ブラック企業に負けない方法

失業保険の基礎知識


失業保険の種類

失業保険は4種類ある

 

求職活動する女性

失業保険には「求職者給付」「就職促進給付」「教育訓練給付」「雇用継続給付」の4種類あります。

失業保険は正確には「失業等給付」といいます。

 

求職者給付

「求職者給付」は、仕事を探しているのになかなか就職先が見つからない人が、失業中の生活を心配せずに、早く再就職できるように支給されるものです。

求職者給付はさらに「一般労働者」「高年齢労働者」「季節労働者」「日雇労働者」によって給付内容が異なります。

 

 

就職促進給付

「就職促進給付」とは、再就職を促進するためのインセンティブ的な手当のことです。

失業保険の受給期間が残っている間に再就職したら「再就職手当」(残額の50~60%)を支給したり、再就職後に前職よりも給与が下がったら「就業促進定着手当」を支給します。

 

 

教育訓練給付

「教育訓練給付」とは、労働者の能力開発のために、資格の学校や通信教育にかかった費用の一部(20%)を助成するもので、「教育訓練給付金」などがあります。

資格スクールや通信教育を受講する場合は、教育訓練給付金制度の対象講座か確認しましょう。

 

 

雇用継続給付

「雇用継続給付」とは、労働者を定年退職後に引き続き再雇用したり、労働者が育児・介護休暇を取得し、給与が著しく下がった場合に、本人に対して下がった給与の一部を補填するものです。

「高年齢雇用継続給付金」や「育児休業給付金」、「介護休業給付金」などがあります。

 

 

 

一般の労働者に対する求職者給付

 

職業訓練校へ通う社会人

「一般の労働者に対する求職者給付」の内訳について、もう少し詳しく解説します。

 

基本手当

「基本手当」とは、いわゆる一般的に「失業保険」と呼ばれているものです。(受給資格や受給額については、この後に改めて解説します。)

 

 

技能取得手当

「技能取得手当」とは、公共職業訓練を受講することで、失業者が再就職しやすくするための手当で、上記の「失業保険」とは別に、受講にかかる日当や交通費などを支給するものです。


日当は一日500円で、上限は月に2万円までとなります。

公共職業訓練の内容は地域によって異なり、窓口は住所地の都道府県労働局になります。

 

 

寄宿手当

「寄宿手当」とは、労働者が上記の公共職業訓練を受けるために、家族と離れて別居することになった場合に支給されるものです。

寄宿手当の額は月額で10,700円です。

 

 

傷病手当

「傷病手当」は労働者がハローワークに求職を申し込んだ後に、病気やケガのために連続して15日以上、働くことができなくなった場合に支給されます。

就労できなかった日数が15日未満であれば、基本手当が支給されます。また傷病手当と基本手当の支給額は同じです。

 

 

 

失業保険(基本手当)の受給方法

失業保険の受給資格

 

失業した男性社員

基本手当を受給するには、以下2つの条件をクリアしていなければなりません。

条件1 失業状態にあること

「失業状態」とは次の条件に全て当てはまることをいいます。

・就職する意思があること
・ハローワークで求職の申し込みをしていること
・いつでも就職できること
・上記3つにも関わらず、なかなか就職先が決まらないこと
病気やケガで就職することができない、結婚退職した後に専業主婦になる予定である、などの場合には失業者には該当しません。

 

 

条件2 雇用保険の加入期間が12カ月以上あること

これは退職日からさかのぼって直近の2年間で、通算して12カ月以上、雇用保険に加入していればよいです。

勤務先が複数でも構いません。

 

 

 

失業保険の受給方法

 

ハローワークで相談を受ける男性

離職票を発行してもらう

前の勤務先が、会社を管轄するハローワークで、退職者の雇用保険の脱退(資格喪失)手続きを行うと、ハローワークから前の勤務先に「離職票」が交付されます。

前の勤務先は、他の退職関係書類と一緒に、退職者宛に「離職票」を送付することになります。(退職日から14日以内)

 

 

基本手当の給付申請

退職者は、前勤務先から離職票が送られてきたら、それを自分の住所地を管轄するハローワークへ提出し、「基本手当の給付申請」を行います。また同時に「求職の申し込み」も行うことになります。

