人事部長のひとりごと・・・

ブラック企業はもはや国賊じゃないか?


サカイ引越センターのブラックすぎる闇

サカイ引越センター関連ニュース記事要約

サカイ引越センターのあまりにも過酷なブラック就労に対して、同社の宮前支店の若手社員らが中心となって労働組合を結成し、会社に対して労働条件の改善を要求している。

サカイ引越センターはリーズナブルな価格ときめ細かなサービスがウリで引越取り扱い件数は業界ナンバーワンをキープしているが、その裏側では労基法違反の低賃金と長時間労働が横行し、労災や事故が多発して社員が死亡する事例まで発生している。

給与は固定給6~8万円にあとは取り扱い引越件数に応じた歩合制となっているが、引越し料金の低価格化が社員の人件費を直撃し、月に100~150時間もの過重労働をこなさないと生活できない社員がほとんどであり、その結果、過労による労災が頻発している。

また仕事中のミスに対して制裁金を科し、少ない賞与から天引きするといった違法行為も公然と行われており、経営者からの報復人事を恐れる管理職連中も見て見ぬフリを決め込んでいるため、若手社員による労組が会社と団交を行っているが、今後は労組に対して会社が仕事を回さないなどの嫌がらせを行っている。

人事部長はどうみる?

労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などの諸々の労働関係法令違反の最悪なケースであり、特にミスに対する制裁金や過労による死亡災害については従業員や遺族らから訴えられたら会社は勝てないのではないだろうか?

そもそも就労時間や賃金計算などについては、会社で就業規則と賃金規程を作成し、所轄の労基署に届け出した上で、社員の誰もがいつでも閲覧できる状態にしておかねばならないのだが、それすらもきちんと実施されていないのだろう。

記事原文はこちら

サカイ引越センター、8万円の固定給に120時間の残業「死ねってことですか」社員が激白

(ヤフーニュース・週間女性PRIME 2021年11月17日配信 https://news.yahoo.co.jp/articles/e3bca66b3c6c61c8dc1942798ad48e27f5a326da?page=1)

ワタミがまたやらかしてしまった?

ワタミ関連ニュース記事要約

大手外食チェーン「ワタミ」では過去に新入社員が過労と上司からのパワハラで精神疾患をきたして自殺したり、また残業代の未払いや月間75時間を超える違法残業に対して、労働基準監督署から是正勧告されるなど、以前からブラック就労が問題視されてきた。

ところが今年10月に、同社の執行役員が「11月は強化月間なので、法定の残業上限時間である月間45時間を超えて残業しろ。法律を守るということより、営業活動を優先するということを考えて働け。」と社員に激を飛ばしていた動画がSNSで拡散されて炎上した。

ワタミでは創業者の渡邉美樹氏が国政から同社の代表に復帰して、目下労働環境改善を掲げる企業方針を打ち出していた矢先の幹部の失言であり、渡邉氏から当該幹部に対して注意がなされたようだが、やはり社員に過重労働を求める同社の体質は変わっていないようだ。

記事原文はこちら

<音声入手>「月45時間を超えても構わない」ワタミ執行役員が”残業要求”で厳重注意

(ヤフーニュース・文春オンライン 2021年11月17日配信 https://news.yahoo.co.jp/articles/2840ab04b461daaf33d88ac387d914e000c376ed?page=1)

人事部長はどうみる?

労働基準法によって、従業員に残業させるためには、労働基準法第36条に基づき労使間で残業を行うことに同意する協定書(通称;36協定)を締結し、なおかつ月間45時間、年間で360時間以内に残業時間を制限する・・というルールとなっている。

ただし労使協定において、突発的かつ不測の事態に対応するために、年間6回(月)に限り、法定の残業上限時間である45時間を超えて、従業員に残業させることができるといった特約条項を定めることが認められており、当該執行役員の発言は間違いではない。

マズかったのは従業員に対する伝え方であり、「商売第一!」を連呼するのではなく、「繁忙期は月80時間を上限としつつ、商機を最大限に活かせるような勤務計画を組むなど、各現場にて柔軟に対応して頂きたい・・・」と説明すべきではなかったか?と思う。

日本企業の低価格路線が国を滅ぼす

私が30歳になった時に販売課長を辞めた理由

私は新卒で某コンビニチェーンの本部に就職し、FC加盟店の経営指導を行うスーパーバイザーを経験した後に、当時北海道へ進出してきたばかりの某大手スーパーマーケットへ転職し、前職で身につけた計数管理のスキルを駆使して入社3年で販売課長になった。

当時は私の販売企画が面白いくらいにバンバン当たって、若手エースのひとりとして全社的にもちょっと名の知られた存在だったが、ちょうど三十路を迎えた時に、家族の反対を押し切って大手リテールのキャリアを捨て、地方の建設会社の総務部に転職した。

