人事部の視点 話題のトピック

ひきこもり・ニート問題を人事屋視点で考える(中編)企業がひきこもり・ニートを活用すべき理由


 国内労働力人口の急激な減少

人口減少問題と労働力不足

少子化の影響により、日本の人口は2008年の1億2,800万人をピークに年々急速に減少しています。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると2048年頃には日本の人口は9千万人台まで落ち込むと言われていますが、なかでも深刻なのは減りゆく人口に占める高齢者の比率がだんだん上昇してゆく一方で、税金の担い手である労働者人口が現在の7割から5割程度まで縮小してしまうということです。

さらに今から20年後の2040年には、全国1,800市区町村のおよそ半数が人口減少によって消滅するという、元総務大臣の増田寛也さんの「増田レポート」は社会に大きな衝撃を与えました。

 

外国人材の日本離れが始まった

悪評高き外国人技能実習制度

そこで日本政府は激減してゆく労働者人口を外国人でもって補おうと考え、「海外の発展途上国へ日本の高度先進技術を移転することで開発援助を行う」という名目で外国人技能実習制度を創設し、東南アジア諸国から外国人技能実習生の受け入れを始めました。

しかし、その実態は日本人が嫌う3K(キツイ、汚い、キケン)労働を、低賃金かつ劣悪な住環境でもって外国人に担わせるという国家ぐるみの偽善であり、国連やアメリカの人権団体から、現代の人身売買制度として何度も廃止勧告を受けています。

現代はSNSで簡単に情報発信できる時代であり、日本における外国人への非人道的な扱いは、技能実習生達のツイートなどを通じて瞬く間に世界中に拡散されてしまいました。

 

もはや日本は稼げる国ではない

日本政府はアベノミクス効果による景気回復を喧伝していますが、株価上昇は日銀による日経ETF買い支えによる意図的な操作であり、企業の利潤はほとんどが内部留保に回されて労働者の可処分所得は年々下がっています。

ゆえに日本の賃金水準はアジアの先進国に追いつかれそうな状況ですが、一方で日本企業の長時間労働とサービス残業もまた国際的によく知られており、政府が外国人材受け入れ強化のために特定技能資格を創設したにも関わらず、最近では日本を敬遠して韓国やマレーシアでの就労を希望する東南アジア人が増えています。

 

ひきこもり・ニートは人材の鉱脈か?

現在、日本には40歳~64歳の中高年のひきこもりが61万人、15歳~39歳までの若年無就労者のニートが71万人、合わせて132万人の貴重な労働力が稼働の機会を与えられずに社会の片隅に放置されていますが、この数は全国の生産年齢人口(15歳~64歳、2017年時点)7,600万人のおよそ1.7%に相当します。

これらの内訳については筆者も詳しく調査した訳ではないので十把一絡げに取り扱うことはちょっと無理があるかもしれませんが、慢性的な人手不足に悩む中小企業にとって、アプローチしてみる価値はあるのではないでしょうか。

 

新型コロナの影響による働き方の変化

テレワークの普及効果

仕事は同期型から非同期型へ

新型コロナ拡散防止のための外出自粛要請を受けて、日本国内の多くの企業においてテレワークの導入が進みました。日本全体では2割強が、東京都内ではおよそ半数の企業がテレワークを実施したと言われていますが、それによって従来の働き方も大きく変わりつつあるようです。

テレワークは通勤地獄という人生のムダを排除できるメリットがあるのは周知の通りですが、それ以外についてもTeamsなどのビジネスチャットツールを業務のプラットフォームとすることで、いちいちメンバーが同じ場所や同じ時間を共有せずとも、仕事を進めることが可能になりました。

Teamsをベースとしたテレワークによる非同期型の仕事スタイルは、従来のオフィス集合型よりもはるかに仕事の効率や生産性が高くなりますが、一方で集団行動の苦手なひきこもりやニートにとっても理想的な職場環境となる可能性が高いでしょう。

 

