人事部長のひとりごと・・・

おじさんが「働かないおじさん」問題を考える


「今さら無理・・・」働かないおじさんはなぜ生まれるのか?(要約)

「働かないおじさん」といえば、かつては「一日中新聞ばかり眺めて仕事をしない」「営業に行くふりをして社用車で居眠り」といったイメージがあったが、最近は「真面目にコツコツ働いている人」まで「働かないおじさん」扱いされてしまうようだ。

ある企業において、2年連続で最低ランクの人事評価だった50代の営業職を集め、3日間にわたって「行動改善」のための研修を行ったが、対象となった社員達の間には「諦め」や「反発」ムードが強く、「今さら無理だ」「多少給与が下がっても定年までガマンすればいい」といった投げやりが発言が散見された。

このような否定的な状態にある人達に対して、会社側の理屈でもって理詰めで論破しても改善効果は期待できないので、研修では「内省」を促すためにグループごとに別れて話し合ってもらうことにし、また上司達から「あなたに期待していること」という手紙を書いてもらって本人に渡すなどの工夫をした。

もっとも彼らは今でこそ「働かないおじさん」と言われているが、かつては会社を支えた戦力であり、また本人達もそれを自負していて、時代が変わって以前のように活躍できなくなってしまったことに不満や閉塞感を感じている場合が多いので、彼らを頭ごなしに否定するのではなく、労力をかけて根気強く「行動改善」をサポートすることが大切だ。

現在の「VUCA」のような先行き不透明な時代においては、「自分たちの仕事は永久に保証されているわけではない」とか「環境が急変しても食いっぱぐれないスキルを身につける」などといったことを平時から社員達に考えさせ、「本人」「上司」「人事部」が連携することで日常業務を通じて「能力開発」や「キャリア形成」に努める必要がある。

記事原文はこちら

「今さら無理・・・」働かないおじさんはなぜ生まれるのか?出世レースから外れた人たちの本音
(難波猛 / ミドル・シニア活性化コンサルタント / ヤフーニュース・bizSPA!フレッシュ  https://news.yahoo.co.jp/articles/ff09e03a5a494ff482544cda3c5021dffb2e3558?page=1)

「働かないおじさん」が狙い撃ちにされている

「働かないおじさん」があちこちの職場で問題になっている

最近「妖精さん」という言葉をよく聞くが、これは童話に出てくる妖精が早朝の一瞬だけ出現して、日が昇る頃にスッと消えて姿が見えなくなってしまうことから、日中どこで何をしているのかわからない「働かないおじさん」を揶揄するキーワードとしてよく知られている。

また先ほど紹介した記事の中では「Windows2000」という新たなキーワードも紹介されており、これは「年収2千万円」の「窓際族」という意味らしく、いわゆる「高給取り」にも関わらず「働かないおじさん」を指すようだが、「それにしてもずいぶんと上手く考えたものだなぁ・・」となんだか妙に感心してしまった。

これら「働かないおじさん」というのは今に始まった問題ではなく、そういえば私が新卒で入社した職場にも、朝から晩まで自席でコーヒーをすすりながら新聞を眺め、終業のチャイムとともに静かにフェードアウトしてゆくような初老の男性がいたことをふと思い出した。

また30代にいた職場では、あちこちに電話をかけまくり、大声で「最近どうよ?調子いい?」といった仕事に関係のない雑談ばかりしていたり、社内をせわしなく回遊しながら「おー元気?頑張ってる?」などと若手に声掛けし、「あー忙しい、忙しい・・・」などとせわしなくしている割には、「結局、あの人ってなんの仕事してるんだろうね?」などと陰口を叩かれるようなオジサンもいた。

あぶり出される「妖精さん」

私が新卒で就職した頃は「バブル経済」が崩壊した直後とはいえ、まだまだ当時の「イケイケムード(意味わかります?)」の余韻が残っていて、まさかこの後に「失われた20年」という日本の長い凋落時代が始まるなどとは誰も想像していなかった。

しかし本格的に「平成不況」に突入し、「リーマンショック」に端を発した「世界同時不況」の影響で、日本の多くの企業はこれまでの「ぬるま湯」的な経営体質を改めることになり、管理職であっても自らも率先して実務もこなす「プレイング・マネージャー」の仕事のスタイルが多くの企業において定着してゆく。

「プレイング・マネジャー」スタイルの出現によって、昭和時代のようにただ自席でふんぞりかえって「ハンコ」を押すだけ、そして仕事は部下に「丸投げ」、定刻になったら「会合」などといいつつ、残業に追われる部下達を尻目に自分だけさっさと退勤してしまうような古いタイプの管理職はだいぶ淘汰されたように感じる。

さらに昨今の「新型コロナクライシス」によって「リモートワーク」が普及し始めると「ハンコ」や「書類」といった日本の職場の「非生産性」がクローズアップされ、最近では猫も杓子も「DX」といった時代になったが、それによって「ITオンチ」の年配の管理職がやり玉にあげられるようになってきた。

「ビフォーコロナ」までは「遅れず・休まず・働かず」といったオジサンであっても、「打ち合わせ」などと称して、職場の同僚とつるんでガチャガチャとやっていれば、なんとなく仕事をしているように見えた。

しかし「DX」によって「Teams」や「Google Workspace」などのプラットフォーム上に各セクションの課業やメンバーのタスクが一元的に可視化されるようになると、「付加価値」を生むような生産的な仕事をしているのか、仕事をしているフリをしているだけなのか、一目瞭然に社内に晒されてしまう。

かつては職場のみんなと同じようなカッコをして、みんなと同じように行動してさえいれば、自分の仕事ぶりの悪さをカムフラージュできたが、DXの時代にはもはや「妖精さんの魔法」は通用せず、シビアに人事評価に反映されるようになってきている。

「働かないおじさん」が生まれる原因はなにか?

