戦略的に生きる
エスカレーター式の人生の終わり
先日、経団連の会長が、終身雇用制度を放棄する旨の発言をしました。
終身雇用制度は、平成不況の時にすでに実質的には崩壊していましたが、今回、財界のトップがそれを公に宣言したことになります。
これまでは(建前上は)「いい大学」に入って、「いい会社」にさえ入社すれば、エスカレーター式に定年までの人生が保障されていました。
しかし今後は長期的(戦略的)な視点でもって、自分のキャリアを設計し、自営業者の覚悟でもって世の中を渡ってゆかねばなりません。
戦略的に生きるとは
「戦略的に生きる」とは、世の中の変化をある程度予測しながら、長期的なキャリア設計を行ってゆくという意味です。
そのためにはマーケティングが不可欠であり、マーケティングの手法をキャリア設計に応用して自分の磨くべきキャリアとその方向性を決めてゆく必要があります。
キャリア設計にマーケティングを
マーケティングとは?
マーケティングとは、市場を分析して自社にとって最適な客層を見つけ出し、自社製品の魅力をPRしてリピーター客にし、売り込まなくても売れ続ける仕組みを作ることです。
これを人材マーケットに置き換えると、自分の能力を必要としてくれる勤務先を探して自分の魅力をPRし、「ぜひ長く勤めて欲しい」と言われ続ける仕組みを作ることです。
代表的なマーケティング方法
3C分析
これは「3C(サンシー)」分析と呼ばれる最も代表的なマーケティング分析です。
この3つのサークルはそれぞれ「顧客ニーズ」、「自社製品の強み」、「競合製品の強み」を表します。
顧客と自社のサークルが重なっている部分が「市場が成立」している領域ですが、競合先の円も重なっていると熾烈な競争状態=「レッドオーシャン(赤い部分)」であるといいます。
自社が目指すべきは、顧客ニーズと自社製品が合致しているが競合先が手を出せない領域
=「バリュープロポジション(青い部分)」です。
3Cとは、自社製品やサービスがこのサークルのどこに位置しているのか分析することで、製品開発や価格設定に活かそうという「内部要因分析」のフレームワークです。
PEST
「PEST(ペスト)」とは「政治」、「経済」、「社会」、「技術」の頭文字をとったもので、「外部要因分析」に用いるフレームワークです。
現在もしくは将来的なPESTの動向から、自社にとって外部環境が「追い風」なのか「向かい風」なのか分析します。
注意すべきは、外部要因は相対的なものですので、同じ外部要因であっても、企業によって追い風にもなれば向かい風にもなります。
円高になると輸出企業にとっては為替差損が生じるので向かい風ですが、輸入企業にとっては逆に作用するので追い風となります。
戦略的キャリアプランニング
自分の適性や興味を知る
キャリア設計における3C分析
キャリア設計においては、顧客は「自分の得意先や上司」、競合先は「Cooperator(協力者=上司や協力部署)」となります。
キャリア設計におけるバリュープロポジション
キャリア設計における3Cにおいては、自分の強みを活かし、なおかつ協力者のサポートを得て、得意先や上司のニーズに応えてゆけるような関係が理想です。
よってバリュープロポジションは、得意先や上司のニーズと自分の強み、そして協力者の強みの3つが重なり合う青い部分になります。
得意先や上司には「顕在化していないニーズ=ウォンツ」があります。デキる人材は、ウォンツを発掘して仕事化し、得意先や上司に先回りして提案をすることに長けています。
目指すべき方向性を決める
多くの人は、自分の業務に対して苦手意識を持っていたり、そもそも担当業務自体に興味が無かったりする場合があります。
苦手意識はトレーニングと経験を重ねることで克服できますが、自分の仕事に興味が持てない場合は、なかなかキャリアの方向性が定まりません。
結論を申し上げると、医療系や技術系の専門職の場合は、自分の興味(専攻)を活かせないような環境であれば、すみやかに転職して職場環境を変えるべきです。
一方、文系卒の営業や販売サービス職などの非専門職については、自分の興味を職場のニーズに合わせるしかありません。
キャリアの方向性を検証する
PESTで将来予測を行う
自分のキャリアの方向性が定まったら、PEST分析でもって設定したキャリアの将来性を検証してみましょう。
これはあくまでも2030年頃をイメージした一例ですが、将来予測の本やサイトはたくさんありますので、それらを複数ピックアップして、自分のプランと照合してみてください。
自分のキャリアプランが将来的に向かい風になりそうな内容でも、海外では追い風となる場合もあります。もはや日本だけが生きる場所ではありません。
30歳の自分をイメージしてみる
ペルソナモデル
自分のキャリアの方向性(内部要因)と将来性(外部要因)を分析できたら、自分のキャリアの目標を設定してみましょう。
