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019 事務手続

【歯科クリニック向け】雇用保険の加入手続きガイド~資格取得届の提出方法を解説

焦って書類を書く白衣の男性のイラスト

採用後に待つ雇用保険の手続きとは?

歯科クリニックを経営される院長先生は、日々の診療業務に加え、経営判断や人事管理など多岐にわたる責任を担っていらっしゃいます。

特に優秀なスタッフの確保は、クリニック運営の根幹を成す重要な課題でしょう。

そうして苦労して採用した人材を迎える際には、様々な法的手続きが待ち受けています。

中でも「雇用保険被保険者資格取得届」は、従業員を一人でも雇用する事業主に課せられた義務であり、適切に処理しなければ思わぬトラブルを招く可能性があります。

本記事では、歯科クリニック経営者が押さえておくべき雇用保険手続きの要点をわかりやすく解説します。

雇用保険被保険者資格喪失届とは?提出が重要な理由

雇用保険制度が果たす重要な役割

雇用保険は、働く人々が安心して職業生活を送れるよう設計された社会保障制度です。

失業時の生活を支える失業給付をはじめ、スキルアップを促進する教育訓練給付、さらに育児休業給付・介護休業給付・高年齢雇用継続給付など、ライフステージに応じた多様なサポートを提供します。

労働者がこれらの恩恵を受けるためには、採用時に事業主が「雇用保険被保険者資格取得届」を適切に提出し、加入手続きを完了させることが不可欠です。

手続きを怠った場合のリスク

もし、資格取得手続きを忘れたり、届出が遅れたりすると、以下のようなリスクが生じる可能性があります。

  • 遡及手続きの負担
    手続きが行われていないことが後日発覚すると、採用日まで遡って手続きを行うこととなり、事務負担が大幅に増加します
  • 従業員への不利益
    失業給付や育児休業給付金などの各種給付を受け取れなくなるなど、不利益が生じる可能性があります。
  • 法的な罰則
    届出を怠った事業主には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることがあります。

手続きの具体的な流れ

提出期限

資格取得日の属する月の翌月10日までに提出します。

例えば、4月15日にスタッフを採用した場合、5月10日が提出期限となります。

提出先

クリニックの所在地を管轄するハローワークへ、郵送もしくは窓口持参で提出します。

また、電子申請による提出も可能です。

必要書類

基本的には「雇用保険被保険者資格取得届」のみで手続きが可能です。

ただし、以下に該当する場合は、賃金台帳・労働者名簿・出勤簿・雇用契約書などの添付が必要です。

  • 事業主として初めて資格取得の手続きを行う場合
  • 資格取得届の提出期限を過ぎている場合
  • 労働保険料を滞納している場合
  • 届出に著しい不整合がある場合

また、兼務役員や事業主の同居親族に関する届出の場合は、雇用関係を証明する書類の添付が必要です。

届出書の様式と作成方法

様式は、ハローワークインターネットサービスのホームページからダウンロードできます。

記入すべき主な項目

  • 事業所番号・事業所名・所在地
  • 採用したスタッフの基本情報(氏名・生年月日・性別、個人番号)
  • 雇用保険被保険者番号(過去に雇用保険の加入歴がある場合)
  • 資格取得年月日
  • 賃金の情報(月額・支払形態)
  • 就業条件(場所・雇用形態・契約期間)

押さえておくべき手続きの注意点

雇用保険の被保険者となる要件

雇用保険の被保険者となるには、以下の要件を両方満たす必要があります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる

パート・アルバイトのスタッフも、上記の要件を満たせば必ず加入対象となります。

採用以外に手続きが必要になるケース

新規採用以外にも、パート・アルバイトから正社員への転換や所定労働時間の変更に伴い被保険者となる要件を満たした場合は、雇用保険の資格取得届の提出が必要です。

試用期間中の取扱い

試用期間中であっても、被保険者要件を満たすスタッフは原則として加入対象です。

手続きの先送りは避け、採用日から適切に処理しましょう。

院長先生の同居親族が被保険者となる場合

個人事業主1の同居親族は原則として被保険者となりませんが、以下の全てに該当する場合は、雇用保険の加入が必要となることがあります。

  • 院長の指揮命令に従って業務を行っている
  • 就業の実態が他のスタッフと同様で、これに応じて賃金が支払われている
  • 院長と利益を一にする地位にない

詳細は管轄のハローワークに確認することをお勧めします。

  1. 代表者の個人事業と実質的に同様と認められる法人も含まれます ↩︎

プロに任せて、診療と経営に専念しませんか?

雇用保険の資格取得手続きに加えて、社会保険加入処理や新人研修など、スタッフを採用した際の業務は想像以上に時間を消費します。

これらが診療業務やクリニック経営に与える影響は決して軽視できません。

そのため、「専門的な手続きは信頼できる専門家に任せて診療に専念したい」とお考えの院長先生も多いのではないでしょうか。

社会保険労務士は労務管理のスペシャリストとして、労働保険・社会保険や各種助成金の手続き代行、給与計算、日常的な労務相談まで幅広くサポートしています。

雇用保険の資格取得届のみといった、スポットでの手続き代行も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちらから

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  • この記事を書いた人

福島智美

文学研究者(文学修士)から人事業界に転身。慢性期病院で給与計算や社会保険事務を担当後、リハビリ病院開設を経験。転職して山口の部下になった縁で共に起業。社会保険労務士試験合格。親族に歯科医師や薬剤師など多数。

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