番外編;入社したらすぐに始めたい確定拠出年金運用ガイド

今、確定拠出年金が注目されている理由


企業年金制度と公的年金制度の関係

さて前回は公的年金制度について説明しましたが、公的年金とは別に企業が単独で、もしくは特定の業界団体が、その企業もしくは業界で働く従業員の福利厚生のために、厚生労働省の認可を得て、独自の年金制度を設立する場合があります。

これを企業年金といいますが、企業年金に加入している会社の従業員の場合、国民年金と厚生年金に加えて、企業年金から将来の年金が上乗せ支給されるというメリットがあります。そこで今回は確定拠出年金などの企業年金制度について解説します。

例えば鉄リサイクル企業年金基金を例にすると、同基金では「確定給付企業年金(通称DB)」と「確定拠出企業年金(通称DC)」の2つの制度を運用しています。これらと公的年金との関係を具体的に図に表すと次のようなイメージになります。

複数の年金制度が階層化されていることから、自営業者などの国民年金を1階建部分、サラリーマンの厚生年金を2階建部分、そして企業年金をは3階建部分と呼ぶこともあります。

 

(出典;鉄リサイクル企業年金基金ホームページ)

 

 

企業年金基金のしくみ(鉄リサイクル企業年金基金の例)

企業年金は、みなさんが将来受給する公的年金に上乗せ支給されるものですが、公的年金が保険料を労使折半で負担するのに対し、企業年金の掛金は全額を会社が負担しています。

会社が鉄リサイクル企業年金基金に収める毎月の掛金は、みなさんの給与支給額に応じた標準報酬月額に対して、確定給付企業年金の場合は0.8%、確定拠出企業年金の場合は1.4%(ただし運用手数料として一人あたり400円を加算)の掛金率を乗じて計算されます。

確定給付企業年金はみなさんが65歳になったら、また確定拠出年金は60歳になったらそれぞれ受給することができますが、「老齢給付金」として受け取るか、もしくは「脱退一時金」として受け取るかは、みなさん自身で選択していただくことになります。

ちなみに受け取り方については、老齢給付金はいわば年金方式、そして脱退一時金は退職金方式と言えます。前者であれば長生きするほど受け取る総額が大きくなり、後者であれば脱退時にまとまった額のお金を一括して受け取ることができるというメリットがあります。

ただし受け取り方法の選択にあたっては加入年数などの条件がありますので、詳しく知りたい方は下記サイトでご確認ください。


 

 

確定給付企業年金(DB)と確定拠出企業年金(DC)

確定給付企業年金と確定拠出企業年金はどちらも企業年金の一種ですが、似て非なる特徴を持っています。

さきほど掛金と給付の話をしましたが、“確定給付型”の企業年金は、将来受け取る年金額(給付額)が確定している代わりに、その年金額を保証するために月々の掛金が変動する制度です。掛金が多くなると会社の負担が増えますので、会社がリスクを負う制度とも言えます。

一方で“確定拠出型”の企業年金は、月々の掛金(拠出額)が確定している代わりに、将来受け取ることのできる年金の額は運用成績次第という制度です。掛金を払うのは会社ですが、運用するリスクを負うのはみなさんです。

なお公的年金も企業年金も、我々が収めた保険料や掛金だけで年金給付額をまかなっているわけではありません。公的年金は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、また企業年金はそれぞれの投資運用会社が、会社やみなさんから徴収した年金保険料や掛金を、国内外の株式や債券などに投資して、年金給付のための原資を稼いでいるのです。

 

そのGPIFが年金資産の運用に失敗し、年金の給付原資である14兆8千億円もの大金を、いとも簡単に“溶かして”しまったことは記憶に新しいところです。

このGPIFは典型的な役人の天下り組織ですが、元々役人は経営感覚に乏しいことに加えて、彼らの年金は公務員の共済年金制度でしっかり守られており、運用しているのはいわば他人(サラリーマン)の年金ですから、杜撰な運用となってしまったのは必然だと思います。


 

 

確定拠出企業年金(DC)制度導入の背景

少子高齢化による年金財源不足

従業員が自ら掛金を運用し、将来の年金受給額について運用リスクを負う確定拠出年金制度ですが、下のグラフのとおり、この10年間で導入企業(規約数)および加入者数がほぼ倍増しています。

 

確定拠出年金の推移

(出典;企業年金連合会ホームページ)

 

確定拠出型の企業年金制度が増加している背景には、少子高齢化による社会保障費の増大と保険料収入の伸び悩みがあります。

ちょっと古い統計ですが、1990年から2012年のおよそ20年間で社会保障給付費が2.3倍に増加している一方で保険料収入が頭打ちになり、その不足分を税金でもってカバーしていることがよくわかります(図の上側)。

 

社会保障費と年齢構成

(出典;財務省ホームページ)

その理由は図の下半分を見れば一目瞭然です。社会保障費のうち、およそ50%が公的年金の給付費、また30%が医療介護の給付費ですが、65歳以上の高齢者が激増しているにも関わらず、社会保障費の原資を支えるはずの現役世代(20歳~64歳)が2000年頃を境に減少しています。

これは2012年以後もさらに乖離が拡大しており、団塊の世代が後期高齢者に到達する2025年にピークを迎えると言われています(2025年問題)。このような状態ではもはや公的年金のみに老後の生活資金を依存することは極めてリスキーと言わざるを得ません。

 

 

厚生年金基金の相次ぐ財政破綻

一方の企業年金については、これまで企業年金(厚生年金)基金による確定給付型が主流でしたが、元々の運用が稚拙だったことに加えて、バブル崩壊後の平成不況や2008年のリーマンショックを契機とした世界同時不況の影響を受けて大部分の企業年金基金が財政赤字に陥り、さらに2012年のAIJ投資顧問株式会社によるおよそ2千億円の年金資産消失事件がトドメとなって、企業年金基金は事実上消失してしまいました。


 

参考記事の文中にもあるとおり、ピーク時には1800以上あった企業年金基金が2014年には531になり、そこから急激に減少していったのが下表からもよく確認できると思います。

年金基金の解散数

(出典;政府統計e-stat)

このような背景から、企業年金のひとつとして2001年からアメリカの内国歳入法401条K項を手本に制度設計された確定拠出年金制度(日本版401k)がスタートしました。

当初は導入企業こそ少なかったのですが、退職給付会計の制度変更や確定拠出年金自体が何度かの制度改正を行うことで使い勝手が良くなったこともあり、今後はますます老後資産形成の有効な手段として存在感が増してゆくと予想されます。


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参考

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新社会人が検定資格を狙うべき理由

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