく、生命保険(個人年金)で運用し、終身年金として受け取ることも可能です。
いくら利息が非課税とはいえ、現在の超低金利下では550万円を年利0.001%で運用しても、受取利息は年間たったの55円です。仮に所得税率が10%だとしても、利息にかかる税金はわずか5円なので、これが増減したところで資産運用上のメリットはどうでしょうかね?
仮想通貨(暗号通貨)
「仮想通貨」とは、紙幣や硬貨と違って実体の無い、インターネット上で取引される電子通貨のことで、円ドルといった為替レートも存在しません。
仮想通貨は「ブロックチェーン」と呼ばれる最新技術によって管理されるので、通貨の偽造は不可能だと言われています。
今後、仮想通貨がボーダレスな決済手段となってゆくことは間違いありませんが、2020年4月に「金融商品取引法」の改正が予定されており、仮想通貨業者の大きな再編が予想されます。
貯蓄から投資の時代へ
かつては資産形成と言えば、銀行預金や財形貯蓄制度を利用するのが当たり前でしたが、現在の超低金利下においては、貯蓄自体が意味をなさなくなってきました。
そもそも「銀行にコツコツと貯蓄しておけば、老後は安泰」などという資産運用方法は、経済や金融の原理原則から考えてもありえないことなのです。
だからこそ現役世代の我々は、正しい資産運用方法を学ぶ必要があるのです。
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参考
人事部長オススメの新社会人が取るべき検定資格TOP4
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新社会人が検定資格を狙うべき理由
世の中を賢く生きてゆくためにはお金と法律の知識は必須です。また仕事で成果をあげるためには、会社が利益を生み出す仕組みを理解するがあります。さらに今のご時世は営業だろうが事務だろうが、ITを使いこなせない人は仕事のスタートラインにすら立つことはできません。
そこで「資格を取りましょう!」と言いたいところですが、筆者は新社会人には難関国家資格はオススメしません。新入社員は本業で覚えなければならないことがたくさんあるので受験勉強の時間を捻出するのが大変な上に、年一回の試験日に急な仕事が入ってその年の受験そのものをキャンセルしなければならなくなるリスクが高いからです。
「じゃあどうすればいいの?」という人のために、筆者は検定資格を勧めています。検定資格であれば年に2~3回受験できますし、1~2ヶ月くらいの学習期間で短期合格も充分アリなので達成感もあります。
ここでは上場準備企業の現役人事部長であり、自身も20種類以上の検定資格を取得してきた筆者が、今後のキャリアアップのために新入社員が絶対に取得しておきたい4つの検定資格をご紹介します。
人事部長オススメの新社会人が狙うべき検定資格TOP4!
フィナンシャル・プランニング技能士3級
税金、金利、年金、保険など、社会を生きてゆく上で必須であるお金に関する知識を網羅的に学ぶことができます。自己責任の時代においては老後資金の形成に投資は不可欠ですが、運用リスク回避のポイントは若い頃から長期運用することです。またお金の基礎知識さえあればうっかりリボルビング払いをしてカード破産してしまうリスクも回避できます。
ビジネス実務法務検定3級
世の中は売り手と買い手、使用者と労働者など、他人同士の利害関係で成り立っているといっても過言ではありません。そして利害関係にはコンフリクトがつきものですが、それを解決するためのルールこそ法律なのです。そして法律は「知っている者に味方する」とも言われます。法律の基本を知ることで詐欺やハラスメントから身を守ることができます。
日商簿記検定3級
企業の経営活動は全て財務諸表に集約されます、つまり簿記の知識さえあれば会社がどのような仕組みで運営されているのか知ることができ、営業職であろうと事務職であろうと会社から評価されやすい仕事をすることができるようになります。さらに簿記の知識があると株式投資や家計管理にも応用でき、堅実に資産形成することができます。
ITパスポート試験
今やIT知識はビジネスに必須であり、IT知識の有無がハイパフォーマーと情弱ワープアの分かれ道となることは間違いありません。ITパスポート試験はパソコンに限らず、ネットワークや情報セキュリティなどの仕組みもしっかり学ぶことができますので、業務システムの運用だけでなく、ネット副業を始める時も役立つこと間違いありません。
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これら4つの検定資格をいかに効率的に取得するか?ということですが、検定試験の学習ツールとして筆者のイチオシがオンスクJPです。
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