人事部の視点 労務管理の仕事

部下を持ったら知っておくべきリーダーの常識(その7)安易な採用は会社を潰す


安易な採用は会社を潰す

新型コロナ関連倒産の共通点

倒産企業に共通すること

帝国データバンクによると、新型コロナウイルスに関連した倒産企業件数は237件になりました(2020年6月10日時点)。

倒産の内訳を産業別にみると、「ホテル・旅館」(40件)、「飲食店」(30件)、「アパレル・雑貨小売店」(17件)、「食品製造」「食品卸」(各15件)、「建設」(10件)が上位を占めていますが、これらの産業に共通することは労働集約型であるということです。

 

労働集約型産業の特徴

労働集約型産業とは、労働力もしくは労働サービスの提供によって収益を生みだす事業スキームの産業であり、人材を介すること無しにはビジネスが成立しない業界といっても過言ではありません。

そして労働集約型産業の多くが、大量の従業員を抱えており、一連の新型コロナの影響によって、従業員を休業させざるを得ない状況に追い込まれていました。

 

労務倒産って知っていますか?

労務倒産が起きる仕組み

労務倒産とは、重たい人件費が企業の収益を圧迫し、企業が赤字になって倒産してしまうことをいいます。正確には人件費の増加によって給与の支払いも増え、資金繰りが悪化して資金ショートを起こすことで企業が倒産に追い込まれてしまうのです。

実は企業というものは、赤字でも資金さえ回っていれば簡単には倒産しませんが、資金が枯渇するとあっという間に潰れてしまうものなのです。

 

「人が足りない!」は現場の常套句だが・・・

どこの企業でも「人が足りないので補充してくれ!」というのが現場の常套句ですが、経営感覚の無い幹部は現場の要望を安請け合いし、むしろ現場の人気取りよろしく安易に人員を補充してしまいます。

しかし日本では労働基準法によっていったん採用した人材は簡単には解雇できないので、人員計画なき採用はいずれ企業の倒産リスクを招くことになります。

 

知っておきたい人件費の基礎知識

会社の損益構造のキホン

会社の決算書は3つ

人員計画を策定するためにはまず会社の数字を理解しておく必要があります。

会社の数字とは決算書のことであり、一般的に財務3表と言われている「貸借対照表」、「損益計算書」、「キャッシュフロー計算書」の3つを指します。

「貸借対照表」は1年間で会社の財産がどれくらい増えたのか、「損益計算書」は1年間でどれくらい儲かったのか、そしてキャッシュフロー計算書は期末にキャッシュ(現金)がどれだけ残ったのか、ということを表します。

 

人件費は損益計算書でみる

財務3表のうち、人員計画の策定に最も密接に関わるのが損益計算書です。

損益計算書は「売上」と「費用」をそれぞれ左右に配置してありますが、費用はさらに「販売費および一般管理費」、「経常費用」、「特別費用」に分けられ、人件費は「販売費および一般管理費」の中に含まれています。

 

人件費に含まれるもの

給与イコール人件費ではない

給与費が人件費であることについては誰も反論の余地はないと思います。

しかし人件費には法定福利費、退職引当金、企業年金の掛金なども含まれており、給与と賞与の支給額だけが人件費ではありません。実は人を雇うということは、我々の眼に見える以上にコストがかかっているものなのです。

 

人材投資は不確実性が高いもの

経営の4大リソースはヒト、モノ、カネ、情報と言われていますが、中でもヒト(人材)は調達してすぐに性能を発揮できる訳ではなく、成果があがるまでに教育訓練のための時間とコストがかかるのが普通です。

そして品質の当たり外れが多いのも、人材リソースの特徴でもありますので、人材投資は非常に不確実性の高く、ゆえにより慎重に行う必要があるのです。

 

人件費の目安

損益計算書の正しい活用方法

人件費が適正水準かどうか判断するために損益計算書を使いますが、損益計算書は“他の何か”と比較することではじめて有効に活用できます。

“他の何か”とは、例えば業界平均データや自社の計画もしくは前年同期の実績などであり、分析する目的に応じた適切なデータと対比することで、実績の良し悪しを検証するものなのです。

 

自社の適正な人件費率知っていますか?