なぜ順風満帆なキャリアを捨てて地味な事務職なんぞへキャリアチェンジしたか?というと、大企業の社員はしょせん「会社の看板あってナンボ」の存在であり、会社がどんどん発展したところで、リテールのような労働集約型産業においては、個々の社員にはほとんど還元されない・・・ということに気づいたからだ。

さらに当時は平成不況の真っ只中で、未曾有のデフレが進行していたが、激安量販店の台頭もあって、我々は販売単価を下げつつ、販売点数を増やすことで売上高の減少をカバーするという戦略を採らざるを得なくなり、現場作業が増える一方で給与手当がどんどんカットされ、私も含めて店舗スタッフは完全に疲弊していた。

これは前述の引越産業や外食産業にも共通する「低賃金・長時間労働」に至る典型的な構図だが、すでに30年前にリテール業界ではこのような悪循環に陥っており、ゆえに私は手に職をつけるべく30歳の節目に管理部門畑への転身を図り今に至るというワケだ。

日本人が大好きな「安すぎる外食」が国を滅ぼす(要約)

戦後の日本が高度成長を遂げられたのは欧米先進国をしのぐ「人口増加」による要因が大であり、さらに言うなら「資本主義」は「人口増加時代」にできた制度であるため、社会の動向の殆どを「人口動態」でもって説明することができる。

しかし「人口減少」の局面では、「経営の神様」こと故松下幸之助さんの「水道哲学(水道の水のように、安価で良質な製品を大量に供給することで、物価を下げ、広く消費者の手にゆきわたるようにするのが企業の使命)」すなわち「いいものを・安く・たくさん」という戦略は通用しなくなった。

なぜならば「人口増加」の時代においては「価格」を下げても「市場」が拡大してゆくため、「利益率」の低下を「利益高」の増加でカバーする(=「規模の経済」)ことができたが、現在は「消費者が減少」し、また「市場が飽和」しているため、良品であろうと売れないので「規模の経済」を実現できないからだ。

しかし日本の多くの経営者は経済構造がすっかり変わってしまったということを認識できておらず、いまだに「良品を安く」という呪縛から脱却できていない。

その証拠に日本の「ビッグマック指数」はどの先進国よりも低く、スイスとの比較では半分くらいだが、日本の不動産価格や原材料費ならびに水道光熱費などの「製造原価」は海外と比較しても決して安くなく、結局のところ「人件費」をカットすることで帳尻を合わせているのだ。

要するに日本の労働者はビッグマックを「発展途上国並みの低価格」で売るために、「先進国最低の賃金」でコキ使われているのだが、超高齢社会においてはビッグマックの需要が喚起されることが考えづらいことから低賃金を上回るようなメリットなど無く、「良品廉価」はナンセンスである。

むしろ「ビッグマックを安く提供するメリット」よりも「国際的に極めて低い最低賃金が日本経済に及ぼすデメリット」の方が大きく、「最低賃金を引き上げたら日本の中小企業が経営破綻する」といった暴論がどこから湧き出してくるのか疑問だ。

「日本の人材の質」は世界第4位と言われている一方で、今の最低賃金のレベルでは日本の貴重な「人的資源」をムダにするだけであり、それに対するワープア労働者の憤りが、頻発する「バカッター事件」の引き金になっているのではないだろうかと考える。

日本企業は「技術革新」うんぬんと言う前に「人材の質に見合った賃金」を支払うべきだが、それができないクセに「優秀な人材」を欲しがることは本末転倒であり、またこの「安い賃金」の問題を解決できない限り日本に明るい未来はない。

記事原文はこちら

日本人が大好きな「安すぎる外食」が国を滅ぼす

(デービッド・アトキンソン 東洋経済新聞社 https://toyokeizai.net/articles/-/267008)

人的資本経営の時代

最近、欧米先進国では投資判断のために、上場企業に対して財務諸表と同じように「人的資本経営」についての情報開示を義務付けるような動きになってきている。

そしてその「人的資本経営」の良し悪しを判断する指標のひとつとして、「ISO30414」がにわかに脚光を浴びてきているが、前述の「サカイ引越センター」や「ワタミ」などでは、まだまだ「ISO30414」の認証取得などおぼつかないだろう。

恐らく今後は「人的資本経営」といったキーワードをターニングポイントとして、日本の多くの産業や企業において新陳代謝が進むのではないかと期待している。

ともあれ労働力がどんどん減ってゆく今のニッポンにおいて、貴重な人材を使い捨てにしているようなブラック企業はもはや「国賊」と罵られても仕方ないだろうし、新たな局面を迎えるにあたり、古い価値観のポンコツ経営者らと共にさっさと淘汰されてしまうことを切に願う。

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