人事部長のひとりごと・・・

(悲報)日本の人事部は国際的には圧倒的にレベルが低いらしい・・・


日本の人事部が世界と比べて圧倒的にレベルが低いワケ(要約)

梅本哲さんという医療分野の調査・コンサルティング会社を経営する方が、幻冬舎ゴールドオンラインで興味深い記事を寄稿されていたので以下要約してご紹介したい。

記事要約

日本生産性本部のデータによると、2019年の日本の「一人あたり労働生産性」はOECDに加盟する37カ国中26位で1970年以来最低のランクであり、G7(米、英、仏、独、伊、加、日)においては常に最下位が日本の定位置となっている。

日本の労働生産性が低い原因のひとつとして、終身雇用をベースとした「公平」で「平等」な人事評価と処遇(給与、賞与、昇格等)といった日本企業特有の人事制度によって、「仕事のデキる社員」と「そうでない社員」との待遇がさほど変わらないことから、有能な人材のモチベーションを下げていることがあげられる。

もともと日本企業の「人事」とは勤怠管理や給与計算などの「労務」を前提としており、「労働条件」における「公平さ」や「平等さ」を維持するという考えはあるもの、人材を活用して生産性を高める、いわゆる「HRM(人的資源管理)」という観点に乏しく、よって「人材育成」がないがしろにされてきた。

そして「人材育成の弱さ」ゆえに、日本の企業では「仕事のデキない社員」はそのまま飼い殺しにされてしまい、特に40~50代のIT化やDXの波についてゆけない人達が「企業のお荷物」と化してしまっている。

しかし今後は「仕事のデキない人達」のスキルの底上げを図って人材として活用してゆく必要があり、それにはまず有能な人材の処遇を引き上げて、モチベーションをアップすることが大事である。

記事原文

日本の人事部が世界と比べて圧倒的にレベルが低いワケ(梅本哲/幻冬舎ゴールドオンライン)

https://gentosha-go.com/ud/authors/6170e45b7765613db3010000

そもそも人事部ってどんな部署

記事のタイトルだけを見ると、現役の人事部長としては耳が痛い限りではあるが、その内容はむしろ「日本の人事部がダメ」というより「自社の人材をどのように活用すべきかもう少しきちんと考えたらどうか・・」といった経営者向けの提言ではないかと感じた。

記事の中では、日本企業の「人事」はすなわち「労務」となっていると述べられていたが、個人的には人事部は「労務管理」「採用管理」「人材育成」の3本柱が揃ってはじめて機能するものであると考えており、実際に現在の私のチームもそのような構成となっている。

そして会社組織における人事部の役割とは、社内各部署において「労務管理」「採用管理」「人材育成」が適正に行われているかモニタリングし、また「労働法令の改正」や「人材マーケットのトレンド」などの最新情報をキャッチして、新たな人事施策について経営陣に提案したり、また各部署に対して人事労務上の運用改善を促したりするような「戦略的要素」の強いものであると考えている。

たしかにこれまでは「人事は経営者の独断で決定し、その事務処理を人事部門に下ろすだけ・・・」という企業は多かったかもしれないが、今の労務コンプライアンスが厳しくなり、就労のスタイルや価値観が多様化したHRMの「複雑化」時代においては、経営者がフリーハンドでもって自由に人事を差配できる時代ではなくなった。

よってこれからの人事部は「給与計算」や「辞令作成」などの事務作業ばかりしているようではまったくもって機能不足であり、「いかに自社の人的資源を有効活用し企業の業績向上に結びつけてゆくか・・・」という経営的視点を持って、経営者のブレーンたり得なければ存在意義は無いと考えている。

現役人事部長からみた日本の人事部の課題

もともと私は販売職からキャリアをスタートしたが、会社組織の中枢セクションにおいて、経営管理に近い仕事をしたいと考えて、30歳になったのを機に「人事」や「経理」などの管理部門畑にキャリアチェンジした。

そして現在に至るまで延べ20年以上に渡って大小いくつかの組織の人事業務に携わってきたが、ある組織ではまさに経営者の片腕となって社内の人事異動などの重要事項の決定に参画したり、また違う組織ではただの事務屋として雑用ばかりさせられていたこともあった。

