この記事では、個人住民税の特別徴収に関する届出のうち、「給与支払報告/特別徴収に係る給与所得者異動届出書」と「特別徴収への切替依頼(申請/届出)書」の手続きについて説明します。
住民税の特別徴収関連の手続きが必要なとき
会社が社員の給与から住民税を差し引き市区町村に納入する制度(特別徴収)に関連して、手続きが必要となるケースは以下の通りです。
- 給与支払報告/特別徴収に係る給与所得者異動届出書
退職や休職などの理由で、社員への給与の支払いが発生しなくなったとき。 - 特別徴収への切替依頼(申請/届出)書
新たな採用者や復職者などの住民税を自分で納めていた社員から、特別徴収への切り替えを希望する申し出があったとき。
納期が過ぎた分は、特別徴収へ切替できません。
住民税の特別徴収関連の手続きの提出期限
- 給与支払報告/特別徴収に係る給与所得者異動届出書
給与の支払いを受けなくなった月の翌月10日まで。 - 特別徴収への切替依頼(申請/届出)書
随時
特別徴収への切替は、手続きが完了して毎月の特別徴収額が確定するまで時間がかかることがあります。給与計算のスケジュールに間に合うよう、余裕をもって手続きするようにしましょう。
住民税の特別徴収関連の手続きの提出先
対象となる社員の住所地の市区町村に提出します。
住所地は、当年(1月~5月は前年)の1月1日時点の情報で判断します。
転職先で特別徴収を継続する場合の給与所得者異動届出書については、転職先の会社が提出するように案内している市区町村もあります。その場合、転職元の会社は必要事項を記入した異動届出書を、転職先の会社へ送付することになります。
住民税の特別徴収関連の手続きの様式と作成
給与所得者異動届出書の様式
給与支払報告/特別徴収に係る給与所得者異動届出書の様式は、各市区町村の公式ホームページからダウンロードできます。
また、毎年5月に各市区町村から届く特別徴収税額の決定通知書に同封されていることもあります。
給与所得者異動届出書には全国統一様式が準備されていますが、独自様式を採用している市区町村もあるので注意しましょう。
給与所得者異動届出書の作成
各市区町村が公開している記入例などを参考に、必要事項を記入します。
なお、未徴収分の住民税の取扱いについては、「①普通徴収へ切替」「②一括徴収」「③特別徴収へ切替」から選択することになります。
①普通徴収へ切替
- 市区町村から届く納付書に従い、社員本人が納付する
- 対象:6月~12月に退職・休職などする社員
②一括徴収
- 未納付分を給与から全額差し引いて納める
- 対象:1月~4月に退職・休職などする社員(原則必須)、6月~12月に退職・休職などする社員のうち本人が希望したもの
③特別徴収を継続
- 転職先や転勤先で特別徴収を継続する
- 対象:転職先が決まっている退職する社員、転勤する社員
特別徴収継続の場合、新しい勤務先の給与担当者へ月割額や徴収月を連絡した上で、異動届を提出するよう案内している市区町村もあります。
特別徴収への切替依頼(申請/届出)書の様式
特別徴収への切替依頼(申請/届出)書の様式は、各市区町村の公式ホームページからダウンロードできます。
また、毎年5月に各市区町村から届く特別徴収税額の決定通知書に同封されていることもあります。
特別徴収切替の様式は、市区町村によって異なります。
必ず、提出先の市区町村のホームページをチェックするようにしましょう。
市区町村によっては、オンラインや電話で切替依頼を受け付けていることもあります。
特別徴収への切替依頼(申請/届出)書の作成
各市区町村が公開している記入例などを参考に、必要事項を記入します。
なお、対象となる社員の年税額や納税通知書番号(整理番号)などの記入が必要になることがあります。
これらは普通徴収の納付書に記載されていますので、手続きの際、社員から提出を受けるとよいでしょう。
添付書類
- 給与支払報告/特別徴収に係る給与所得者異動届出書
添付書類は特に必要ありません。 - 特別徴収への切替依頼(申請/届出)書
市区町村によっては、普通徴収の納付書や、納付済の普通徴収住民税の領収書コピーなどの添付を求められることがあります。
必要に応じて、社員へ提出を依頼しましょう。
住民税の特別徴収関連の手続きを行ったあと
住民税の給与所得者異動届出書や特別徴収への切替依頼書の手続きが完了すると、各市区町村から「特別徴収税額の決定・変更通知書」が届きます。
このうち、納税者交付用は社員へ交付します。
また、特別徴収義務者用は金額を給与台帳等と付け合わせた上で、会社で保管しましょう。
住民税の特別徴収関連の手続きを忘れずに
住民税の特別徴収に関する手続きは、市区町村によって様式や対応が異なる場合があります。
各市区町村がホームページに掲載する案内を確認し、滞りなく手続きを行うように心がけましょう。
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