
労働災害とは?
労災と私傷病
労働者が業務上の事由により負傷したり疾病にかかった場合は労働災害(労災)といい、それ以外の事由によるものを私傷病という。労災と私傷病を区別する理由は、労働者の療養や休業補償などを行う社会保険制度が異なるためである。
業務災害と通勤災害
業務上の事由による傷病を業務災害、通勤途上の事故による傷病を通勤災害という。また近年はダブルワークが増え、職業性疾病など、労災の原因となる事業場を特定できない事例が増えたことから、新たに複数事業労働者災害が設けられた。
労災認定の要件
業務災害の場合
業務災害は、業務の遂行中に、業務に起因して、傷病になることをいう。業務遂行中とは、勤務時間中のみをいうのではなく、作業服に着替える時間や休憩時間も含まれる。なお業務災害の疾病は、労働基準法施行規則に列挙されているものに限定される。
近年は、過重労働による脳血管疾患や虚血性心疾患、またうつ病などの精神疾患が労災認定されるケースが増えており、労働者災害補償保険法において、労災認定される長時間労働の目安が明示されている。
■脳血管疾患・虚血性心疾患と長時間労働の関連性が強いと判断される基準
- 発症前6ヶ月間において、長期間の過重労働に就労した場合
- 発症前の1週間において、短期間の過重業務に就労した場合
- 発症前から前日の間に、異常な出来事(重大な労災事故等)に遭遇した場合
長期間の過重労働とは、発症1ヶ月前に月100時間を超える時間外労働もしくは発症前6ヶ月間のうち2ヶ月を平均して80時間を超える時間外労働をいう。
■うつ病などの精神疾患と長時間労働の関連性が強いと判断される基準
- 発症1ヶ月前に月160時間を超える時間外労働があった場合
- 発症2ヶ月前に月120時間を超える時間外労働があった場合
- 発症3ヶ月前に月80時間を超える時間外労働があった場合
通勤災害の場合
通勤災害は、たとえば通勤途中に交通事故に遭ったり、傷害事件に巻き込まれて負傷したりすることをいう。ただし通勤とは、自宅と職場との間の合理的な経路を往復することをいい、居酒屋に立ち寄るなどの行為は通勤の逸脱とされ、逸脱以後は通勤とはみなされない。
複数事業労働者災害
複数事業労働者とは?
複数事業労働者とは、複業や副業を行うダブルワーカーのことをいい、労災の原因が、複数の事業場のどちらにあるのか特定できない場合に、被災労働者のすみやかな救済を目的として、労災保険から必要な給付を行うものである。
複数事業労働者が労災に遭ったら?
複数事業労働者が労災に遭った場合は、それぞれの事業場の業務と労災との因果関係を判定し、労災の原因となった事業場が特定できれば、その事業場における業務災害として労災認定するが、そうでなければ不支給決定した上で、複数事業労働者災害として保険給付する。
労働災害のまとめ
労災認定するのは使用者ではない
労災にするかどうかは会社が決めることだと勘違いしている使用者は少なくないが、労災認定するのは所轄の労働基準監督署である。よって使用者が独断で、被災した労働者を私傷病とし健康保険で医療機関を受診するように指示すると、労災かくしとして処罰される。
おすすめの書籍
事業主は1人でも労働者を雇ったら労災保険に強制加入することになり、労災事故が発生したらできるだけ速やかに労災保険給付の手続きを行う義務がある。一方で多くの労災事故は不意に発生するものであり、有事に備え、事業場ごとに実務手続きガイドを常備しておきたい。
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