人事部長のひとりごと・・・

進路がなかなか定まらない・・・と悩む君へ


漫然と就活をすることのリスク

かつての私もそうだったが「就活」を目前にして、なかなか進路が定まらずに悩んでいる学生は多いと思う。

私が学生の頃は「とりあえずそこそこ大きな会社に就職し、入社してからゆっくりと時間をかけて自分に合ったキャリアを考えればよい」といわれていた。

しかし、現在の先行き不透明な雇用情勢を考えると、もし納得できるような進路が定まっていなくとも、就活をスタートする前までには、いったん自分の進路を決めておき、就職先でのキャリア形成に必要な準備をしておくことが大事だ。

なぜならば、漫然と就職先を決めた新入社員の多くが「リアリティ・ショック(入社前に抱いた就業イメージと実際の就労環境のギャップ)」に見舞われ、入社3年以内に早期離職してしまうケースが後を絶たないからだ。

そしてこういった「第二新卒者」の多くは「中途半端な人材」として、非正規雇用などでの不本意な再就職を余儀なくされ、「キャリアダウン」のスパイラルに陥ってしまうリスクが高い。

新入社員の8割が「リアリティ・ショック」を経験する

先日、文春オンラインの「入社3年以内にすぐ辞める新卒の特徴」という記事を読んだ。

記事の要旨は「日本企業では新卒で入社した新人のうち、『入社3年後』におよそ『3割が早期退職』してしまい、高いコストをかけて新卒採用した企業にとってワリに合わないため、対策を検討すべく原因を調査してみた」というもの。

そして調査の結果「新人の8割が『リアリティ・ショック』を感じ、それゆえに就職先にさっさと見切りをつけて転職に踏み切ってしまう」そうだ。

さらに「入社3年以内の離職者のうち、『入社1年以内』に辞めてしまう人が最も多かった」という傾向も判明した。

ちなみに「リアリティ・ショック」の中でも多かったものは「仕事のやりがい」や「働きやすさ」について、実際に入社してみたら「期待はずれだった」というものだ。

では「リアリティ・ショック」に見舞われる新人に、なにか「共通点」はあるのか?というと、実は「就活までに自分の進路を明確にできなかった」という特徴があることがわかった。

また入社後の仕事に関係した資格を取ったりせず、卒業までアルバイトなどをしながら漫然と過ごしてしまった・・・という人も多かったそうだ。

ところでこういう話になると、必ず「最近の若い者はガマンが足りない」などとしゃしゃり出てくる老害の輩がいたりする。

しかし、これは最近の「ゆとり教育世代」の若者に限ったことではなく、アラフィフである私の世代も含めて、少なくとも過去30年くらいは同じような傾向が続いているので、今に始まったことではない。

「リアリティ・ショック」に陥る就活生の特徴

私はかつて医療機関で新卒リクルートを担当していた。

一般的な医療機関はおおまかに「診療部(医師)」「看護部(看護師)」「医療技術部(薬剤師、放射線技師等)」「事務部」でもって構成されており、毎年それぞれのセクションでもって新卒採用を行っている。

これら4つの部門のうち、「事務部」以外の3部門は「医療専門職」と呼ばれており、医療系大学や医療専門学校で専門的な教育を受け、「国家試験」に合格してから入職(入社)してくる。

よって、すでに社会人のスタートラインに立った時点で医療専門職の強烈なカラーに染まっているのが普通だ。

一方の「事務部」は、一部に医療事務系の専門学校の卒業者がいるものの、大部分は普通の文系大学などから、医療経営に関する専門課程を履修するワケでもなく、”まっさら”な状態で入職してくるケースが圧倒的に多い。

そして両者の採用面接を通じて感じたことは、「医療系」の学生は就職に対する目的意識が明確であるのに対し、「事務職」志望の学生は「事務の仕事が好きだから・・」というだけで、自身の進路について漫然とした動機しか持っていない学生が多い・・・ということだ。

統計データの裏付けがあるワケではないが、実際に人事担当者として職員のメンタル管理を行っていた経験から、「医療職」と「事務職」の新人のうち、「リアリティ・ショック」に見舞われる確立が高い方は、間違いなく後者の方なのではないかと思う。

「自分探し」は後回しにしよう

とはいえ「どうしても自分の向いていること、やりたいことが見つからない」という人もいるのではないかと思う。

であれば、とりあえず現在通っている学校から応募できるような職種を目指して就活の準備を始めてみることを勧める。

私が学生だった30年前はまだバブル経済の余韻が残っていたが、今の日本はどんどん貧しくなっており、ゆえに多くの会社では「終身雇用」と「年功型賃金」を廃止し、すでに「JOB型雇用」と言われる実力本位の即戦力採用が増加している。

一方で日本の大学生の「奨学金」利用率は学生全体の4割にも達し、例えば新卒入社が「非正規採用」だったり、また「就職浪人」してしまうと、あっという間に奨学金の返済に窮して「ワーキングプア」に転落し、若くしてそのまま人生を詰んでしまう。

よって明確なキャリア設計ができていない人は、「自分探し」はいったん置いといて、まずは奨学金を滞りなく返済でき、なんとか食べてゆけるだけの職にありつけるようなスキルの確立が最優先ではないかと考える。

だから合うか合わないかは別として、まずは「食ってゆくため」にその仕事をがむしゃらに3年間やりきってみて、いったんその分野の仕事についてのキャリアを作ってみよう。

ひとつでいいから「私は◯◯ができます」というキャリアを構築することができれば、今度はそれを足がかりにして「キャリアアップ」のきっかけを得ることができるのだ。

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