人事部長のひとりごと・・・

6割が管理職になれない年収格差の時代をどう生きるか?


課長・部長になれないと年収差は500万円。しかも6割が管理職になれない(記事要約)

産労総合研究所の調査によると「平社員」と「部長職」の年収差は500万円もあり、また「50歳代」では「6割」が管理職につけていない。またコロナ禍で「非正規」と「正社員」の「賃金格差」が露呈したが、「成果主義」の導入によって平社員同士でも数百万円単位で年収格差が生まれている。

あるゲーム機メーカーでは10年前に「年功賃金」を廃止し「成果主義」の賃金体系に移行したところ、「同期入社」であっても賃金格差が拡大し、その会社では表向きは「平均年収650万円(43歳)」と公表しているが、実態は最高1,500万円から最低400万円とばらつきが大きく、平均年収を計算する意味が無くなっている。

「大企業」ではさらに「役職者」と「平社員」の「年収格差」が拡大する傾向にあり、またある大手精密機器メーカーでは「平社員同士」であっても、かつての「年功賃金」時代の時代には平均年収の格差は「4%程度」に収まっていたのが、「成果主義」を導入したら賃金格差は「16%以上」にまで拡大してしまった。

現在は「平社員同士」の格差が拡大しているうえに、「役職」に就くか否かで格差はさらに拡大してしまうが、昔に比べて「管理職のポスト」が少なくなっており、賃金センサスによると、50歳代で部課長のポストに就く者は全体の「39.9%」にとどまっているため、半数の社員が「ヒラ社員」でキャリアを終える。

こうした状況にも関わらず「管理職になりたくない・・・」という人も多く、マンパワーグループの調査ではなんと「正社員」の「83.0%」が「管理職になりたくない」と回答しており、次代を担う世代である「20~30代」の「6割超」の人が「責任の重たいポストに就きたくない」と考えていることは、日本の生産性改善の観点から由々しき問題である。

記事原文はこちら

課長・部長になれないと年収差は500万円。しかも6割が管理職になれない

(溝上憲文 人事ジャーナリスト BUSINESS INSIDER https://www.businessinsider.jp/post-246129 )

年収差は仕方ない

前述の記事では「役職者」と「平社員」との間で「賃金格差」が広がっており、また「年功型賃金」から「成果型賃金」へのシフトによって、「平社員同士」でも「賃金格差」が大きくなっている・・・と述べているが、個人的には「職責の軽重」や「成果」によって賃金などの処遇に格差が生じるのは仕方ないと考えている。

なぜならば「役職」や「賃金」を「成果」に関わらず一律でもって処遇するということは、有能な人材にとっては「平等」どころかむしろ「不平等」な人事制度ということになり、業務プロセスを改善し、仕事の生産性を上げて収益性を向上させてゆこうというモチベーションを大きくスポイルしてしまう。

しかし未曾有の人口減少と超高齢社会に直面している現在の日本において「労働力の減少」は「経済力の弱体化」を招き、それはすなわち国際社会における日本の地位を貶め、やがて近隣諸国との「国防問題」にも強く影響してくると思われるため、この国難を乗り切るためには日本企業各社における「生産性の改善」は喫緊の課題であり、手厚いインセンティブでもってハイパフォーマーを積極的に活用することが不可欠となる。

なお海外では「管理職」と「専門職」とでは前者を厚く処遇する傾向が強い。それは自分の専門領域だけに専念していればよい「専門職」と違って、「管理職」は「他人の成果」を通じてチームの業績を追求してゆかねばならず、一方で「他人の管理」ほど面倒くさくて思い通りにゆかないものはないが、チームを活性化してメンバー同士の協働でもって仕事をした方が個人で作業するより大きな相乗効果が得られるため「専門職」に比べて「管理職」の方が厚遇されるのだ。

管理職のポジションはなくなる・フラット化する組織

「年収アップには出世が不可欠だが今の日本企業では管理職のポストが激減している」という先の記事だが、「リモートワーク」や「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」の拡大によって「書類」や「ハンコ」または「現金」を管理するような仕事が無くなってゆくため、この流れが変わることはないだろう。

むしろ「Teams」や「Google Workspace」を使い倒している方ならよくご存知だと思うが、「メンバーのスケジュール調整」「社内の意見や要望の集約」といった作業についても、経営者自らが手元のパソコンでサッと処理できる時代になったので、これまで主に中間管理職が担ってきた「調整」だの「とりまとめ」だのといった業務も早晩無くなるはずだ。

一方で「会議の時にはA取締役には昆布茶を出して・・・」とか「B部長の資料だけはB4サイズで印刷して・・・」などといったムダな「ローカル・ルール」がはびこっている職場は多く、これらの「雑務」を嬉々として回すことで自らの存在意義をアピールして、ポストにしがみついているような古い管理職もまだまだ存在するようだ。

こういった「偉い人」の個人的な嗜好に、貴重なマンパワーを割いていちいち対応するよりも、業務のルールやフォーマットを「簡素化」し「標準化」することでスピーディに社内に流した方が「はるかに経営上のメリットがある」ということに多くの企業が気づいた時に、組織のフラット化が一気に進み、ムダな中間管理職のポジションは一掃されると予想する。

キャリアはタテではなくヨコに広げよ

日本の企業ではこれまで新卒を一括採用し、時間をかけてあちこちの職場をローテートしながら「社内の事情通」を養成し、トップの覚えがめでたい人であればいずれ役員に昇格するといったキャリアはあながち非現実的な話ではなかった。

しかし海外では「経営者」と「実務家」では求められる能力やスキルが全く異なるものと考えられているので、何年その会社に勤めようとも「一般職」から「経営者」に抜擢されるようなケースはほとんどない。

そもそも経営者になりたければ、いったん大学院に入り直して企業経営に必要な理論をしっかりと学んでから、改めて経営ポジションの仕事を探すことになるが、従来の日本の中途ハンパな持ち上がり経営者では国際競争に勝てなくなっている昨今の経済情勢に鑑みて、恐らく日本においても「経営」と「現場実務」の分離が進んでゆくものと予想している。

さらに先程述べた「組織のフラット化」によって「中間ポスト」が消滅することで、「経営層」と「一般社員」との距離は一見縮まるように感じるが、「キャリアパス」という点ではもはや「断絶」に近いくらいに大きく乖離しまうのではないだろうか。

今回の話を総括すると、ひとつの勤務先においては「賃金格差」は避けられないものであり、またいくら頑張っても就くことのできる「役職」の数も減ってゆくし、そもそも「上級幹部」へのキャリアパス自体が別ルートになってしまうため、「キャリアアップ」すなわち「タテ方向」へのキャリア形成によって「賃金格差」を埋めるという選択は多くのサラリーマンにとって非現実的な話となるだろう。

であれば本業はほどほどに「社内自営業者」といった立ち位置でもって自分の得意分野を確立し、「副業」や「兼業」を通し「ヨコ方向」に「キャリアを拡張」してトータルでもってライフプランに必要な収入を確保するような生き方を考えてゆく必要があるのだ。

この記事が気に入ったら
シェアしてくださいね~

Twitter で

-人事部長のひとりごと・・・
-,

© 2022 人事部プロフェッショナルマニュアル