業務改善で人材不足を乗り切る

部下に合わせて4つのリーダーシップを使い分けよう


リーダーという役割を演じる

本来リーダーとは孤独なもの

 

滝に打たれる修行僧

この記事のライターはいくつかの職場でリーダーを務めた経験があります。初めてリーダーになったのは20代後半の頃で、北海道に進出して間もない某大手スーパーの販売課長を拝命しましたが、その内示の席で、当時の社長にこう言われました。

「これから君には孤独との長い闘いが待っている。これまで仲良く雑談してくれていた先輩や同僚達は一斉に君と距離を置くだろう。ましてや君は若いから、妬みや嫉妬心から、いわれのない非難を受けることもある。」

「精神的にタフでなければ管理職は務まらないが、それでも受けるかどうか、数日間よく考えてから返答をくれ。」

 

私は熟考の末に、結局その辞令を拝命することにしましたが、実際に辞令交付の日から私に対する周囲の態度は社長の言う通りになりました。

周囲のあまりの豹変ぶりに、すっかり意気消沈した私でしたが、ある部下の「それはみんなが課長のことを上司として意識しているからですよ。今まで通り『よっ〇〇ちゃん!』って言われるより全然いいじゃないですか。」という一言に私の迷いは吹っ切れました。

今も多くの職場において、孤独に職務をまっとうしているリーダーの方がたくさんいると思いますが、それは組織のリーダーとしては正常な状態であって、決して自分のリーダーシップに問題がある訳ではありません。

どうかご安心を…。

 

 

リーダーという役割を演じる

 

撮影中の女優

リーダーの言動というものは常に周囲から見られているものです。またリーダーの言動は少なからず周囲に対してなんらかの影響を与えます。よってリーダーの言動には責任が伴います。

リーダーには組織の中で果たすべき役割があり、また組織には「あるべきリーダー像」というものがありますが、世に多くのリーダーシップやリーダーマインドの自己啓発本が出版されているように、「あるべきリーダー像」は一定の要件に収斂されるようです。

その要件とは、例えばリーダーの仕事はメンバーをリード(導く)ことですから、先見性や大局観は欠かせませんし、意思決定を誤らないための知見や判断力も求められます。

さらに現代は地域社会との共栄共存を抜きにして永続的に事業を営むことは難しい時代ですから、やはりリーダーにも公正明大さや品格といった素養に加えて、公益性に対する意識も必要です。

ちなみに経営学者のP.F.ドラッガー博士が「リーダーの素養はトレーニングで身に付けることができる」と述べているように、リーダーとしての資質は先天的なものではありません。

ただしリーダーの資質は一朝一夕で身に付けられるものではありませんから、自分なりにリーダーのロールモデルを決めて、勤務時間中はその役割を演じることに徹すればよいのではないでしょうか。

「立場が人を作る」というように、リーダーのロールモデルを演じていると、いずれ本当にリーダーとしての資質が身に付きます。そしてオンとオフのメリハリをつけてリーダーを演じた方がより効果的でしょう。

 

 

 

4つのリーダーシップを使い分ける(SL理論)

SL理論

「SL理論」とは「Situational Leadership(状況に応じたリーダーシップ)」のことです。下図のS1からS4はそれぞれ4つのリーダーシップのスタイルを表しています。

先ほど「リーダー役を演じる」というお話をしましたが、「SL理論」とは部下の成熟度に合わせて、リーダーシップのスタイルを演じ分けましょうということです。

 

SL理論


もしこの事例のリーダーを部長とすると、S1は新入社員、S2は入社3年目くらい、S3は係長クラス、S4は課長クラスとなります。そしてS1に対しては指示型、S2は監督型、S3は援助型、S4は委任型のリーダーシップを使い分けることになります。

現実的には部長が直接新入社員を指導することはありませんので、以下の解説はS1に対するS2、S2に対するS3、S3に対するS4、そしてS4に対するS4の上司が取るべきリーダーシップと考えて下さい。




 

 

S1=指示型リーダーシップ

 

口うるさい上司

S1(新入社員)は仕事の知識や経験が浅いのはもちろんのこと、仕事の進め方や職場のルールについても最初から指導しなければなりません。そこでS1の部下に対しては、作業ごとにその仕事の目的や手順などを細かく説明する必要があります。

S1の部下に対しては「根気よく丁寧に説明し、まず上司が手本をみせて、部下にやらせてみる」というスタイルが基本です。また部下の仕事に対しては上司が「検算」するつもりでチェックし、その場でフィードバックしなければなりません。

S1の部下に対して上司が「やり方は任せる」などと言おうものなら、部下はかえって不安に陥ります。

 

 

S2=監督型リーダーシップ

 

サッカーの監督

S2(入社3年目くらい)は、日常業務に慣れ、社内の事情にも概ね通じてきて、精神的に少し余裕が出てくる頃です。

ただしあくまでも作業に慣れてきたというレベルですので、上司は常に部下の進行方向に気を配り、部下が仕事の目的や手段を誤らないように要所要所でチェック&フォローを行う必要があります。

また将来の部下の昇進に備え、「戦術(作業)」から「戦略(仕事)」へ、部下の視点を引き上げてゆかねばなりませんが、それには自分の仕事の補佐をさせて部下の「フォロワーシップ」を養うのがよいでしょう。

スポーツチームに喩えるなら、上司が監督で、部下がチームの主将です。

 

 

S3=援助型リーダーシップ

 

サッカーの男性サポーター

S3(係長)になると、日常的なルーチンはS3の部下を中心としたチームに任せておけますので、上司はいちいち実務の内容にまで口を挟む必要はありません。むしろ上司はS3のルーチンが滞らないように、ルーチン外のイレギュラーを積極的に拾ってゆきましょう。

またS3は実務には習熟していますが、チームマネジメント能力が未熟なケースが多いので、上司は人員、備品、予算、情報などの視点から、部下の問題や課題を整理し、必要なサポートを行ってあげる必要があります。

上司がS3の部下をフォローする姿を見て、S2やS1の部下達もチームマネジメントのノウハウを学んでいるということを忘れないで下さい。

 

 

S4=委任型リーダーシップ

 

握手する男性社員

日本の組織の場合、新入社員の時に配属された部署の延長線上に課長職のポストがありますが、部長職については自分の専門外の課もマネジメントしなければなりません。

よってS4(課長)に対しては、事業部のビジョンを示し、KPI(主要業績数値)だけ押さえ、「あとは任せる」という委任型のリーダーシップをとることになります。

また部下の指導内容については、S1~S3が実務的なスキルが中心となりますが、S4はスキルよりもむしろマインド重視になります。理想はS4と価値観を共有し、S4が「上司だったらどうするだろうか?」という判断基準で意思決定するようになることです。

S4クラスは社内のエース級ばかりですが、報連相に社内政治のバイアスがかかって、ポジショントークになる可能性もあるため、上司は必ず複数の情報ソースを元に部下の発言についてクロスチェックを行う習慣をつけましょう。

 

このようにSL理論を活用してリーダーシップを使い分ける訓練を行うことで、やみくもにリーダーとしてふるまうよりも、はるかに合理的かつ確実にチームマネジメントの質を上げることができます。

END

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