「年功序列」が「働かないおじさん」を生む

日本特有の「年功型人事制度」は、仕事の能力に関わらず、「入社年次の序列」でもって「昇進」や「昇給」そして「退職金の額」が決まる仕組みになっており、若いうちは薄給でこき使われる代わりに、20年くらい辛抱するとだんだんと実入りが良くなってくるシステムになっている。

しかしこういった組織では、若手社員の間に「頑張って実績を出して評価をアップしよう」などというモチベーションなど起こるはずもなく、また年配社員にも「若い頃は滅私奉公してきたんだから、これからはゆっくりさせてもらって当然」といった既得権にも似た意識が働くようになり、それを見た若手もだんだんと「働かないオジサン」予備軍と化してゆく。

「職場の和」によって「働かないおじさん」が繁殖する

「メンバーシップ型雇用」も日本独特の不思議な人事制度であるが、このシステムを導入している職場においては「仕事の役割分担」や「職責」が曖昧なので、個々の社員の仕事の成果を客観的に評価することが難しく、さらに前述の「年功型人事制度」によって、入社年次をベースとした「不公平な処遇」が行われやすくなる。

この「メンバーシップ型雇用」を採用する多くの日本の職場においては、「個人の成果」よりも「職場の和を乱さない」ことが重視され、「見ざる・言わざる・聞かざる」といったビジネスにおいてはおよそふさわしくない態度が、むしろ「協調性がある」とか「奥ゆかしい」などと評価されるが、このような「ぬるま湯的」な職場は「働かないおじさん」が繁殖するにはまったくもって好都合な環境だ。

働かないおじさん問題は「内省」と「自己変革」だけでは解決しない

まず会社がすべきこと

まず「メンバーシップ型雇用」を止めて、社内各部の業務を「整理整頓」し、個々の業務の「職務要件定義」を明確にして「適所適材(各ポジションの要件にマッチした人材を採用して配置する)」ベースでの人員配置を断行すべし。

また経団連をはじめ日本では「終身雇用制度」が崩壊しつつあるのだから、もはや意味の無くなった「年功序列型」の人事制度を廃止して「成果主義型人事」に移行し、「年齢」や「性別」また「社歴」に関係なく「能力」に見合った「職務権限」を付与した上で、「実績」に応じた「公平な処遇」を行う必要があるだろう。

確かに「働かないおじさん」に「内省」を促し「自己変革」を求めることも大事だが、私がこれまでに見てきた「上手くいっていない組織」に共通するのは、組織を効率的に運営するための「まともなルール」と「まともな仕組み」が構築されておらず、これらを「まともに運用できる人材が育っていない」ことだ。

よって「働かないおじさん」を個別に”責める”より、「企業ガバナンスの不備」を”攻める”べきではないかと思料する。

「働かないおじさん&おばさん」の課題

未だに「来春に学校を卒業するので、実家から通えるお洒落なオフィスで、事務の仕事に就きたいんですけど・・・」などと寝ぼけたことを言ってくる就活生がいる。

恐らく「就職」を「進学の延長線上」にあるものと勘違いしているのだろうが、少なくとも資本主義社会においては、学生が学校を卒業したからといって、企業側に新卒者を雇用する義務などない。

営利企業において従業員を雇用するのは、組織的に事業を行うことでより効率的に「利潤」を追求できるからであり、そして組織を効果的に運営するためにはなんらかの付加価値を組織にもたらしてくれるような「有能な人材」を獲得することが大事であるが、どのような人材を選別するかは「企業側の自由」である。

世の中にはこういった「企業経営の原理原則」を理解せずに、いったん採用されたらこれ幸いとばかりに途端に働かなくなる人がいるが、すでに多くの企業においては「ぶら下がり人材」を定年まで雇い続ける余力などなく、これからは企業側は手を替え品を替えて「組織の新陳代謝」を活性化してゆくだろう。

ましてや単純作業は「AI」や「RPA」にどんどん置き換わってゆく時代となり、これら新しい働き手には「最低賃金」や「残業上限」などといった労働法令上の制約は受けないし、「システムの入れ替え」も「不当解雇」のリスクもなく自由自在にできるので、昨今の「DX」の波に乗っかって、多くの組織において「人員合理化」が行われることは間違いない。

よって「働かないおじさん&おばさん」は、職場に埋没して定年までやり過ごそうなどと考えずに、自分が勤め先に対してどういった「雇用のメリット」を提供できるのかよく考え、結局のところ冒頭の話に戻るのだが、必要なスキルやライセンスの取得などを行い、職場における自分のプレゼンスを高めることができるような「能力開発」や「キャリア形成」を行ってゆくことをオススメする。

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