会社がなかなか離職票を発行してくれない場合は、離職票の交付期限(14日)が過ぎた時点で、仮申請を行うことができます。

 

 

失業認定

ハローワークで基本手当の申請が受理されると、「求職者説明会」の案内が届きます。説明会ではハローワークから「雇用保険受給者資格証」と「失業認定申告書」、そして毎月の「失業認定カレンダー」が渡されます。

以後は失業認定日ごとに管轄のハローワークへ行って、失業認定の手続きを行うことになりますが、失業認定されるためには、失業期間毎に最低でも2回以上の求職活動を行わねばなりません。

失業認定されると、遅くとも1週間以内に自分の金融機関の口座に基本手当が振り込まれます。

 

 

 

失業保険の受給期間

 

ハローワーク

離職事由による違い

「自己都合退職」か「会社都合退職」かによって、失業保険の受給開始日と受給期間が変わります。

「自己都合退職」とは、転職や起業のために自分の都合でもって退職した場合をいい、「会社都合退職」とは、会社の都合で退職せざるを得なかった場合をいいます。

 

 

待機期間

基本手当の給付申請が承認されてから7日間は「待機期間」といって、失業保険が支給されません。

待機期間は自己都合退職も会社都合退職も同じです。

 

 

給付制限期間

自己都合退職の場合は、さらにここから3か月間の「給付制限期間」が設けられていて、この期間も失業保険は支給されません(下図上段)。一方、会社都合退職の場合は「給付制限期間」はありません(下図下段)

失業保険の受給期間

 

 

給付日数

給付日数についても自己都合退職と会社都合退職では大きな違いがあります。

会社都合退職の場合は、雇用保険の加入年数に応じて給付日数が逓増(ていぞう)します。また失業保険の申請時の年齢に応じて、給付日数が細かく設定されており、生計の負担が大きい45歳~60歳の年代層に手厚く配分されています。

 

<会社都合退職の場合>

会社都合退職時の失業保険受給日数

 

 

自己都合退職の場合は、全般的に給付日数が短くなっています。

<自己都合退職の場合>

自己都合退職時の失業保険受給日数

尚、自己都合退職であっても「特定受給資格者」もしくは「特定理由離職者」については、給付制限が除外されたり、給付日数が増えるケースもあります。

 

 

 

失業保険(基本手当)の金額

 

謝罪会見

基本手当日額の計算

失業保険の受給額は日額で計算されます(基本手当日額)。

その計算式は以下の通りとなっています。

賃金日額×給付率=基本手当日額

 

また賃金日額は以下の計算式から求めます。

(退職日前の6か月間の給与総支給額)÷180日=賃金日額

 

賃金日額と基本手当日額にはそれぞれ下限額と上限額があります。

賃金日額と基本手当

 

 

給付率

 給付率は離職時の年齢と賃金日額とによって異なります。給付率①

給付率②

給付率の算定根拠となっている厚生労働省の賃金統計に不正があったことが発覚し、社会的な問題になっています。ハローワークによると、正確な基本手当日額を再計算し、2019年春以降から不利益をこうむった人達に不足分を還付する予定とのことです。

 

 

 

失業保険を不正受給したら?

 

悪魔と天使

不正に失業保険を受給した場合どうなるのでしょうか?

一般的に多いのは、再就職が決まったのに、それをハローワークに報告せずに、こっそりと失業保険をもらい続けたり、失業保険を受給中に行ったアルバイトの収入を申告しなかったりするケースです。

私達にはそれぞれ「雇用保険被保険者番号」があり、これは職場が変わっても同じ番号です。よって失業保険を受給中に、新たな勤務先で雇用保険の資格取得手続きを行うと、ハローワークですぐにわかるようになっています。

雇用保険の加入条件は週20時間以上勤務する場合です。

 

不正受給が発覚すると、不正受給した失業保険の返還はもちろんのこと、その倍額の罰金を納めなければなりません。また今後は一切、失業保険が受給できなくなりますので、安易な不正受給は厳に慎むべきでしょう。

END



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