人事部の視点 採用管理の仕事

日本は本当に超売り手市場だったのか?


空前の人手不足の現代ニッポン

(著者注釈;この記事は2019年4月に旧ブログで投稿したもののリライト版です)

日本が空前の超売り手市場と言われて久しいですが、一昨年(2018年)には日本の有効求人倍率は1.87倍に到達しました。これは1人の求職者に対して1.87社から採用オファーがあるという意味です。

この有効求人倍率1.87倍がどれくらいスゴイ数字なのかというと、なんと戦後第2位の高水準なのだそうです。海外からJAPAN as No1!などと言われ、乱痴気騒ぎ気味の好景気に浮かれたバブル時代でさえ、有効求人倍率は戦後4位ですから、いかに現在の人材ニーズが逼迫しているか、おわかり頂けるかと思います。

 

大企業への就職は依然として狭き門

ところで日本全国の全ての企業の有効求人倍率が1.87倍という訳ではありません。実は新卒者の就職先として依然として根強い人気がある大企業の有効求人倍率はずっと0.4倍程度で推移していますが、これは就活生1名に対して大企業からのオファーは0.4社しかないという意味です。

つまり国内の全企業を平均するとたしかに人材ニーズは高いですが、大企業だけで見ると売り手市場どころかむしろ超買い手市場であるということです。

これは多くの就活生が勘違いしていますが、大企業については昔も今も「超狭き門」であることに変わりありません。

 

売り手市場でも事務職に就けるのは5人に1人

有効求人倍率を職種別で見ると、人材不足による倒産が深刻化している建設業や介護事業では、有効求人倍率が4.0倍を超えます。

医療業界では世間で人材不足が言われる前から医師や看護師不足が問題となっており、これら医療ライセンス職の確保が病院経営における大きな課題でしたが、医師の有効求人倍率がだいたい4.0倍半ばですので、今や人材の希少性や獲得困難性において医師と介護士は同格ということになります。

ちなみにホワイトカラーの人気職種ナンバーワンである事務職の有効求人倍率はわずか0.2倍に過ぎません。つまり事務職を希望する求職者のうち、実際に事務の仕事に就くことができるのは5人に1人しかいないというかなり厳しい倍率です。

 

いつの時代でも地方は求人がない

ちょっと古いデータですが、有効求人倍率を地域別に比較した場合、下表のようになります。当ブログユニットは北海道札幌市を拠点に活動していますが、その北海道の有効求人倍率はわずか1.1倍です。

都道府県別有効求人倍率

(2017年度8月都道府県労働局発表を元にGIGWORKS作成)

そして有効求人倍率が北海道と同等もしくは下回る地域は、全国46都道府県のうちわずか8県しかありません。

さらに北海道の経済は概ね札幌に集中していますので、地方都市では有効求人倍率が1.0倍を切っているところも珍しくないと思われます。

一方で関東や中部地方の企業は総じて有効求人倍率が高く、全国平均の牽引役といったところですが、もっと北海道などの求人不足の地域を狙って積極的にリクルート活動を仕掛けることで効率よく人材確保できるのではないでしょうか?

 

就職情報社に振り回される地方の文系私立大学

地元札幌市の話が出たついでにもうひとつ。

これは就職情報大手の某M社が道内企業各社の採用担当者宛に配布した就活戦線報告会での資料から拾った数字と、筆者が札幌市内の主要文系私大4校のキャリアセンター課長からヒアリングした数字を組み合わせて作成した内定率グラフです。

マイナビ発表と道内Fラン大の内定率の乖離

 

M社が取引先に営業をかける時の常套句が「学生の内定率がどんどん前倒しになってきていますので、お盆が過ぎたら今期(来春卒)採用は終了し、来期(再来春卒)へ向けた就活サイトの開設および合同説明会の打ち合わせ(商談)に入りましょう!」というものです。

一方で地元の文系私大のキャリアセンターでは、9月に入ってもまだ一社も内定を獲得できていない学生のフォローに大わらわでした。

なぜM社発表の内定率と地元の文系私大の内定率にこれほどまでの乖離があったかというと、なんのことはなくM社の東京本部が関東圏の難関国公立大学(それも理工系含む)の内定率でもって資料を作成し、それを全国の営業所へ一律に配布していただけ・・・というオチでした。

地場企業の採用担当者は就職情報社のポジショントークを鵜呑みにせず、実際に自分の足でもって地元の文系私立大学を廻って情報収集してみるのも一考です。

もっとも地方の文系私立大学は通称Fラン(Fランク)大学とも言われており、四年間も文系を専攻していたにも関わらず、文章ひとつマトモに書けないような輩がごまんといますので、「人材の質さえこだわらなければ」という条件つきですが・・・。

 

ニートと引きこもり問題

政府が1億総活躍社会の実現を政策に掲げる一方で、ニートや引きこもりが社会問題となっています。

このニートや引きこもりには若年層と中高年層があり、前者では55万人、後者で65万人、合わせて110万人もの人材がなんらかの事情によって自宅に引きこもっているそうです。

特に中高年ニートの多くは老親の年金に依存して実家にパラサイトしており、すでに老親が後期高齢者世代に到達していることから、老親の死亡によって生活の糧を失った中高年ニートが社会に溢れることが懸念されます。

政府は就職氷河期に正規雇用キャリアを得られずにニートや引きこもりに至った世代へ600億円の対策予算を計上し、また中高年ニートには改正社会福祉法で対応するなどの方針を打ち出していますが、そもそも彼らや彼女らがニートや引きこもりに至った背景を全く理解しておらず、政策の有効性については疑問があります。

このように超売り手市場といっても実態といては企業規模や職種、地域もしくは学歴などによって大きな格差があり、一概に景気が上昇して就労情勢が好転したとは言えません。

次回はコロナショックが有効求人倍率および失業率にどのような影響を与えているのかレポートしてみたいと思います。

 

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