人事部長のひとりごと・・・

ISO30414は人事関連ビジネスの追い風となるか・・・


「人財」だの「人罪」だのと言っている場合ではない

「人材」のことを「人財」とか「人罪」などと呼ぶ研修系のコンサルティング会社が巷に溢れているように感じる。

個人的には「人材」はあくまでも「人材」に過ぎず、「人財」だの「人罪」だのといった言い方は好きではない。

それは表面的な語彙に囚われて、「HRM(人的資源管理)」の本質がスポンと抜けてしまっているお粗末な企業が多いからだ。

そんなことをあれこれと考えていたら、「東洋経済オンライン」に、株式会社セレブレインの高城社長が「口先だけ『人を大事にしない会社』が今後陥る苦難~人的資本経営、ISO30414の大波がやってくる」という興味深い記事を投稿していたので読んでみた。

内容は「これからガチの『人的資本経営』と『ISO30414』の大波が日本に押し寄せてくるので、口先ばかりの『人財経営(人材を大切にする経営)』を謳っているような会社は、本気でまっとうな人事に取り組まないとエライ目に遭うぜ・・・」というもの。

https://toyokeizai.net/articles/-/459344

ご参考までに記事の要旨を次章にまとめてみた。

「口先だけ『人を大事にしない会社』が今後陥る苦難」の要旨

自社の社員のことを「人財」などと呼んでいる企業が増えているが、そんな企業に限って「社員の離職率」が高かったり、「従業員満足度」が低かったりなどといった問題を抱えていることが多く、表向きの「ホワイト企業アピール」と実際の「ブラック就労」のギャップの大きさは問題だ。

転職後に「職場風土」や「処遇」のギャップの酷さに驚く人も多く、エン転職の調査によると、転職者のなんと8割もの人が、「社風」や「人事制度」「社員教育の質」について「失望した」と回答し、中には早々と転職活動を再開した人もいたそうだ。

ところで最近、アメリカの証券取引委員会が、上場企業の「IR(インベスター・リレーションズ=投資家向けの広報)」について、従来の「財務諸表」に加えて、投資判断の材料となりうるような「人事管理」や「組織運営」に関する情報開示を義務付けた。

このため米国の上場企業は「人的資本経営」なるものに真剣に取り組まねばならなくなったが、そのひとつの評価基準が「ISO30414(人的資本経営の情報開示のための国際基準)」であり、これらのトレンドは近いうちに日本でも拡大してゆくだろう。

今後、日本においても「建前」と「本音」のギャップの大きい企業は、「従業員満足度調査」などを行い、本気で「人財経営」を行ってゆく必要に迫られるだろうし、また従業員の側も、いずれは「ISO30414」の開示情報をもとに、しっかりと優良な就職先を選択すべきだ・・という内容。

ISO30414に規定する11のガイドライン

「ISO30414のガイドライン」は11項目あって、その内容は次のとおりだ。

  1. コンプライアンスと倫理(社外からの苦情件数と社外で認識されている労使紛争)
  2. 人件費(総人件費、採用コスト、離職コスト、雇用あたりコスト等)
  3. 採用・異動・離職(候補者数、人材流動性、離職率等)
  4. ダイバーシティ(性別、年齢、障がい等による差別の有無)
  5. 健康経営(組織の安全性、ウェルビーイング、労災件数)
  6. スキルと能力(スキル開発、研修にかける費用、研修の充実度等)
  7. 生産性(従業員1人あたり営業利益、人材投資に対するROI等)
  8. 労働力の確保(欠勤率、従業員数、フルタイム当量等)
  9. 企業文化(従業員のエンゲージメント、雇用定着率等)
  10. リーダーシップ(リーダーに対する信頼度、スパン・オブ・コントロール等)
  11. 後継者育成計画(後継者の準備率等)

これらの動きについて、2021年6月に株式会社ワークス・ヒューマン・インテリジェンス社が、従業員500人規模の企業の経営者に対して調査を行った(回答数1,075名)ところ、およそ「6割」が知っており、また「半数」が自社でも推進したいと考えているようだ。

目下、日本の労働力人口が減少する中で、一人でも多くの有能な人材を確保したい企業が、「ホワイト企業」のお墨付きをもらうために「健康経営優良法人認定制度」などへの取り組みを行っているが、近いうちに「ISO30414」も必須の資格となるだろう。

日本の企業はタテマエとホンネのギャップが大きすぎる・・・

先日、新卒入社した新人の8割が「リアリティ・ショック(理想と現実のギャップ)」を受けるという記事を投稿したが、今回の話からしても、どうにも日本企業の多くはうわべだけの「人財重視」ばかりPRして、その内実はお粗末であるケースが多い。

実は先日の就活プレゼンにおいて、某人材エージェントから「あまり自社にとって不都合なことは言わない方がいいですよ・・・」などと余計なアドバイスをされて、少しイラッとしたのだが、そんなものを隠したところで入社したらすぐにバレるに決まっている。

当の本人にしてみたら「入社前と話が違う」となることは判りきったことなので、小賢しい芝居を打つくらいなら、問題をオープンにし、真摯に向き合って、ひとつひとつ地道に改善してゆくしかないのに、なぜそんな姑息な考えに至るのか理解できない。

人事にまつわる課題については「ウルトラC」といった即効性のある逆転技など無いし、また放置しておけば「時が解決してくれる・・」といったものでもない(むしろどんどん問題が悪化して取り返しのつかない事態に陥ることが多い)。

それゆえに人事担当者というものは「経営者の無理解」と「従業員の無知」の板挟みになりつつも、意を決して「火中の栗を自ら拾う覚悟」がなければとてもではないが務まるものではないが、一方で「人的資本経営」や「ISO30414」の流れが加速しつつあるというニュースは、人事の最前線で戦う実務家達にとっては朗報だ。

突然ですが来年起業します!

「あぁまたいつもの口癖ね・・・」などとそのまま本サイトから離脱してはいけない。

実は来年から「副業」でもって中小零細をターゲットにした人事コンサルティングの会社を立ち上げる予定であり、その事業の一環として「ISO30414」のサーベイヤーの仕事を受注できたらと考えている(勤務先の承認済)。

私のパートナーは「社会保険労務士」資格者で、私も恐らく来年には「中小業診断士」試験をパスできると考えており、またそれぞれが長いこと人事畑でキャリアを積んできたので、「我々なら恐らくできるのではないか?」などと、事業化へ向けて目下いろいろとリサーチしているところだ。

これまでいくつかの北海道の中小企業で働いて感じたことは、経営の根幹たる「人事管理の型」ができておらず、もし経営を「格闘技」にたとえるなら、攻撃や防御の「型」を無視して、素人ががむしゃらにこぶしを振り回しているようなイメージだ。

私も格闘技経験者ではあるが、しょせん「素人のケンカ技」など攻撃が中途半端だし、防御もスキだらけなので、しっかりと型をマスターし、ある程度のトレーニングを積んだ格闘技経験者と対戦すればあっという間に倒されてしまう。

これは会社における人事管理も全く同じであり、「ISO30141」はその「型」となりうるものであるから、これをもっと全国に普及させることができたら、国際的に悪評高い日本のブラックで非効率な働き方も改善できるのではないかと期待している。

そして企業各社が本気で人事管理に取り組まねばならない時代が到来するということは、これまでただの「コストセンター」だと思われてきた人事担当者にとって、「副業」や「兼業」を通じ、自らのノウハウを活かして新たなビジネスを創出できるチャンス到来!といったところではないだろうか。

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