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健康保険の被扶養者を追加・削除するときの手続き

健康保険被扶養者異動届のアイキャッチ画像

この記事では、健康保険の被扶養者の追加・削除に関する手続きを解説します(この手続きは一般的に「扶養に入る・扶養から抜ける」ともいわれています)。

健康保険の被扶養者を追加・削除するには

従業員の家族を健康保険の被扶養者にする(または、すでに被扶養者である家族を削除する)場合は、事業主が「健康保険 被扶養者(異動)届」を提出する必要があります。

被扶養者の氏名や生年月日等に変更・訂正があった場合も、健康保険被扶養者異動届の提出が必要です。

被扶養者に該当するための条件

健康保険の被扶養者となるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

収入に関する要件

  1. 収入額が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満
  2. 被扶養者の収入額が、
    ・同居:被扶養者の収入が被保険者の収入の1/2未満であること
    ・別居:被扶養者の収入が被保険者からの仕送り額未満であること

収入額は、扶養加入日から先1年間の見込み額で判断します。

収入には、雇用保険の失業給付、健康保険の傷病手当金や出産手当金、年金などが含まれます。

同居に関する要件

被保険者との同居が不要(別居可)

  • 配偶者
  • 子、孫、兄弟姉妹
  • 直系尊属(父母、祖父母など)

被保険者との同居が必要(別居不可)

  • 3親等内の親族(同居不要な親族を除く)
  • 内縁関係の配偶者の父母・子

いずれの場合も、日本国内に住所(住民票)があることが必要です。
(海外留学する学生や海外赴任者に同行する親族など、例外として認められるケースがあります)

夫婦で親族を扶養する場合

共働き夫婦など、双方に収入がある夫婦が親族を扶養に追加する場合、原則として年間収入が多い方の被扶養者となります。

収入額は、扶養加入日から先1年間の見込み額で判断します。

健康保険被扶養者異動届の提出期限

  • 被扶養者の追加:扶養に追加する日から5日以内
  • 被扶養者の削除:被扶養者に該当しなくなった都度

健康保険被扶養者異動届の提出先

管轄の日本年金機構事務センター、もしくは事業所の所在地を管轄する年金事務所へ、郵送や窓口持参で提出します。

また、電子申請による提出も可能です。

健康保険被扶養者異動届の様式と作成

健康保険被扶養者異動届の様式

健康保険被扶養者届の様式は、日本年金機構のホームページからダウンロードできます(PDFおよびExcel形式)。

健康保険被扶養者異動届の作成

健康保険被扶養者異動届の作成にあたっては、事業所の整理番号や事業所番号に加え、追加・削除する被扶養者の情報など、正確な記入が求められます。

記入に不安がある場合は、被扶養者異動届の裏面にある注意書きや、日本年金機構のホームページに掲載されている記入例を参考にするとよいでしょう。

添付書類

被扶養者を追加するとき

被扶養者を追加する際には、被扶養者の要件を満たしていることを確認できる書類の添付が必要です。

必要な書類は、被扶養者の続柄や収入状況などによって異なります。
協会けんぽのホームページや被扶養者異動届の裏面に詳しい案内が掲載されていますので、必ず確認してください。

一般的に必要となる添付書類の例

  • 続柄を確認する書類:戸籍謄本(抄本)、住民票(世帯主が扶養者で、被扶養者と同居の場合)など
  • 収入状況を確認する書類:退職証明書、雇用保険被保険者離職票、雇用保険受給資格者証、年金の改定通知書、確定申告書、課税(非課税)証明書など
  • 仕送りの事実と金額を確認する書類:預金通帳、振込明細、現金書留の控えなど
  • 内縁関係を確認する書類:両人の戸籍謄本(抄本)、世帯全員の住民票など

被扶養者を削除するとき

扶養から外れる被扶養者の健康保険証・資格確認書を添付します。

添付できない場合は、「健康保険被保険者証回収不能届」「資格確認書回収不能届」を提出しましょう。

また、限度額適用認定証や高齢受給者証などの交付を受けている場合は、あわせて返却が必要です。

健康保険被扶養者異動届を提出したあと

被扶養者の追加手続きが完了すると、「資格確認書」が届きますので、速やかに扶養者(被保険者)へ交付しましょう(マイナ保険証の利用登録を行っていない場合)。

なお、健康保険の扶養状況変更に伴い、所得税法上の扶養親族や、会社が支給する家族手当や扶養手当などに変更が生じる場合があります。

国税庁のホームページや会社の給与規程などを確認の上、人事や給与のシステムを更新するなど必要な対応を行いましょう。

協会けんぽ以外の健康保険制度の適用を受けている場合

健康保険組合など、協会けんぽ以外の健康保険制度の適用事業所である場合は、手続きの流れが一部異なります。

  • 被扶養者異動届の提出先
    ・事業所が加入する健康保険組合等に提出します。
  • 60歳未満の配偶者を扶養に追加・削除する場合
    ・国民年金第3号被保険者関係届を日本年金機構に提出する必要があります。
  • 被扶養者異動届の様式
    ・健康保険組合等により、独自の様式が用意されている場合があります。
  • 被扶養者の認定
    ・健康保険組合等により、扶養認定の要件や必要となる添付書類が異なる場合があります。

健康保険被扶養者異動届の手続きをスムーズに進めよう

健康保険の被扶養者認定は、条件が複雑で分かりにくいものです。

被扶養者の状況を丁寧にヒアリングし、必要な手続きや書類について、従業員に分かりやすく説明することで、スムーズな手続きへとつながります。

従業員の方々が安心して手続きを進められるよう、丁寧な対応を心がけましょう。

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  • この記事を書いた人

福島智美

研究の道から人事の世界に飛び込み、大手医療法人グループで長らく給与計算や社会保険手続きなどを担当する。社会保険労務士やFP2級、第1種衛生管理者の資格を有する事務スペシャリスト。事業会社の人事課長を経てRWCに参画。

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