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部下を持ったら知っておくべきリーダーの常識(その5)イザという時の雇用保険のキホン


雇用保険制度について

加入対象者

社会保険と併せて給与から天引きされるものに雇用保険料があります。雇用保険は週20時間以上勤務する、公務員を除くほとんどの労働者が加入対象となっています。

社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金)同様に、入社時に会社を通じてハローワークへ資格取得の申請を行うことで制度に加入し、退職時に資格喪失の届出を行って脱退します。

 

雇用保険料を徴収する目的

雇用保険料も社会保険料と同様に労使双方から保険料を徴収しますが、それらの保険料は大まかに3つの目的に充当されています。

ひとつは就職や雇用継続のための各種手当や給付金(次項で詳述)の原資として、残りふたつは雇用保険二事業といわれる雇用安定事業と能力開発事業のための財源です。

 

雇用保険料の計算方法

雇用保険料は原則として社会保険料と同じように、給与の支給額に保険料率を乗じて計算しますが、社会保険料が個々の給与を標準報酬月額表に当てはめてから計算するのに対し、雇用保険の場合は、個人ごとの賃金総額に保険料率をダイレクトに乗じて計算します。

保険料率は2つに分けられていて、就職や雇用継続のための各種手当や給付金の原資に充てる部分は1,000分の6(0.6%)で、従業員と会社がそれぞれ折半して負担することになっています。

また雇用保険二事業の財源に充当する部分については、従業員の賃金総額の1,000分の3(0.3%)であり、こちらは全額会社負担となります。

(注)2020年時点の料率。また農林水産業、清酒製造業、建設業は料率が異なります。

 

雇用保険の納付方法

社会保険料は年金事務所を経由して毎月納付していますが、雇用保険料は労災保険料と合算した概算保険料を毎年6月1日から7月10日までの期間中に一括納付し、翌年の同じ時期に確定保険料と相殺する仕組みになっています。

これを労働保険の年度更新もしくは確定申告と呼んでおり、会計上はいったん仮払金で計上しておき、毎月の給与計算時に仮払金と社員預り金(従業員負担分)および法定福利費(会社負担分)を相殺処理するのが一般的です。

 

知らなきゃ損する雇用保険の給付金

失業給付

雇用保険の代表的なものが失業給付であり、世間一般的に「失業保険」と言われているものです。

失業保険は正確には「求職者給付」といい、失業者となった時から2年以内に雇用保険に12ヶ月以上加入(期間が途切れることなく連続して12ヶ月間加入する必要あり)していた場合に、失業時点の年齢やこれまでの雇用保険の加入期間および離職した理由によって、最大330日から90日間にわたって失業給付金を受給できる制度です。

失業給付の金額は、退職日前の6ヶ月間の給与総支給額の平均日額に、平均日額の金額に応じた給付率(80~50%)を乗じて計算した基本手当日額です。

この基本手当日額に個人別の給付日数を乗じた額が受給できる失業給付の総額となります。

 

高年齢雇用継続給付

60歳到達時の給与に対して75%未満の給与条件でもって60歳から65歳までの高年齢労働者を雇用継続する場合に、本人に対して減額後の給与の最大で15%に相当する給付金を支給することで、労使双方にとって雇用継続しやすい環境を整備するための制度です。

 

育児休業給付

ざっくり言えば1歳未満の幼児を養育するために育児休業を行った従業員のうち、育児休業を開始した日の直近2年間で雇用保険に12ヶ月以上加入していた人に対して、育児休業時点の1日あたり平均賃金額の50%~67%の給付金を支給する制度です。

少子高齢化対策の一環として、育児休業中の経済的支援を手厚く行うことで、出生率の改善を期待しています。

 

介護休業給付

家族の介護を行うために介護休業を行った従業員のうち、介護休業を開始した日の直近2年間で雇用保険に12ヶ月以上加入していた人に対し、介護休業時点の1日あたり平均賃金額の40%の給付金を支給する制度です。

団塊の世代が一斉に後期高齢者になる2025年に日本の介護ニーズがピークを迎えますが、介護休業給付金により在宅介護を促進することで、介護サービス提供体制の不足をカバーするのが目的です。

 

教育訓練給付

雇用保険に3年以上加入している従業員(もしくは以前に教育訓練給付金を受給してから3年以上雇用保険に加入している従業員)および失業により雇用保険の資格を喪失してから1年以内の人に対して、厚生労働大臣指定の教育訓練(通学、通信教育、Eラーニング等)を受講して修了した場合、それらにかかった費用の20%(ただし上限10万円)を補助する制度です。

 

話題の新型コロナ雇用調整助成金とは?

もともとは普通の雇用調整助成金がベース

新型コロナ関連で事業を廃止したり休業を余儀なくされたりしている企業が増加しています。コロナ関連の倒産件数は全国で222社(6月5日時点、帝国データバンク調べ)に達しますが、併せて休業件数も宿泊サービス業を中心に相当数に上ることが予想されます。

この場合、あくまでも事業の都合による休業なので、会社は従業員に対して平均賃金の6割以上の休業補償手当を支給しなければならず(労働基準法第26条)、これが企業の資金繰りを圧迫します。

特に内部留保の薄い大部分の中小企業にとっては経営上のダメージが大きいため、事業再開の目処が立たないのであれば・・・と従業員の解雇に踏み切る企業も出てきました。

雇用調整助成金とは、経営不振であっても従業員の解雇を行わず、休業補償を継続している企業に対し、従業員に支払っている休業補償賃金のうち、大企業であれば2分の1、中小企業であれば3分の2を補助する制度です。

 

新型コロナに基づく特例措置

今回の新型コロナについては日本全国の企業活動に大きな影響を及ぼしていることから、従来の雇用調整助成金の支給要件を緩和し、なおかつ支給内容を手厚くしたものです。

例えば一般的な雇用調整助成金は従業員を休業させる前に、事前の助成金申請および休業計画の届出が必要でしたが、新型コロナによる特例助成金においては、休業させてしまった後の事後申請でも認めることとしました。

また経営不振の要件が一般的な雇用調整助成金であれば直近3ヶ月間の業績が前年比で10%以上ダウンしていることが確認できなければ支給されませんでしたが、今回は1ヶ月間で5%ダウンであれば支給要件を満たすものとしました。

さらに助成率は大企業であれば企業が負担している休業補償賃金の3分の2、中小企業では5分の4、そして解雇を行わなかった場合には大企業で4分の3、中小企業で10分の9もしくは100%助成を行うこととしました。

これは一般的な給付金行政において、事前申請と厳しい支給要件そして煩雑な申請事務の割に少ない助成額が当たり前とされてきたことを考えると極めて画期的なことであるといえるでしょう。

なお5月29日時点の支給申請件数は延べ72,896件であり、うち支給決定されたのが35,366件(決定率48.5%)、支給予定総額で184億円弱となっていますが、申請手続きの煩雑さや行政側の事務処理スピードの遅さがネックとなっており、資金繰りが逼迫している企業側のニーズに充分に応えられていない状況です。

今後はリモート実施率わずか3%ともいわれる官庁の事務効率の悪さをいかに早期に改善し、新型コロナ雇用調整助成金の機動的な運用が実現できるかが課題でしょう。

 

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