人事部の視点 話題のトピック

リモートワーク拡大で大きく変わる日本の職場


業務の分業化と専門化が進む

従来の日本の職場では、ジョブ・ディスクリプション(職務要件定義)や職務分掌(各部署がそれぞれ担当する業務の一覧表)が不明確でした。

ゆえに小回りに長けたベテラン社員が場の空気を読み、とっさに分担の不明瞭な仕事を拾ってゆくことで社内業務が回っており、またそのような社員は気が利いて協調性がある人材として評価されていました。

しかしメンバー間で“場”を共有することができないリモートワークでは、あらかじめ職務分掌を明確にし、JDに応じてメンバーにタスクを割り当てないと業務が進みませんので、多くの職場で業務の分業化が進むと思われます。

また分業が進むことで、専門性の高い仕事はその道の専門家にダイレクトに依頼するようになりますが、分業化のプロセスにおいて発生頻度の高い専門業務は自社の専門職へ、そうでない業務は士業などの外部の専門家へ業務委託するようになるでしょう。

専門性を要しない業務はAIRPAに代替されてゆきますので、結果的に業務が分業化された職場に専門職だけが残るようになります。

 

成果主義型の人事評価になる

従来の日本企業では各部署の担当者のジョブ・ディスクリプションが不明確で、かつ仕事の分業が進んでおらず、業務の分担は属人的になってしまっているケースが多いため、人事評価においても明確な業績評価ができず、「勤務態度」などといった評価者の主観に大きく左右される曖昧で不公平な人事評価が行われていました。

しかし社内で各部門のジョブ・ディスクリプションが明確になり、業務の分業化と専門化が進むと、適材適所(人ごとにふさわしい仕事を割り当てる)から、適所適材(仕事ごとに適任者を割り当てる)に変わってゆきます。

適所適材ではじめから担当職務と職務遂行に求められる能力および期待される成果が明確に定義づけされていますから、あとは担当者が達成したか達成できなかったかの問題となります。

つまりリモートワークが進むことで、成果主義型の人事評価を導入する企業が増えると予測します。

成果を上げるためには日頃の自己研鑽や自己啓発が不可欠です。とかく日本人はいったん就職すると勉強しなくなることで有名ですが、通勤中や昼休み中にスマホゲームばかりしているような人達には、きっと厳しい未来が待っていることでしょう。

 

時間を有効活用できるようになる

オフィスワークで合理化される最たるものが通勤時間でしょう。東京では片道1時間半かけて通勤することなどザラですから、リモートワークによって一日に3時間もの時間を有効活用できるようになります。

かりに新卒入社から定年まで40年間通勤するとしたら、なんと3年3ヶ月もの膨大な時間に相当します。自分の人生においてこれだけの有効な時間が増えるということは、それだけ自己投資の機会も増えるということです。

さて次にあげられるメリットが庶務作業の削減でしょう。電話取次ぎやお茶出し、郵便物の仕分けや会議の準備など、日本の職場にはいまだに多くの雑用が残っておりますが、むしろそれも立派な仕事であると信じて疑わない人が多く存在しているのも事実です。

日本人は「細事が万事」などといって雑用を不必要に昇華して「◯◯道」にしたがる傾向がありますが、雑用はどこまでいってもしょせんは雑用にすぎません。付加価値を生まない雑用はさっさと廃止しましょう。

 

社内業務が内製から外注へシフトする

業務の分業化や専門化が進み、成果主義が浸透し、ムダな雑用が減って組織運営がスリム化すると、自社の業務がよく見えるようになります。

そうなると個々の業務について自前で行うべきか、それとも外注するべきか、どちらが採算に見合うだろうか?と考える経営者が現れます。

実は社内の多くの業務には「余人を以て替え難き」ものは存在せす、そのほとんどが外注可能です。極論すれば経営陣さえしっかりしていれば、中間管理職も含めて事業部ごと外注してしまった方が経営効率が高いです。

さらに最近はSaaSなど直接的に外部人材を介さずにWeb上で手軽に利用できる外注サービスが増えていること、また働き方改革によって人事マネジメントが煩雑化し、なおかつリスクを帯びるようになってきていますので、コア人材を除きあえ正規雇用を行おうとする経営者は少なくなるのではないでしょうか?

 

間接的な業務やポジションが無くなる

オフィスワークを実施できない企業の多くが、その主な原因としてあげるのが「ハンコ」「書類」「現金」「対面」の4つです。

この4つは日本の職場の合理化が進まない「四大悪」といっても過言ではありませんが、その筆頭格である「ハンコ」が、昨日ようやく行政手続きにおいて省略を検討している旨の政府発表がありました。

民間企業ではすでにハンコはサイボウズなどのワークフローシステムに、書類はファイルメーカーなどでペーパーレスに、現金はマネーフォワードなどのSaaSによってキャッシュレスに、さらに対面業務はTEAMSZOOMに置き換わっています。

これらを管理する雑務が消滅したことによって、受付事務や出納係などの間接業務も不要となります。

またマーケティング調査のデータ集計や、日々の会計記帳を行うための事務員も、BIやRPAの普及によって部門長自らが生のデータから瞬時に必要な経営資料を作成できるようになりましたので不要となります。

さらに中間管理職についても、全従業員にモバイルデバイスを貸与し、グループウェアを介してコミュニケートすることで、不要となります。

課長などの中間管理職は日本独特の階層ですが、これまでは経営陣と現場との仲介役として必要不可欠なポジションと言われていました。

しかし今や人事評価もSaaSで可能ですので、いわゆる「とりまとめ」機能のために、コストの高い人員を配置する必要性は無くなったと考えます。

 

部門リーダーは社外公募制になる

社内業務が分業化され、専門職化し、成果主義によって人事評価がなされるようになると、各部門のリーダーにはプロジェクト管理能力が強く求められるようになります。

プロジェクト管理能力とは、自部署に割り当てられたミッションを達成するために、経営層に交渉して必要な予算を確保し、適切な人材に適切なタスクを割り当てて、期日までに具体的な成果をあげる能力をいいます。

職場でのコミュニケーションができなくなると、マイクロソフトのTEAMSなどのWebミーティングシステムを駆使してチームをマネージしてゆくことになりますが、これらの業務支援システムにはPLANNERなどの進捗管理ツールが備わっています。

これらPLANNERなどを介することによって、自分のチームのプロジェクトの進捗や部下のマネジメントの内容が経営陣にリアルタイムで晒されてしまいますので、リーダーには高い精度でもってPDCAを回してゆく知見と力量が求められます。

社内プロジェクトのミッションやタスクおよびチームメンバーのJDが明確であれば、チームリーダーも任期性でもって社外公募した方が有能な人材を活用できるでしょう。

また人材不足の時代においては、プロジェクトマネジメント能力の高い有能な人材を特定企業で囲い込むようなセコい発想ではなく、企業や産官学などジャンルの垣根を超えてシェアしてゆくような国家ぐるみの人材活用戦略が必要です。

 

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