そんな私の経験を踏まえて、ダメな人事部を抱える企業にありがちな特徴を3つあげさせてもらうと、次のとおりだ。

1,人事部をただの事務係だと思っている

人事を扱う部署なのに社内では「戦略部門」として位置づけされておらず、人事部メンバーが給与計算や社会保険手続きその他人事異動にかかる事務を処理するだけの、単なる「一般事務」に成り下がっている場合。

これでは人事部門から「新時代のおける我社のHRMはどうあるべきか?」などといった提案など出てくるはずもなく、社員の「定着率が悪い」とか「労災が多い」などといった「人の問題」はずっと解決されずに放置されたままとなる。

2,経営者が人材投資したがらない

田舎の地場企業では経営者同士の「ヨコのつながり」でもって仕事を仲間内で融通しあう傾向が強く、そんな経営者達からしてみれば「俺が仕事をとってきてんのに、なんでたいして役にも立たないウチの社員どもに還元しなきゃならんの?」といった意識が働きがちだ。

こういった「人材投資」をケチるような会社では社員研修や資格取得支援などの「ES(従業員満足度)」施策が講じられることなどなく、むしろ人材管理は経営者がワンマンで行っており、人事部門すら設置されていないケースも多い。

3,自社の組織運営が下手くそ

「組織運営が下手くそ」とはどういうことか?というと、例えば社内の「業務分掌(社内各部署の主管業務)」や「職務分掌(部署内の業務分担)」がメチャクチャで、古株社員の「えり好み」によって社内の業務が属人化されていたり、経営者の家族や愛人らがおかしな権限をふりかざしているような、組織体として「あるべき秩序」を失っている状態をいう。

こういった組織の人事部はすでにオーナーの「御伽衆」と化していることが少なくないが、「企業は人なり」というように、人事部がハブとなってきちんと組織運営できていないような企業においては商売上の強みがあっても組織的な実行力に乏しいため、結果的に「競争戦略」においても自社が「優位性」を発揮することは難しくなる。

日本の人事部はどこへむかうのか?

かつて昭和の頃の日本の人事部というのは、営業や生産そして管理などの各部門の仕事を広く浅く経験し、社内の事情に精通したエース級の人材が「次期役員候補」として配属されるような出世コースの部署であった。

一方の外資系企業では各事業部門のトップが強力な「人事権」を有しており、人事部門は全社的な人事戦略を策定したり、専門的な案件のみを扱うような少数精鋭の専門家集団であることが多いようだ。

そこで「これからの日本の人事部はどうあるべきか?」という話だが、結論から申し上げると経営陣直轄の社内の「人事コンサルティング&シンクタンク」的な戦略部門となってゆくのではないかと予想している。

日本では「未曾有の人口減少時代」を迎えて「労働力の確保」が年々厳しくなってゆく一方で、「副業・兼業」の普及によって働き方や就労の価値観が「多様化」してゆくので、今以上にHRMが「複雑化」し、また「難易度」が上がってゆくことは想像に難くない。

そして働き方や就労の価値観が多様化した時代においては、潔癖すぎるくらいの「公正な人事評価」と「公平な処遇」の実現は、有能な人材を獲得し、自社に定着させる上でマストな条件となってゆくことは間違いないだろう。

ゆえに最近は「ISO30414」の認証取得などが注目を浴びているのだが、こういった取り組みは単なる事務員レベルで扱えるようなものではなく、「HRM」はもちろんのこと、「統計」や「ビジネスマネジメント」に精通した高度なプロフェッショナル集団でなければ実現できない。

これまでは人事部門の代表的な専門資格といえば「社会保険労務士(労務の専門家)」を指していたが、これからの人事部門には経営組織全般のマネジメントやコントロールといった機能も必須となるので、「中小企業診断士」「内部監査人」などの資格も「人事系資格」とみなされるようになるはずだ。

そして人事部がこういった高度専門職のコラボによるプロフェッショナル集団へと進化してゆくことによって、企業経営における人事部門の位置付けはより一層高まってゆくものと期待している。

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