当サイトはアドセンス広告およびアフィリエイト広告を利用しています。

03_賃金計算

年末調整

2024年12月12日

年末調整のアイキャッチ

年末調整とは?

年末に所得税を確定する

月々の給与から控除されている源泉所得税は概算額である。年末調整とは、源泉所得税の確定額を計算し、概算額との差額を清算(調整)する作業をいう。年末調整の詳細は国税庁のHPに記載されているが、本記事はポイントのみ簡潔に解説する。

課税の基本ルール

税金は、収入から経費を差し引いて残った儲けに対して、課税するのが基本ルールである。これは法人税も所得税も同じ考え方であり、サラリーマンの源泉所得税の計算においても、給与総支給額から経費見合いの額を控除できる。

年末調整の手順

年末調整の事前準備

✅️年末調整対象者の確認
年末調整の対象者は、主に次の条件を満たす者である。

  • 12/31時点で在籍が見込まれる者
  • 給与総支給額が2,000万円以下〜103万円超の者
  • 扶養控除申告書を提出している者

✅️控除申告書の配布と回収
国税庁HPから次の申告書を印刷して、11月中旬頃に年末調整の対象となる従業員に配布する。必要事項の記入および所定の証憑を貼付してもらった上で、遅くとも12月初旬に回収し、12月の給与計算作業に入る前に、回収した申告書の不備をチェックする。

  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 基礎控除申告書、配偶者控除等(兼定額減税)申告書及び所得金額調整控除申告書
  • 保険料控除申告書
  • 住宅借入金特別控除申告書

年末調整①(課税所得の計算)

✅️総支給額の確定
12月度の給与計算を行い、年間の給与と賞与の総支給額を確定する。年末調整は、総支給額から、経費見合いの額を順次控除してゆき、残額に税率を乗じて年税額を確定し、これまで給与から控除した概算額と相殺する流れとなる。

✅️給与所得控除
給与所得控除とは、サラリーマンの経費見合いの額であり、「給与所得控除後の金額の算出表」に、総支給額ごとの給与所得控除の額が決められている。厳密には「総支給額から”給与所得控除”を控除する…」という表現が正しい。

✅️各種控除
総支給額から”給与所得控除”を控除した後に、これまで控除した社会保険料を差し引き、各従業員から回収した各種控除申告書にもとづき控除を行い、課税給与所得金額を算出する。

年末調整②(所得税額の計算)

✅️所得税額の計算
前述の課税給与所得金額を「算出所得税額の速算表」にあてはめて、所定の税率を乗じ、さらに税率ごとに決められた控除額を差し引いて、所得税額を算出する。

✅️定額減税他
所得税額から、定額減税(年調減税)分と住宅借入金控除の額を差し引き、年調所得税額を算出する。

✅️復興税の課税と年税額の確定
年調所得税額に復興特別所得税分として、102.1%を乗じ、年調年税額を確定する。この年調年税額こそ、当年度に本来納付すべき源泉所得税の額である。

年末調整③(概算額との相殺)

✅️12月の給与計算において、これまでに控除した源泉所得税の概算額と、確定した年調年税額を相殺する。確定額より概算額が大きければ還付を、また少なければ追納処理を行う。

法定調書の作成と提出

✅️年末調整が終わったら、翌年の1月末までに、税務署に給与所得の源泉徴収票(一定の所得を超える者のみ)、市町村役場には給与支払報告書を提出する。

年末調整のまとめ

3つの大まかな流れを理解する

国税庁の「年末調整のしかた」の内容は、詳細かつボリュームがあるため、年末調整の全体像を把握するのに一苦労だが、店長クラスであれば、①課税所得を計算し→②所得税額を計算し→③概算額と確定額を相殺する、という3つの流れを押さえておけば問題ない。

おすすめの書籍

経理専門書の老舗、税務研究会が出版している年末調整手引書のロングセラー。令和6年度は年調減税(定額減税)の処理もあるため、ぜひ本書でポイントをしっかり予習しておきたい。


  • この記事を書いた人

山口光博

コンビニやスーパーの販売職を経て三十路を機に人事業界に転身。20年以上にわたり人事部門で勤務先の人事制度改革に携わった後に起業。社会保険労務士試験合格。日商販売士1級、建設業経理士1級、FP技能士2級など多数取得。

-03_賃金計算
-, , ,