オワコン化する昭和時代の営業スタイル

コロナ禍以前の人手不足の名残か、筆者の元にも相変わらず飛び込み営業や電話営業が頻繁にやってきますが、こういう営業スタイルは頼んでもいないのに一方的にこちらの貴重な時間を奪う迷惑行為以外の何物でもありません。

昭和の時代であれば、アポ無しの飛び込み営業によってかえって度胸を買われるといったシーンもあったかもしれませんが、現代においては間違いなくカスタマーファーストの視点が欠如した、ただの時間泥棒です。

むしろ今はAISASが消費者行動の典型パターンであって、必要なものは消費者の側から検索するものです。経営者は自社の営業マンに旧態依然としたゴリ押し営業をさせるくらいなら、ユーザーオリエンテッドな自社ランディングページを充実させた方がよほど消費者に好印象であることを知るべきです。

これは逆に言えば、営業スキルの必須要件が打たれ強さや押しの強さといった性格的な要素よりも、デジタルマーケティング、ウェブデザインといった理論的かつ技術的な要素が重視される時代になったということです。

性格を変えるのは先天的な要素も多分に影響するので容易ではありませんが、技術であれば学習とトレーニングである程度までは研鑽が可能です。

 

「空気を読む」という悪しき職場文化をなくそう

日本人はすぐに群れて閉鎖的な村社会を作りたがるものですが、この傾向は職場においても顕著であり、同調圧力が強く支配する日本の多くの職場では、空気を読んで、気を利かせられる人が評価され、重用されてきました。

ゆえに対人コミュニケーションの苦手なひきこもりやニートにとって、日本特有の職場風土は社会復帰の大きな障壁となっていましたが、テレワークの職場においてはそもそも時間や場所を共有する必要が無いため、同調圧力が生まれづらく、また空気を読むような芸当も不要になるでしょう。

実はテレワークはダイバーシティ社会と相性が良く、また通勤手当や事務所の賃料および光熱費などの固定費も大幅に削減できるため、企業にとっても本来はメリットだらけなのです。

ある経営者は「それでもメンバーの連帯感を醸成するためにオフィスワークは必要だ」と言っていましたが、これからの組織に必要なのはプロジェクトマネジメントに秀でたリーダーと、アサインされたタスクを忠実にこなせるチームメンバー、そしてTeamsのようなそれらを有機的に結びつけるプラットフォームの3つのみであり、エモーショナルな結びつきはさほど重要ではないと筆者は考えています。

 

CSRの一環としてのひきこもり支援

SDGsとCSR

SDGs(エスディージーズ)とは国連に加盟する196ヶ国(2015年時点)が、相互に連携し、協力しあって17のゴール(目標)と169のターゲット(課題)に取り組み、2030年までに世界中から貧困や差別などを無くそうというものです。

一方のCSRは「企業の社会的責任」のことをいい、自社のステークホルダー(利害関係者)全体に配慮した社会性の高い経営を行ってゆきましょうという趣旨であり、ステークホルダーには株主や顧客のみならず、取引先や自社の従業員、地域社会なども含まれます。

 

CSR無くして企業経営なし

現代の成熟したマーケットにおいては、自社の従業員や地域社会が同時に顧客であるケースも珍しくなく、自社の都合ばかりを優先した独善的な経営はステークホルダーからの支持を失い、事業の永続的な発展が難しくなります。

よってCSRを社会貢献活動に置き換えて、直接的な営利追求とは別に企業の経営目標に掲げている企業も多く、ひきこもりやニート支援などはCSRのテーマとしてまさにうってつけではないでしょうか。

国内の労働力人口がどんどん収縮してゆく中で、企業経営に対しては既成概念に囚われないドラスチックな組織改革と業務改善を推進し、経営効率の大幅な向上が求められています。

一方でそれらのキーとなるのがダイバーシティ経営であり、ダイバーシティ経営はテレワークの導入やCSRへの取り組みを通じて実現できると予想していますが、同時にひきこもり人材の活用とも非常に親和性が高いのではないかと思います。

(次回へ続く)

 

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