人事部の視点 人的管理の仕事

会社はいったい誰のものか?


会社はみんなのもの?

会社にはオーナーがいる

筆者はこれまでに北海道のいくつかの大きな組織で人事の仕事をしてきましたが、従業員の中には「会社はみんなのもの」というおかしな権利を主張する人がいます。

先に結論から申し上げると「会社はみんなのもの」ではありません。

そもそも会社の設立や運営は民法や会社法などの法律でもって、誰が会社に対して権利を行使でき、誰が経営について責任を負うのかがきちんと決められています。

今回は社会に多く存在する会社形態である株式会社を前提にして話を進めてゆきますが、株式会社においては「会社は株主のもの」なのです。

 

株式会社の仕組み

株式会社を設立する時は株主(出資者)を募集し、これら株主から集めた出資金を資本金(元手)として事業を開始します。

なぜ株主が会社に出資するのかというと、会社が事業を行って利益を生み出し、そこから配当金がもらえることを期待しているからです。

ちなみに株式会社は出資と引き換えに、株主に対して株券と呼ばれる出資証明書を発行し、株主は自分の保有している株券の数に基づいて配当を受け取ることができます。

そしてこの株券を創業者の身内だけではなく、株式市場を通じて世間一般の投資家に売ることができるようにすることを株式上場といいます。

株式上場をすることで、会社は幅広い投資家から莫大な資金を調達することができるようになり、より大きな事業にチャレンジして会社の成長を加速させることができるのです。

 

労働者は投資装置の部品にすぎない

閑話休題。言い換えれば株式会社は投資ための大きな装置であり、そこで働く労働者はその装置に組み込まれた機械の部品に過ぎません。

もちろん労働者が機械の部品であっても生身の人間であることには違いないので、消耗品のように扱ってよいはずがありません。

民主国家においては労働者の健康や生活の安定などの人権は国の政策によって保障されねばなりませんので、労働者は労働基準法などの各種の労働法令で守られているのです。

しかしこれらはあくまでも労働者の人権を守るための措置であって、「会社はみんなのもの」であると主張する根拠にはなりません。

たとえば皆さんの自宅に居候している知人が、「俺ももう長いことこの家に住んでいるのだから、そろそろ俺にもこの家の権利(所有権)を認めてくれてもいいだろう?」などと言い出したら一体どう思うでしょうか?

 

会社の経営方針にケチをつける社員に欠けているもの

会社の経営方針に納得ゆかない?

「会社はみんなのもの」という人がよく口にするのが、「ウチの会社の経営方針に納得ゆかない」といったフレーズです。

しかしこういった人達に共通しているのは、会社と労働者は雇用契約の関係にあるという認識が欠落していることです。

雇用契約においては、労働者は「会社に指定された時間に、指定された場所でもって、指定された業務に従事することで、その対価として賃金を受け取る」という取り決めになっています。

要するにサラリーマンとは、経営者の指揮命令に従って、自身の労働力を時間単位で切り売りすることで生計を立てる職業なのですが、そこを理解せずに、サラリーマンの立場でありながら「会社の経営方針に納得ゆかない」などと発言すること自体、お門違いも甚だしいと言わざるを得ません。

 

雇用契約と委任契約

会社の経営に責任を負うのは取締役などの経営者であって、そもそも経営者と会社との関係は雇用契約ではなく委任契約です。

雇用契約と委任契約の大きな違いは、委任契約は株主の期待する成果さえ出せば、何時に出社して何時に帰ろうが、どこで誰と仕事をしようが本人の自由であるという点です。

一方で委任契約は2年ごとの有期契約であり、成績が悪ければ任期満了もしくは任期の途中で契約が打ち切られてしまいます。

そして雇用契約ではないので失業保険はもらえないし、労働基準法などに基づいて不当解雇を訴え出ることもできません。
特に欧米では株主によって経営者がクビにされることはよくある話ですが、経営者はこういったリスクを背負っているがゆえに、会社の経営方針の決定権が付与されているのです。

会社の経営においては責任と権限はセットであり、リスクを負わない人間が権利だけ主張するというのはおかしな話ではないでしょうか。

 

サラリーマンは使い捨ての消耗品か?

サラリーマンは不自由な職業

サラリーマンが会社で働く上で自立的に決めることができる事というのは実は非常に狭く限られています。

サラリーマンとは安定した収入と引き換えに、自立的に働くという権利を放棄した非常に不自由な職業であり、自分のやりたいことを実現したいという人が進むべきキャリアではないと筆者は思います。

働くことに対してどういったポイントを重視するかは人それぞれです。

給与、社会的地位、安定した生活、組織に属する安心感等々、これら働く上で自分にとって絶対に外せないファクターを「キャリア・アンカー」といいますが、自分の生き方を自分で決めたいという人にはサラリーマンという職業は向いていないでしょう。

 

高性能な装置には高性能なパーツが不可欠

それではサラリーマンのキャリアは暗くつまらないものか・・・といえば決してそういうことではありません。

最初に株式会社とは投資のための装置であり、そこで働く労働者はその部品であるという話をしましたが、高性能な装置には高性能なパーツが不可欠です。

つまり労働者を使い捨ての消耗品程度にしか考えていない経営者の下では、高性能な装置を組み上げて株主に利益還元することはできないのです。

例えば会社をパソコンに例えるなら、会社組織がパソコンの筐体であり、マザーボードが就業規則などの社内ルール、経営者がCPU、管理職がキャッシュメモリ、一般の従業員がSSDなどのストレージということができます。

いくらCPUが高性能でもキャッシュメモリがチープでは動作がフリーズしますし、ストレージに十分なキャパシティが無ければデータを蓄積してゆくことができません。そして筐体の風通しが悪ければマシンが熱暴走を起し、マザーボードが粗雑であればスムーズにデータのやりとりができずにエラーが頻発することになります。

パソコンが十分な性能を発揮するためにはパーツの一部だけが高性能ではダメで、全体のバランスを考慮しながら、各パーツのバージョンアップを図ってゆく必要があるのですが、会社の経営もこれと同じです。

確かにサラリーマンは不自由な職業ではありますが、会社組織を円滑に運営し、厳しい経済競争を勝ち抜いてゆくためには、決して消耗品のように粗雑に扱ってよいという訳ではなく、むしろ経営者は積極的にサラリーマンに投資して人材育成や能力開発を行い、またいかにモチベーティブな職場環境を演出するかということにも配慮しなければなりません。

 

CSRに基づく「三方良し」の経営を目指す

近年では株主のために収益さえ上げればよいという会社はブラック企業の烙印を押されて消費者が離れていったり、人材の確保に苦戦したりするようになりました。

ゆえに現在の経営においてはCSR(企業の社会的責任)への取り組みが不可欠ですが、CSRとは、自社に関わるあらゆる利害関係者に配慮した経営を行うべく会社が負っている社会的責任のことをいいます。

そしてこれら利害関係者(ステークホルダーという)には株主だけではなく、消費者や自社の従業員そして地域社会なども含まれるものとされています。

よって会社の経営者は株主の顔色ばかり窺うのではなく、従業員やその家族の幸せにも配慮した「三方良し」の経営を心がけ、また従業員もおかしな権利をふりかざすのではなく、会社の仕組みをよく理解した上で、ステークホルダーの一員として、オフィシャルな場でもって正々堂々と意見を伝えてゆくことが大事なのです。

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