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06_育児と介護

標準報酬月額の養育期間特例措置の手続き

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従業員が育児のために短時間勤務などを行い給与が減額になると、それに伴い標準報酬月額が低下し、将来の年金額に影響が出る可能性があります。

そこで厚生年金保険では、3歳未満の子を養育する被保険者を対象に、年金額が減らないようにする特例措置を設けています。

この記事では、特例措置の手続きに必要な「養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」の提出方法について解説します。

標準報酬月額の養育期間特例措置の手続きが必要なとき

特例措置に係る手続きが必要となるのは、以下の2つのケースです。

  • 特例措置の適用を受けるとき
    • 以下の2つの条件を満たす従業員から申し出があった場合、事業主は「養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出します。
      • 3歳未満の子を養育している
      • 養育期間中の標準報酬月額が、養育開始月の前月の標準報酬月額を下回っている
  • 特例措置に該当しなくなったとき
    • 次のいずれかに該当する場合、事業主は「養育期間標準報酬月額特例終了届」を提出します。
      • 特例措置の対象となる子を養育しなくなった場合
      • 養育していた子が死亡した場合

子が3歳に達した場合や、退職等で厚生年金保険の被保険者資格を喪失した場合等は、上記②の手続きは不要です。

制度の概要はこちらから

養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届の提出期限

  • 特例措置を受けようとするとき
    • 特例措置の対象となる従業員から申し出があったときに提出します

産育休から復職する従業員に対して、復職時の説明事項の一つとして、本制度と手続き方法を案内するとよいでしょう。

  • 特例措置に該当しなくなったとき
    • すみやかに提出します。

既に退職している従業員(厚生年金保険の被保険者だった者)については、本人が直接、年金事務所に養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届を提出することもできます。

養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届の様式

養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届は、日本年金機構のホームページからダウンロードできます(PDFおよびExcel形式。リンクは次章を参照)。

特例措置の申出時・終了時とも、同じ様式で手続きします。

養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届の作成

養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届の記入・作成のポイントは、以下の通りです。

なお、詳しい記入例は、日本年金機構のホームページや、申出書・終了届の裏面で確認できます。

特例措置を受けるとき

特例措置を受ける際は、以下の欄に必要事項を記入します。

  • 提出者記入欄
  • 申出者欄
    • 特例措置を受ける従業員の住所・氏名を記入します
  • 共通記載欄
  • A.申出欄
    • ⑬養育特例開始年月日欄には以下の日付を記入します
      • 産育休取得者:休業終了日の翌日
      • 新規資格取得者:資格取得日

特例措置に該当しなくなったとき

特例措置に該当しなくなった際は、以下の欄に必要事項を記入します。

  • 提出者記入欄
  • 申出者欄
    • 特例措置を受けている従業員の住所・氏名を記入します
  • 共通記載欄
  • B.終了欄
    • ⑮養育特例開始年月日欄には、申出の際に交付された「養育期間標準報酬月額特例申出受理通知書」に記載の年月日を記入します
    • ⑯養育特例終了年月日欄には、子を養育しなくなった日の日付を記入します

添付書類

特例措置を受けようとするとき

基本の添付書類は以下の通りです。

  • 戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書(原本)
    • 従業員と子の親子関係を証明できるもの
    • 従業員が世帯主の場合は、親子関係を確認できる住民票で代用可
  • 住民票(原本)
    • 子の生年月日が確認できるもの
    • 従業員と子の同居が確認できるもの
    • 提出日から90日以内に発行されたもの

なお、一定の場合は、添付書類を省略できます

  • 個人番号(マイナンバー)を活用する場合
    • 申出書に従業員と子の個人番号を記載すれば、戸籍謄(抄)本・戸籍記載事項証明書と住民票は不要
  • 事業主が戸籍謄(抄)本等で親子関係を確認する場合
    • 申出書の「⑱事業主続柄確認欄」にチェックすれば、戸籍謄(抄)本・戸籍記載事項証明書は不要
    • 住民票は省略不可

退職後に本人が直接手続きをする場合は、上記に加えて個人番号の確認書類が必要になります。

特例措置に該当しなくなったとき

添付書類は不要です。

養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届の提出先

会社(事業主)1が管轄の日本年金機構事務センター、もしくは年金事務所へ、郵送や窓口持参で提出します。

また、電子申請による提出も可能です。

  1. 被保険者であった人(退職者)が届出をする場合は、本人 ↩︎

養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届を提出したあと

届出が受理されると、日本年金機構から以下の通知書が交付されます。

  • 特例措置の申出時:「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出受理通知書」
  • 特例措置の終了時:「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例終了確認通知書」

通知書を受け取ったら記載内容に誤りがないか確認し、内容を従業員へ通知しましょう。

従業員の仕事と育児の両立を、適切な届出でしっかりサポート

従業員が安心して育児と仕事を両立できるよう、会社としてできるサポートの一つが、この特例措置の手続きです。

産休・育休からの復職時には必ず制度の説明を行い、対象となる従業員が不利益を被ることのないよう、適切な届出をしましょう。

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  • この記事を書いた人

福島智美

研究の道から人事の世界に飛び込み、大手医療法人グループで長らく給与計算や社会保険手続きなどを担当する。社会保険労務士やFP2級、第1種衛生管理者の資格を有する事務スペシャリスト。事業会社の人事課長を経てRWCに参画。

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