人事部の視点 労務管理の仕事

部下を持ったら知っておくべきリーダーの常識(その3)ルーチンワークの重要性


チームリーダーはなんのために存在するのか?

組織で仕事をする理由

会社は事業を行って利益をあげ、ステークホルダー(出資者、債権者、取引先、従業員、地域社会)に利益を還元するためにこの世に存在します。そして事業活動を効果的に行うための装置が会社組織なのです。

経営学者のP.F.ドラッガーは「メンバーがお互いに不得手を補い合い、個人の限界を超越するために組織でもって仕事をするのだ。」と述べています。

ゆえにチームリーダーは個人プレーではなく、組織でもって成果をあげてゆくように心がけ、自分のチームが組織としてスムーズに機能しているか常にチェックとフォローを行う必要があるのです。

 

リーダーとマネジャーの違い

前回までは勤怠や給与などの労務管理の話でしたが、今回は業務管理におけるチームリーダーの果たすべき役割について解説します。

業務管理とは、自部署の担当業務がミスや遅延なく遂行されているか管理することであり、本来ここでいうのはリーダーではなくマネジャーの仕事です。

厳密に言えば、リーダーとマネジャーは別物です。

リーダーが組織において果たすべき役割は、メンバーに対してゴールを示し、叱咤激励してメンバー全員をゴールまで導く(リードする)ことであり、マネジャーはメンバーの業務タスクが計画通りに遂行されているか、進捗状況を管理(マネージ)するのが仕事です。

よって今回の趣旨に照らし合わせると、仕事の性質的にはマネジャーの方が適切かもしれませんが、一般的には現場の業務管理の責任者をチームリーダーというケースが多いことから、ここではリーダーという呼称で進めさせて頂きます。

なお一般的な役職で言えば主任や係長などの監督職ほどマネジャーの要素が強く、部長などの上級管理職になるにつれてリーダーとしての役割が求められるようになります。

 

ルーチンワークの重要さ

ルーチンワークのメリット

結論から言えばチームリーダーの仕事は自分のチームのルーチンワークを確立し、部下にルーチンをしっかり叩き込み、ルーチンが適正かつ永続的かつ遂行されるように管理してゆくことです。

ルーチンワークとは定型化された業務のことをいい、業務の定型化とは、個々の業務が、いつ、誰が、どこで、誰に、いつまでに、いくらの予算でもって遂行されるべきか、手順や出来栄え基準が明確にされたものです。

業務をルーチン化することのメリットは、いちいち作業に着手するたびに、手順を考える必要がないので、チームメンバーで業務を共有し、誤解や遅延といった業務のエラーを最小限にとどめ、最短距離でゴールに到達できることです。

また業務ごとに手順が明確に定められ、チーム内で共有されているということは、チームリーダーにとっても業務の進捗が把握しやすく、ルーチン外の事態すなわちイレギュラーが発生した際にはいち早く察知することができるようになります。

 

ルーチンワークなくして経営なし

一般的にはルーチンワークはつまらない雑用といった意味で用いられることもあるようですが、前述の経営学者P.F.ドラッガー博士は「経営マネジメントの仕事の9割以上は、自分の組織におけるルーチンワークの徹底である」と喝破しています。

筆者もこれまでに多くの組織の業務プロセス改善に関与してきましたが、経営のうまくいっていない組織に限ってルーチンが確立されておらず、ワンマンなボスのその場の思いつきでもって現場の担当者に指示が放り投げられ、ゆえに現場が疲弊してエラーが多発し、モチベーションを失った従業員の離職が多発している、という特徴があったように思えます。

そういう意味ではルーチンワークとは経営管理の基本動作であり、ルーチンワークの確立と確実な実行なくして健全な経営はあり得ないと言えます。

 

ルーチンワークを確立する

業務の現状分析をおこなう

業務を執行頻度によって整理する

もし自分のチームにおいてルーチンワークが確立されていなければ、チームリーダーがチームメンバーをリードしてルーチンワークを整備してゆくべきであり、むしろそれこそがリーダーの本来の仕事です。