ただし自分がリタイアする時の世の中など、現時点では予測がつきませんから、まず30歳の時に自分はどうなっていたいのかを具体的にイメージしてみることです。
どんなスキルを身に付け、どんなライセンスを持っていて、職場ではどのようなポジションを任され、そしてどんな役割を期待されているか…等々。
ポイントは「できるかできないか…」ということより、まずは「自分がなりたい姿」を鮮明にイメージすることです。
このように「あるべき姿」を具体的イメージしたものを「ペルソナモデル」といいます。
ペルソナモデルと現在の自分とのギャップを認識することで、具体的な取り組み課題を設定することができます。
キャリアの目安としては、「30歳で一人前」「40歳で専門家」「50歳で指導者」くらいのレベルで考えておけば大丈夫だと思います。どんな職業であれ、30歳までに一人前と言えるようなキャリアを築いておくことができれば、たいていの環境の変化には対応できるものです。
相談する相手を間違えない
キャリア設計にあたっては、社内外を問わずにいろんな人の意見を聴いた方がよいでしょう。
ただし聴く相手を間違わないようにして下さい。具体的な根拠も示さずに「焦るな」とか「まだ早い」などという無責任な人に絡めとられないようにしましょう。
自分が追い越されるのが怖くて、もしくは沽券(こけん)を保ちたい一心で、若者の成長にキャップをして、自分に都合よくコントロールしようとする年配者はどこにでもいます。
相談するのではれば、その分野に知見があって、日ごろから社内外への情報発信や、人材育成に熱心な人が適任だと思います。
こういう人に相談すると、「こんな方法もあるよ」とか「こういう考え方もいいよ」など、知識と経験に裏打ちされた的確なアドバイスをもらえます。
さて次回はいよいよ本シリーズの最終回です。
END
参考
人事部長オススメの新社会人が取るべき検定資格TOP4
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新社会人が検定資格を狙うべき理由
世の中を賢く生きてゆくためにはお金と法律の知識は必須です。また仕事で成果をあげるためには、会社が利益を生み出す仕組みを理解するがあります。さらに今のご時世は営業だろうが事務だろうが、ITを使いこなせない人は仕事のスタートラインにすら立つことはできません。
そこで「資格を取りましょう!」と言いたいところですが、筆者は新社会人には難関国家資格はオススメしません。新入社員は本業で覚えなければならないことがたくさんあるので受験勉強の時間を捻出するのが大変な上に、年一回の試験日に急な仕事が入ってその年の受験そのものをキャンセルしなければならなくなるリスクが高いからです。
「じゃあどうすればいいの?」という人のために、筆者は検定資格を勧めています。検定資格であれば年に2~3回受験できますし、1~2ヶ月くらいの学習期間で短期合格も充分アリなので達成感もあります。
ここでは上場準備企業の現役人事部長であり、自身も20種類以上の検定資格を取得してきた筆者が、今後のキャリアアップのために新入社員が絶対に取得しておきたい4つの検定資格をご紹介します。
人事部長オススメの新社会人が狙うべき検定資格TOP4!
フィナンシャル・プランニング技能士3級
税金、金利、年金、保険など、社会を生きてゆく上で必須であるお金に関する知識を網羅的に学ぶことができます。自己責任の時代においては老後資金の形成に投資は不可欠ですが、運用リスク回避のポイントは若い頃から長期運用することです。またお金の基礎知識さえあればうっかりリボルビング払いをしてカード破産してしまうリスクも回避できます。
ビジネス実務法務検定3級
世の中は売り手と買い手、使用者と労働者など、他人同士の利害関係で成り立っているといっても過言ではありません。そして利害関係にはコンフリクトがつきものですが、それを解決するためのルールこそ法律なのです。そして法律は「知っている者に味方する」とも言われます。法律の基本を知ることで詐欺やハラスメントから身を守ることができます。
日商簿記検定3級
企業の経営活動は全て財務諸表に集約されます、つまり簿記の知識さえあれば会社がどのような仕組みで運営されているのか知ることができ、営業職であろうと事務職であろうと会社から評価されやすい仕事をすることができるようになります。さらに簿記の知識があると株式投資や家計管理にも応用でき、堅実に資産形成することができます。
ITパスポート試験
今やIT知識はビジネスに必須であり、IT知識の有無がハイパフォーマーと情弱ワープアの分かれ道となることは間違いありません。ITパスポート試験はパソコンに限らず、ネットワークや情報セキュリティなどの仕組みもしっかり学ぶことができますので、業務システムの運用だけでなく、ネット副業を始める時も役立つこと間違いありません。
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