人的管理の仕事

人事評価に納得できないとき


会社には人事評価がつきものである

人事評価

一般的に多くの日本の企業では、夏と冬の年に2回人事評価が行われ、評価の結果に応じて賞与の査定額や人事異動などが決定されます。

みなさんにも経験があると思いますが、評価が良ければボーナスが増えたり、昇進したりしますし、逆に悪ければ、ボーナスがカットされたり、最悪の場合には降格したり、減給されたりしてしまいます。

このように我々サラリーマンにとっては良くも悪くも避けては通れない人事評価ではありますが、なぜ会社には人事評価という制度があるのでしょうか?

人事評価はなんのためにおこなうのか?

人事評価を行う理由は2つあります。

ひとつは従業員のモチベーションアップのためです。

アメリカのマズローという心理学者によると、人間には衣食住という基本的な生存欲求が満たされると、「他人から認められたい」、「評価されたい」という承認欲求が生まれるのだそうです(マズローの5段階欲求説)。

そんな承認欲求を人事評価によって定期的に満たすことで、従業員には常により質の高い仕事にチャレンジし続けてもらおうという趣旨です。

そしてもうひとつは従業員を教育するためです。

人事評価によって、従業員の日頃の仕事ぶりを評価し、高評価には給与や役職などの処遇で報いることで、従業員を自社の社員としてふさわしい人材に育成してゆくのです。

人事評価はどのように行われるのか?

最近の人事評価のトレンドは、「コンピテンシー」と呼ばれる職種や職位ごとに抽出したハイパフォーマーの思考や行動の習慣と、個々の従業員の日頃の行動パターンを比較するコンピテンシー評価と、売上や利益などの目標達成率による業績評価のハイブリッドです。

そして人事評価を行う前に、上司と部下が一緒になってコンピテンシー目標と業績目標を設定し、評価期間の途中でフォロー面談を行いながら、上司と部下が二人三脚で目標達成へ向けて進んでゆくMBO(目標に基づく人事評価)方式が主流になっているようです。

最終的にMBOに基づき従業員が自己評価を行い、それに対して直属の上司が一次評価を行い、最終的に経営層が最終調整を行って、賞与の支給額や昇進などの処遇が決定し、確定データが人事部に降りてくる・・・というのが一般的な流れです。

人事評価が低い人に共通すること

ところで一生懸命に頑張っているのにどうしても人事評価が低い人がいます。

筆者自身もいくつかの職場で上司から評価をされたり、また部下の評価を行ったりした経験がありますが、人事評価が低くなりがちな人にはある共通の特徴があります。

それは会社が期待している成果と、本人が頑張ったと思っている成果との間に、ギャップが生じているということです。

こういう人に共通しているのが、「仕事の評価は他人(会社、上司)が行うもの」という組織人にとっての基本的な認識が欠如していることです。

もしこういう方がいたら、自分の仕事の発注者は会社であり、上司を通して仕事を受注しているのだと思って、仕事の指示を受けるようにすると良いでしょう。

発注者の意向をきちんと反映させて成果物を納品するように心がけると、きっと上司との関係も良くなり、会社に評価されやすいような仕事の習慣が身につくるようになると思います。

公平な人事評価など存在しない

人事評価というものは、人が人を評価する以上、公平性には限界があります。

そもそも上司は神ではありませんので、「天網恢恢疎にして漏らさず」といったように神眼でもってあらゆる方位から部下を公正に評価することなど不可能です。

また上司も人間ですからどうしても部下に対する好き嫌い、もしくは相性の良し悪しのような感情的バイアスがかかるのは避けられません。

たとえば業績評価のような定量的なモノサシであれば、上司の恣意性が介在する余地は小さくなるかもしれませんが、コンピテンシー評価については結局のところ評価される側にしても、評価する側にしても、主観的にならざるを得ないのではないでしょうか。

人事評価に納得できないとき

不公平な人事評価は無いにこしたことはありませんが、「上司に好かれるのも能力のうち」などといって、情実人事が横行している会社も世の中にはたくさん存在します。

また上司自身には部下に対して依怙贔屓をしているつもりがなくても、ある部下にとっては不公平な評価をされている、と感じる場合もあります。

さらにジョブ型雇用が遅れている日本では、どうしても採用基準が曖昧になりがちで、それゆえに入社してみたら「社風に馴染めない」などというミスマッチも起きやすく、それが人事評価の不公平感につながってしまうのではないかとも考えます。

さて、もし不幸にしてそんな環境に身をおいてしまったらどうしたらよいのでしょうか?そんな方のために、最後に筆者が敬愛してやまないドラッガー博士の名言をご紹介しつつ、筆をおかせて頂きたいと思います。

「組織が腐っているとき、自分が所を得ていないとき、あるいは成果が認められないときには、辞めることが正しい道である。出世はたいした問題ではない」
(P・F・ドラッカー『非営利組織の経営』)

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