ルーチンワーク確立の具体的な方法は、まず自部署の現状の業務を徹底的に洗い出し、業務の執行頻度ごとに整理することです。

そして業務の執行頻度とは、例えば洗い出した自部署の諸々の業務を、その実施時期によって年次業務、月次業務、週次業務、日次業務に分類することです。

 

業務プロセスをIPOで分析する

業務を執行頻度ごとに整理したら、次は個別の業務ごとに業務プロセスを分析します。

業務プロセスの分析にあたっては、IPOというフレームでもって整理しましょう。IPOとはInput(業務の受注)→Process(業務の処理)→Output(業務の完了)という仕事の一連のプロセスの頭文字をとったもので、世の中のほとんどの業務がIPOというプロセスで成り立っていますが、IPOを意識して整理することで、業務のプロセスがよく見えるようになるのです。

 

5W2Hで具体的にルールづけする

個々の業務のIPOを把握したら、それぞれのプロセスを5W2Hでルールづけします。

5W2HとはWhat(何を)、Why(何のために)、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、How(どうやって)、How much(いくらの予算で)というように、業務の具体的なアクションプランを策定する際の伝統的なフレームワークです。

By when(いつまでに)や Whom(誰に)など、業務に内容に合わせて組み合わせを変えても良いですが、大事なことはWhatとWhyを明確に定義づけすることです。

Whatが曖昧では仕事の方向性すなわち他の要素である4W2Hがブレます。またWhyが明確でないとイレギュラーが発生した時に、メンバーがゴールを見失って遭難するからです。

 

ルールと仕組みを構築する

このようにルーチンワークの確立のポイントは業務のプロセスを整理にし、目的や担当を明確にして個々の業務のルールづけを行うことです。

そしてそれらの業務遂行に必要なツールやフォーマット、すなわち仕組みを手当して、効率的にルーチンワークが遂行されるようにするのです。

これこそがチームリーダーの本来の仕事であり、組織が効果的に機能するための必須要件でもあります。

 

現場リーダーのすべき仕事

部下のトレーニング

ルーチンワークが確立できたらこれをマニュアルなどに落とし込んでチームメンバー全員が“眼に見える”形でもって共有します。

そしてマニュアルをもとに部下に対してルーチンワークを指導・教育してゆきますが、ここで大事なのは逐一マニュアルを持ち出して指導・教育を行うことです。

こうすることによって、上司不在の場合でも部下達はマニュアルを調べて自発的に疑問や問題の解決を図ってゆくようになるのです。

そして上司からいちいち言われなくても、部下達がルーチンワークをモレなく遅滞なく実行できるまで、何十回、何百回と根気よくOJTを繰り返して指導・教育を行いますが、実は業務のルーチン化において最も難しいのがこの指導・育成のプロセスなのです。

一方で、残念ながら一年ほど根気よく指導を続けても、どうしても育成できない部下が現れることがあります。

こういう部下には2つのタイプがあって、ひとつは知識の理解度やスキルの習熟が芳しくないタイプですが、これは社外研修や講習会などのOFF-JTを活用すると見違えるように成長することがあります。

もうひとつは本人の意欲やモラルに問題があるタイプですが、これは人事部を交えて上席者に相談し、他部署へ配置換えをするしかありません。

特に仕事に対してネガティブなタイプは周囲にも悪影響を与え、放置しておくと意欲的で有能な人材が腐って辞めてしまうこともあるため、外科的な措置が必要です。

 

イレギュラーの発見と解消

ルーチンワークを確立することでチーム全体の業務の流れがよく見えるようになると、ルーチン外の事態が発生しても早期発見、早期対処が可能になります。

このように本来のチームリーダーの仕事とは、自分の部署のルーチンワークを確立し、それを部下にしっかりと叩き込み、自分はイレギュラー対応に専念することです。

平成不況あたりからプレイングマネージャーなどという言葉が生まれ、経営合理化の一環としてチームリーダーにもルーチンワークを担当させる風潮が強くなりましたが、チームリーダーが雑務に負われて業務管理どころではなくなり、企業の不祥事が相次いでいる事例を見るにつけ、リーダー教育以前の問題として、経営者自身が自社のチームリーダーの役割について見直すべきであるかもしれません。

 

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