例えば他社の人件費と自社の人件費を比較する場合、売上高や人員規模などが全く異なるのであればあまり比較の参考にはなりませんので、比較する時は原則として売上高対人件費比率(人件費率)を用います。

これは人件費を売上高で割って、売上高に占める人件費の割合でもって他社や自社の前年実績と比較を行う手法です。人件費率は業界ごとに一定の傾向があるので、自社のものと比較してみると面白いでしょう。

 

日本では人件費は固定費

固定費と変動費

費用の分析の方法として、費目を固定費と変動費に分けて検証する方法もあります。

固定費とは、例えば工場の家賃や機械のリース料など、売上の多寡に関わらず毎月一定コストが発生するものであり、人件費もこれに含まれます。

一方の変動費とは原料や商品の仕入れ費用のことです。変動費は売上高に比例して増加するものですが、逆に言えば売上ゼロならコストもゼロということです。

経営安全性の高い企業の特徴として、費用に占める固定費のウエイトが小さいということがあげられます。

 

労務倒産の原因は人件費よりも資金ショート

昔から「勘定合って銭足らず」といいます。

これは現代の商売でも同様で、例えば売上高は商談成立の時点で計上しますが、代金の入金は翌月末というケースはよくあることです。

ここでもし売上が入金される前に、例えば従業員の給与支給日が到来すると、支払い資金がショート(不足)してしまう恐れがあります。

取引先に対してであれ、従業員に対してであれ、本来支払うべき約束(債務)を履行できなければ会社は信用を失い、取引停止や口座凍結を招き、やがて事業活動を停止すなわち倒産せざるを得なくなるのです。

 

労務倒産しないための基本原則

人件費の予算化

売上予算から人件費予算を見積もる

労務倒産しないためには人件費を予算化し、毎月の実績と突合して適切なコントロールを行わねばなりません。

人件費予算は、業界平均などをもとに自社の目標人件費率を決め、売上予算に乗じることで計算することができます。

 

人件費予算から適正人員数を割り出す

人件費予算を設定できても、管理の対象はヒトなので、自社の適正人員数を見積もり、人員数のコントロールをする必要があります。

適正人員数を見積もる方法としては、自社の業種、社員の職種および年齢層を整理し、統計データの平均的な年収相場を当てはめて、セクションごとの適正人員数を割り出してみるとよいでしょう。

 

固定費を減らす

事務の合理化

労務倒産回避のもうひとつの方法は固定費を圧縮することです。

特に今回の新型コロナ関連の倒産は、労働基準法などの縛りによって人件費(固定費)をコントロールしづらい労働集約型産業に集中していましたが、製造部門を除くホワイトカラー職種においてはリモートワークを進めて事務の合理化を図るべきでしょう。

リモートワークを進めることでペーパーレス化やキャッシュレス化が実現するので、書類や現金の管理にかかる人員を削減できます。また執務室や会議室を大幅に縮小できるため、それらの家賃や光熱費および清掃費なども節減できるでしょう。

 

現業の外注化

併せて製造部門については外部委託を進めるべきです。

新型コロナの一件にかかわらず、現在は個々のビジネスの寿命が短命化しているため、工場設備や機械装置およびそれらのオペレーターなどの重たい固定費を抱えていると、マーケットの激しい変化に柔軟に対応できず、泥舟よろしく会社がズルズルと沈没していってしまいます。

経営戦略策定の際に経営者が見落としがちなのが、事業が不採算になった場合の撤収戦略です。重たい現業部門の外注化はリスクヘッジのためには不可欠です。

 

付加価値を生まない部門は内製化しない

これはバリューチェーン図といって、企業内において事業部門と管理部門がお互いにどのように関わり合って利益すなわち付加価値を生み出すのか、という仕組みをモデル化したものです。

バリューチェーン

たしかに事業の全プロセスを自社グループ内で一気通貫することでグループシナジーを生み出すケースもありますが、多くの日本企業においてはむしろこのバリューチェーン図を自社組織に当てはめてみて、付加価値を生み出さない部門についてはさっさとアウトソーシング化した方が賢明であり現実的ではないかと思います。

 

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