承認欲求が満たされないストレス
すぐに辞めてしまう若手社員
某大手就職情報誌によると、新卒で入社してから3年以内に早期離職してしまう若者(大卒)は全体の3割にのぼるようです。
そして離職の理由で多いのが「職場の人間関係」や「社風や社内の体制」に対する不満だそうです。
これらの背景には、上司や職場から「認めてもらえない」という不満があるようですが、実は最近の上司は部下のフォローがあまり上手ではありません。
部下をフォローできない上司の事情
これには大きな理由が2つあります。
ひとつは平成不況下の経営合理化で「プレイングマネージャー」が増えてしまったことです。
今の管理職は部下のマネジメントをしながら、自らも顧客や業務を担当しなければなりません。勤務時間中は部下のマネジメントに専念し、終業後にようやく自分の作業に手をつけるといった管理職も多いようです。
しかし自分の業務量も決して少なくはありませんので、上司が部下に対してきめ細かなフォローを行うことは容易ではありません。
もうひとつは「就職氷河期」と呼ばれた平成6年頃から始まった極端な新卒採用の抑制です。
この時代に新卒者の多くが正規雇用の機会を失って非正規労働者に流れてしまいましたが、その結果、今になってミドル層がスポンと抜け落ちたいびつな年齢構成になっている企業が少なくありません。
現在残っているシニア層にしても、若手時代に自分達の上司や先輩が大量にリストラされてしまったために、部下の扱い方をきちんと伝授してもらっておらず、あまり部下のフォローが上手とはいえません。
「上司と部下」というより「元請と下請」のような関係になってしまっている職場もあるでしょう。
マズローの欲求5段階説から見える離職理由
アメリカの心理学者のアブラハム・マズロー博士によると、人間の持っている欲求には5つあります。
2.承認欲求 他人から認められたいという欲求
3.集団欲求 家族や職場など、集団に属して孤独から解放されたいという欲求
4.安全欲求 防犯や防災など、安全安心に生活したいという欲求
5.生存欲求 衣食住など、生きてゆくために必要最低限の欲求
これらの欲求は人間が生存してゆくための最低限のものから、自己実現したいという最上位のものまで5段階に階層化されています。
マズロー博士によると、人間とは、下位の欲求が満たされると上位の欲求を満たしたくなるものであり、あくなき成長欲求を満たすために、絶えず努力しつづける生き物なのだそうです。
ブラック企業でもないのに若手が早期離職してしまうような職場であれば、本人の「承認欲求」が満たされていないという可能性があります。人は誰しも他人から認められたいと望むものです。ましてや自分を「人材」として自負していればなおさらのことです。
しかし今は多くの上司が自分の部下に対して充分なフォローができなくなっているために、承認欲求が満たされず、ストレスを溜め込んだ若手が早期離職に至ってしまうケースは多いのではないでしょうか。
承認欲求を満たして職場ストレスをコントロールする
職場ストレスが蓄積される仕組み
承認欲求が満たされない(もしくは否定される)ことによる職場ストレスは、意図的に解消してゆかないとどんどん蓄積されてゆきます。転職で解決できるのであればまだしも、一人で抱え込んでメンタルヘルスを損なってしまっては元も子もありません。
これは職場のストレスの発生要因とそれらが蓄積されてゆくメカニズムをイメージ化したものです。「君が入社してくれて本当に良かった。」「あなたが手伝ってくれると頼りになる。」と周囲から感謝されると、多少仕事が辛くても「また頑張ろう!」という気持ちになるものです。
しかし承認欲求が満たされず、自己肯定感を喪失してしまうような職場環境であれば、精神的なダメージがどんどん累積されてゆき、いずれ仕事や私生活に深刻な影響をもたらします。
承認欲求を満たす機会を意図的につくる
本来であれば職場の上司がうまくフォローしてくれると良いのですが、今や当の上司自身も日常的に過剰なプレッシャーとストレスにさらされ、精神的に参っている人も多いため、上司が解決してくれることを待つだけでは不十分です。
もし社内で承認欲求を満たすチャンスが乏しいのであれば、積極的に社外でそのチャンスを作ってゆくしかありません。
もし職場で全否定されると精神的に大きなダメージを受けますが、職場と自宅を往復するだけの生活ではダメージを軽減する機会がありません。しかし職場以外のいくつかのコミュニティに関わり、そこのメンバーから承認(肯定)されることで、精神的なダメージを相殺することができます。
一般的には「いかに職場ストレスを回避するか」という視点でメンタルヘルスが語られることが多いですが、職場ストレスを受けた場合に「いかにしてダメージを軽減するか」という視点も大事です。
これはリスクマネジメントの考え方と全くと同じで、メンタルヘルスにおいても積極的にダメージコントロールを行ってゆく必要があるのです。
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