人事部長のひとりごと・・・

サラリーマンのキャリアはタテではなくヨコに伸ばせ!


保身に走る中高年サラリーマンが日本をダメにする

年功型人事が生産性改善を阻害している

我が国が未曾有の「労働力不足」の時代に突入するにあたり、この国難を乗り越えるためには企業の「生産性」を向上させてゆかねばならないが、「終身雇用」と「年功賃金」といった日本特有の古い人事制度がその弊害となっているということが指摘されている。

これは全く同感であり、さらに言わせてもらうと社員個人の成果や実力よりも、「メンバーシップ雇用」といった「馴れ合い風土」の根強く残る多くの職場において、「入社年次の序列」でもって「処遇」を決めていることがその元凶ではないかと考えている。

そして元マイクロソフト日本法人の社長だった成毛眞さんが、「日本企業で『出世する人』たちが『保身クズ野郎』ばかりになってきた”意外なワケ”」という刺激的なタイトルの記事の中で痛快にブッタ切っているので、次章にて要旨をご紹介したい。

日本企業で「出世する人」たちが「保身クズ野郎」ばかりになってきた”意外なワケ”(記事要約)

いまや多くの日本の企業においては、人事権を握る経営トップの顔色ばかり伺う「保身オヤジ」だらけになってしまい、不正やハラスメントなどの不祥事が止まらない。

なぜ日本の企業が「保身オヤジ」ばかりになってしまったのか?というと、日本は欧米と違って組織が硬直しやすい性質があり、さらに政官民のセクターにおいて老朽化が進んだことにより、いったん「既得権」を手にした中高年が「保身」に走る傾向が強いからだ。

実はこの「保身」の要因は日本特有の「退職金制度」であり、年功によって「既得権」すなわち役職と退職金の支給額がどんどん上昇してゆくために、多くの中高年サラリーマンは「保身クズ野郎」と化してしまうのだ。

しかし日本経済が低成長の局面においては退職金支給額も年々低下しており、さらに人口減少によって経済規模が縮小してゆくと、いずれ大企業の社員であっても老後の生活の見通しが立たなくなってしまう。

よって現役世代は組織にしがみついて「保身」などやっている場合ではなく、組織に頼らず自力で生きてゆけるようなスキルの研鑽をする必要がある。

記事原文はこちら

日本企業で「出世する人」たちが「保身クズ野郎:ばかりになってきた”意外なワケ”

(藤岡雅、成毛眞 / マネー現代 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86360

「ぶら下がりサラリーマン」がいよいよオワコン化している

「ゆでガエル」の話

カエルを熱湯の入った器に入れるとビックリして飛び上がるが、水の入った器に入れてジワジワと加熱してゆくと、カエルは温度の変化に気づかずに、いつの間にか茹で上がって死んでしまう、という逸話がある。

この「ゆでガエル」の話は、日頃からアンテナを張って情報収集を行い、環境の変化に対して臨機応変に対応してゆかないと、「しまった!」と思った時にはすでに会社が傾いて取り返しがつかなくなるぞ!という一種の警句のようなものだ。

最近になってこの警句は、「いい大学」を卒業し、「いい会社」に入社し、あとは定年まで会社に「ぶら下がって」さえいれば「ハッピーリタイアメント」を迎えることができる・・・といった従来の日本のサラリーマン達にとって、実に笑えない話となっている。

年収1,000万円・大企業50代ヒラ社員がリストラ、月13万円のバイトになる現実(要約)

林さん(仮名・51歳)が新卒入社した会社は「年功序列」の「大企業」であり、若い頃から地道にコツコツと精勤を励んできたおかげで、ヒラ社員ながら50歳になった時に年収が1,000万円を超えた。

しかし最近になって、長引く不景気と新型コロナによる業績悪化を理由に、会社が「早期希望退職者」を募集しはじめ、林さんは人事部から「退職勧奨」される羽目になった。

会社側からは2,000万円もの退職金を提示され、また一人娘が大学を卒業したこと、そしてなんといっても会社に対する不信感もあって、林さんは早期希望退職に応じた。

ところが再就職は警備会社のアルバイトで、月収が13万円にまで激減してしまい、定年まで正社員で勤め上げるはずだった林さんの人生設計はすっかり狂ってしまう。

しかしこれは林さんの事例に限ったことではなく、かつては中高年になればとりあえず何らかの「役職」をあてがってくれた大企業にはすでにそのような余力は無いので、役職に就いている50代前半の社員は1989年の70%から現在では40%まで低下している。

さらに法令によって社員の給料を簡単に引き下げできず、なおかつ年功序列の賃金制度を廃止できない多くの大企業は、「高年収」の「中高年ヒラ社員」をリストラのターゲットにしはじめた。

ある調査によると40代以上の早期退職組の4割が再就職先で年収が430万円台にダウンし、他の4割は非正規での再雇用となり、残りの2割は再就職できずに退職してゆくという。

そのような昨今の情勢から、大企業にしがみついてさえいれば高年収で一生安泰といった人生はもはや幻想にすぎなくなった。

記事原文はこちら

年収1,000万円・大企業50代ヒラ社員がリストラ、月13万円のバイトになる現実

(日刊SPA!2021年1月21日 https://news.yahoo.co.jp/articles/5ae65c0543885667c9f278774c62c06b2590e44a?page=1

「タテ」のキャリアを登る時代から「ヨコ」にキャリアを拡げる時代へ

社内政治部長より3年転職職人が成功する訳(要約)

