人事部の視点 労務管理の仕事

特殊健康診断とじん肺健診の話


会社の健診は一般健診だけではない

会社で行う健康診断には、一般健康診断以外にも、特殊な環境下で就業する従業員のための特殊健康診断があります。

特殊な環境下での就業とは、例えば危険を伴う場所での作業とか、人体に著しく有害な物質を取り扱う作業などをいい、労働安全衛生法によって、具体的な危険有害業務およびそれぞれの業務ごとに実施すべき健康診断の内容が定められています。

労働安全衛生法に規定されている特殊健康診断

労働安全衛生法に規定されている危険有害業務および特殊健康診断は次の7つです。

<労働安全衛生法に定める特殊健康診断>

  • 高気圧業務健康診断
  • 放射線業務健康診断
  • 特定化学物質健康診断
  • 石綿健康診断
  • 鉛健康診断
  • 四アルキル鉛健康診断
  • 有機溶剤等健康診断

これらのうちいくつかを説明すると、たとえば放射線業務の代表的なものは、医療機関にあるCT検査機器を取り扱う診療放射線技師の業務などをいいます。

特に大病院では毎日何人もの患者さんのCT撮影を行うため、診療放射線技師は常に放射線に暴露するリスクにさらされており、一般的なオフィスワーカーよりも厳重な健康管理が必要となるのです。

特定化学物質の代表的なものは硫化水素や塩素であり、これらを製造したり、またこれらを用いてなんらかの加工や生産を行う業務に従事する従業員の健康は、やはり常に危険にさらされているということができます。

特定化学物質に溶接ヒュームが追加された

特定化学物質の話題が出たついでに補足させて頂くと、2021年4月から、特定化学物質に溶接ヒュームが追加されました。

これはアーク溶接を行なった時に発生する溶接ヒュームという粉塵に発がん性物質が含まれていることが判り、常時アーク溶接作業を行う従業員に対しても、特殊健診を義務づけることになったのです。

特殊健康診断の実施時期

これらの特殊健康診断は、一般健康診断と同様に、企業の費用負担でもって、定期的に自社の従業員に対して実施しなければならないものですが、いったいどのタイミングで実施すべきなのか?というと、次のとおりとなります。

<特殊健康診断の実施時期>

  • 従業員を雇入れした時
  • 従業員の配置転換を行なった時
  • 6ヶ月間以内に1回以上

原則として一般健診と同じですが、定期的な実施については、一般健診が1年に1回以上となっているのに対して、特殊健診は6ヶ月に1回以上となっています。

特殊健康診断ではどんな検査を行うのか?

特殊健康診断の内容は、主に業務歴や自覚症状もしくは他覚症状の有無などの問診、そして血液検査や尿検査などの検体検査が中心です。

よって例えば筆者の暮らす北海道においては、地域ごとの各社合同の集合健診を年に複数回実施し、その時に一般健康診断と特殊健康診断を一緒に行うケースが多いようです。

じん肺健診は特殊健康診断とは違う

特殊健康診断の他に、比較的多くの現業系の職場で実施されている健康診断に、じん肺健康診断というものがあります。

これは鉱業や採石業など、鉱物の粉塵を多く発生する職場環境においては、呼吸する際に吸入した粉塵が肺に蓄積し、呼吸障害を引き起こしてしまうために、じん肺法によって、企業に対して実施が義務付けられている健康診断です。

じん肺健診の管理区分とは?

特にじん肺は有効な治療法がないために、とにかく定期的な検査を行って注意深く経過を観察してゆくしかないのですが、各従業員の所見の有無および有所見の程度によって、管理区分1~3に分けられ、それぞれ実施頻度が決められています。

ちなみに所見が無い従業員は管理区分1、有所見者についてはじん肺の程度に応じて管理区分2~3に分類されますが、この管理区分を決定するのは、健康診断を実施した健診機関ではなく、都道府県労働局長です。

そして管理区分1の従業員は3年に一回、また管理区分2~3の従業員に対しては毎年のじん肺健診の実施が義務付けされています。

特殊健康診断とじん肺健診の報告義務

どちらかというと鉱業や製造業などの二次産業に多くみられる特殊健康診断やじん肺健康診断ですが、一般健診が50名以上の事業場についてのみ、所轄の労働基準監督署への報告義務が課されているのに対し、特殊健康診断については全ての実施事業所に対して報告が義務付けられています。

またじん肺健診は実施の有無に関わらず、在籍しているじん肺業務従事者について、毎年労働基準監督署へ報告する義務があるので注意が必要です。

派遣労働者の扱いについて注意すべきこと

なお派遣労働者については、派遣元ではなく、派遣先に健康診断の実施義務があります。

健康診断は従業員の雇い主の義務ですが、派遣労働者は派遣会社に雇われて、派遣先にて働いているので、派遣労働者の一般健康診断は、派遣元である派遣会社が実施しなければなりません。

しかし特殊健康診断およびじん肺健診については、自社の派遣労働者が、派遣先においてどれくらいの有害作業に従事しているのか、派遣元ではいかんとも程度を把握しがたく、派遣労働者を守るために、それぞれの法律は、派遣先に対して、派遣労働者に対する特殊健診およびじん肺健診の実施義務と費用負担を課しているのです。

もちろん一般健診同様に、特殊健康診断やじん肺健診の実施義務を果たさない企業に対しては、法令に基づき罰則が科されるので注意が必要です。

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