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リモートワークは日本の職場に定着するか?


コロナショックで急増するリモートワーク

リモートワーク導入率は2年で5倍に!

新型コロナウイルス感染拡大非常事態宣言の影響で、リモートワーク導入企業が急増しています。

2017年には全国の企業におけるリモートワークの導入率は4.7%でしたが(マイナビニュース2018年7月3日版)、非常事態宣言後の2020年4月上旬には27。9%に上昇しています。特に東京都内における導入率は都内企業のおよそ半数にあたる49%に達する見込みです(ITメディア・ニュース2020年4月17日版)。

2年前の予想では、2022年頃には導入率が2倍くらいにはなるだろうと言われていましたが、現時点ですでに5倍以上です。コロナショックの影響でリモートワークが一気に加速したことは間違いありません。

 

リモートワークの多い業界と少ない業界

パーソル総合研究所の調査(2020年4月)によると、リモートワークの多い業種は情報通信業(導入率53.4%)、学術研究・専門技術サービス業(同44.5%)、金融業・保険業(同35.1%)など、業務の電子化が進んでいる業界でした。

一方でリモートワークの少ない業種は、医療・介護福祉業(導入率5.1%、)、宿泊業・飲食サービス業(同14.5%)、建設業(同23,3%)などですが、これらは慢性的な人手不足に悩まされている業種でもあります。

 

リモートワークの多い地域と少ない地域

同じくパーソル総合研究所の調査からの引用ですが、2020年4月時点のリモートワーク実施率の高い都道府県は、東京都(実施率49.1%)、神奈川県(同42.7%)、千葉県(同38.0%)などの関東圏が上位を占め、逆にリモートワーク実施率の低い地域は山口県(同4.7%)、岩手県(同6.2%)、秋田県(同6.2%)など、新型コロナ罹患者の分布とほぼ一致した数値となっています。

 

リモートワークのメリット

時間を有効活用できる

多くの調査でリモートワーク実施によるメリットとして最も多く挙げられるのは通勤時間の削減です。東京では片道1時間半かけて職場へ通うことは珍しくありませんが、仮に40年間勤めた場合、通勤時間だけで3年半近い時間を浪費することになります。

また出勤の身支度、出社時のデスクまわりの清掃、会議の準備や後片付け、昼食の買い出しなど、オフィスワークが無くなることによって多くの時間を捻出でき、有効に活用することが可能になります。

 

コストが削減できる

通勤が無くなるということは、会社側にとっては通勤手当の負担が少なくなるというメリットがあります。

また常駐する社員が少なくなることでデスクをフリーアドレス化し、会議もリモートに切り替えればオフィスの賃料を大幅に削減可能です。もちろん暖房や冷房にかかる光熱費もカットできるでしょう。経営の先行きが不透明な時代において、固定費を圧縮できるメリットは大きいと思います。

 

仕事の生産性があがる

オフィスワークで迷惑なのが突然やってくるアポ無しの飛び込み営業や毎日何本もかかってくるテレアポ営業です。こちらの都合などお構いなしに一方的に押しかけてくる時間泥棒ですが、リモートワークによってこういった輩から解放されます。

また日本の職場でよく見られるゴールの定まらないダラダラ会議もリモートワークによって無くなります。

もっともこれはWeb会議ツールの使い方次第ではありますが、事前に資料をシェアし、画面でパワポを共有し、発言者以外はミュートしてもらって会議を進めることで、議論の空中線や局地戦を防ぐことができます。

 

ハラスメントが無くなる

リモートワークによってハラスメントも解消されるでしょう。

パワハラ上司と直接顔を合わせることがないので、態度などで嫌がらせをされることもなく、またパワハラ上司に同調する同僚達に村八分にされて不快な思いをすることもありません。

リモートワークによって職場での接点が無くなるとセクハラ被害も減ることが予想されます。それはセクハラの多くが職場における性的な言動や執拗なつきまといなど、場所を共有することで起こるものだからです。

なおリモートワークにおいてパワハラやセクハラなどが行われた場合は、オフィスワークに比べて明確な証拠が残りやすく、被害者が泣き寝入りすることも少なくなるでしょう。

 

リモートワークのデメリット

職種によって不公平感が生じる

リモートワークの少ない業界は医療・介護福祉業、宿泊業・飲食サービス業、建設業であると述べましたが、特に介護、宿泊、建設の3業種は典型的な3K(キツイ、キタナイ、キケン)業種として、求職者にとっては不人気業界ワースト3としても知られています。

そして従業員が現地で身体を動かすことでサービスが成り立つ労働集約型産業であるが故にリモートワークを導入しづらく、求職者からさらに敬遠されてしまう恐れがあります。

 

勤務時間管理が難しくなる

リモートワークでは上司の監視が行き届かなくなるので、出退勤管理がルーズになり、度を越した中抜けや休憩などのサボタージュが横行する可能性があります。

これについてはモニタリング・ツールを導入して個々の社員が何時にどのようなソフトを起動して、どのような作業を行っているか、チェックすることで対策可能です。

チェックについては上司が四六時中、部下の仕事を自分のパソコン画面からモニタリングするのではなく、上司に代わってRPAが部下の作業をピックアップして集計し、ダッシュボード形式でもってビジュアル化してくれます。

もっともモニタリング・ツールはサボり監視のためのものではなく、社員個々の働き方を定量的もしくは定性的に分析して、チームの生産性を向上することが本来の目的です。

一方で出退勤のメリハリが無くなることでオンとオフの切り替えができなくなり、過重労働に陥り、メンタル不調を発症するリスクも指摘されていますので、過度のモニタリングによって社員にプレッシャーをかけてしまうようなことは禁物です。

 

情報セキュリティリスクが大きくなる

会社が従業員に貸与するモバイルPCにしっかりセキュリティ対策が施されていても、従業員が社外のどこでリモートワークを行っているかによって、情報漏えいなどのセキュリティリスクが高まる可能性があります。

これについては、自宅もしくは会社が認めた場所において、情報漏えい対策がきちんと行える環境でのみリモートワークを承認する、という条項を就業規則に盛り込んでおく必要があるでしょう。

 

リモートワークは定着するか?

オフィスワークに戻りたくない人急増中!?

各種調査によるとリモートワークを肯定的に捉えるサラリーマンは7割にもなるようです。

また先般の緊急事態宣言の解除を受け、再びストレスフルな職場通勤生活に戻ることによって、動悸や肩こり、頭痛、不眠などの症状が多くのサラリーマンに表れるだろうという専門家の指摘もあり、「新型五月病」の蔓延が懸念されます。

このように多くのサラリーマンはかつてのオフィスワークに戻ることに対して、強い拒否反応を示していることは間違いありません。

 

リモートワークは日本を救う

一方でリモートワークの推進によって、多くの労働者はこれまでの就労における時間的もしくは地理的な制約を超越し、他人と同じ空間を共有する働き方から解放されることで、多くのストレスやエネルギーのロスを回避することが可能になります。

例えば地方に在住しながら都会の企業に就職することが可能になるので、地方における著しい人口減少を回避できるだろうし、場所に縛られない効率的な働き方によって、自分の身内の介護もしやすくなり、介護人材不足の問題も軽減できるでしょう。

比較的ITリテラシーの高い人が多いといわれる引きこもり人材も積極的に活用できますし、日本企業特有の煩雑で気が滅入る社内の諸々の儀式に煩わされることもなくなるため、会社組織の生産性も大幅に向上します。

これらのメリットがもっと広く社会に認知されれば、リモートワークは間違いなくスタンダードな働き方として社会に定着することは間違いありません。

 

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