昭和のサラリーマンのように「ヒエラルキー」の中で生きてきた人は、名刺に記された勤務先や肩書を見て他人に「マウンティング」したがる。

特に中高年世代以降はその傾向が強くなるが、今どきの中高年は「ロスジェネ世代」なので、そもそもはじめから地位も権力も縁遠い人が多い。

先日、サントリーHDの新浪剛史社長が「45歳定年制の導入」を提唱していろんな方面から猛反発されたことは記憶に新しい。

しかし国の進める「70歳定年制」では半世紀も同じ職場で働くことになるし、そんなに長期間にわたって職場に高齢者が居座ることで、組織の風通しが悪くなるので人生の節目である「45歳」を目処にキャリアチェンジするとう流れになってゆくだろう。

実際にかつてのリクルートは「40歳定年制」だった時期があり、またパナソニックやシャープの凋落によって、それらの企業で働いていた「ベテラン技術者」達がアイリスオーヤマや中国メーカーに転職し、新天地で生き生きと活躍しているので、有能な人材にとっては「45歳定年制」は決して悪いことではないかもしれない。

一方で「カネ」も「権力」もなく、「キャリアの一発逆転」を狙うことが難しい「ロスジェネ世代」は、ひとつの会社で出世を目指すのではなく、むしろ特定分野の技能を磨くことで、常に仕事の途切れない「職人」を目指せばよいのではないだろうか。

たとえば知り合いの30代後半のウェブ広告のディレクターは、専門学校卒で高学歴人材ではないが、出世よりも3年毎にいろいろな企業を渡り歩いて販売経験を積んだり、ECのスキルを身につけたりするキャリアを選んだことで、どんな状況でも常に充実した人生を送っている。

いわば自分の腕一本であちこちを渡り歩く「流れの板さん」的な生き方だが、もともと戦国時代までは職人達が職能集団を組織して、お互いにヨコに連携しながら全国各地を転々として働いてきた。

だからこれからは「ヒエラルキー」の中で「出世」を目指すよりも、「職人の共同体」の枠組みでもって生きてゆくというキャリアも楽しいのではないだろうか。

記事原文はこちら

社内政治部長より3年転職職人が成功する訳「人生100年時代は年齢や肩書で威張るな」

(佐々木俊尚 / 東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/462698?page=5

人事部長の父から娘へのアドバイス

前述の記事を読んでとても面白いと思った。それは数ヶ月前に、この記事と同じ内容のことを私の一人娘に話していたからだ。

私には前妻との間に高校3年生になる一人娘がおり、現在は私と別れて前妻と一緒に暮らしているが、高校卒業後の進路について母親から「みんなと同じようにどこかの4年制大学に進学しなさい」と言われたものの、本人としてはどうにも納得できずに私に相談してきたことがあった。

娘いわく「みんなが進学するという理由だけで、興味の無い勉強のために、わざわざ高額な奨学金を借りて、4年間も自分の人生を浪費したくない。むしろ専門学校へ行って国家資格を取得し、卒業したらその道へ進みたいんだけど、なにがダメなの?」とのこと。

なるほど周囲はどうであれ、自分の考えはこうであって、自分の志を貫徹するためであれば、親の財布をアテにせず、自らリスクを背負って奨学金を借りてでもその道へ進みたい・・・というわが子の心意気に嬉しいやら誇らしいやら、「あぁやっぱり私の娘なんだなぁ~」と妙に関心したりしたりした。

ともあれ学費は予め私が全額用意していてたので、「まずは自分なりに業界研究や職業研究をしっかり行い、また進学費用や資格取得までのプロセスなどもきちんと整理した上で、辛抱づよくママを説得しなさい・・・」と伝えた。

娘から相談を受けて前述のやりとりをしたのが今年の初夏の頃であり、この記事を書いている現在はすでに師走の時期になっているが、娘は高校卒業までの時間を利用して、次のステップで活用できそうな検定試験にバンバン挑戦しているようで頼もしい限りだ。

一方で私は人事部長として新卒採用も担当しているが、来春卒業の就活生(四大生)が、この期に及んで「特にやりたいことはハッキリしていないが、実家から通えるような立地で事務の仕事ができて、なおかつ定年まで安定して働ける会社へ就職したい・・」などと寝ぼけたことを言っているのを聞くにつけ、少なくとも私の娘に対する教育は間違っていなかったのだな・・・と確信している。

タテのキャリアを登る時代からヨコにキャリアを拡げる時代

これから5年以内に「DX」による業務効率化で「組織のフラット化」が進み、これまで「とりまとめ」だの「調整」だのといった「社内の儀式」を主な生業としてきた古いタイプの管理職の仕事は「RPA」や「BI」に置き換わり、「経営層」と「現場リーダー」が直結するようになって、特に「部課長」などの中間層のポジションが激減してゆく。

さらに「労働力人口の減少」によって、「正規雇用」で人材を囲い込むことが難しくなり、主婦や高齢者などの「パートタイマー」や副業・兼業などの「パラレルワーカー」を積極的に活用してゆく必要に迫られるが、「ひとりの人材」が「複数の職場」に関わることが当たり前になると、「職場の肩書」が持つ意味も従来のものとはだいぶ変わってくるはずだ。

そして「企業の平均寿命」は年々「短命化」しているので、本人が好むと好まざるに限らず、ひとつの職場でサラリーマンのキャリアをまっとうするなどという生き方は現実的ではなくなるだろう。

よって職場の小さなヒエラルキーの中で「タテ」の「キャリアアップ」を目指してムダに人生をすり減らすような生き方はやめて、専門技能やライセンスをコアにして、「職人」よろしく副業や兼業でもって「ヨコ」方向に「キャリアを拡張」することで、ひとつの勤務先に生殺与奪を握られないような生き方を目指すことこそ、これからの正しいキャリア形成の在り方ではないだろうか。

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