
小売業の採用計画
経営戦略と人事戦略
経営戦略とは、限られた経営資源を、いかに効果的に運用して最大限の成果をあげるか、という経営の方向性を示すものである。そして経営の3大資源であるヒト、モノ、カネのうち、ヒトというリソースを有効活用するための自社の方針こそ人事戦略である。
小売業の人事戦略
小売業は労働集約型産業であり、人材の質がサービスの質に直結するため、人事の巧拙こそリテール経営の生命線であると言っても過言ではない。さらに昨今の人材採用難や人件費の高騰、就労の価値観の多様化によって、小売業における人事マネジメントは難化している。
採用計画の立案
人員計画の策定
採用計画は人員計画から導き出されるべきである。人員計画は配置計画とも呼ばれ、今年度の事業運営に必要な人材や人員数を取りまとめたものである。このうち既存の労働力でカバーできない不足部分を補填するためのTODOリストが採用計画である。
LSPにもとづく人員計画
LSP(Labor Scheduling Program)とは、店舗作業を簡素化→システム化→標準化した上で、店舗オペレーションに必要な人材のスキルや投入人時を整理し、最適な人員配置を行うことで、人件費を抑制しつつ販売活動の効率を高めることを目的とした手法である。
採用計画で検討すべきポイント
小売業において採用計画を立案するにあたり、まずLSPにもとづく精度の高い緻密な人事計画の策定が不可欠である。その上でマーケティング分析にもとづいて、どのようなセグメントの人材に、どのようなプロモーションを仕掛けて、採用に結びつけるのか考える必要がある。
なお、採用計画の立案にあたり、コンプライアンスと総額人件費コントロールの観点から、次の項目を具体的に整理した上で、マーケティング分析を行うことをお勧めする。
- 雇用条件(職種、職位、配属先、雇用身分)
- 職務要件(資格、スキル、経験、人物像)
- 採用手段(募集と採用の媒体、採用時期)
- 選考方法(採用試験、選考場所、決定権者)
- 受入方法(入社時OFF-JT、配属後のOJT)
- キャリアパス(入社後のラダー、教育計画)
- リスクマネジメント(内定辞退、既存社員の離職)
採用計画のまとめ
無計画な採用は会社を潰す
無計画な採用は総人件費の上昇による労務倒産や、コア人材の流出による人材不足倒産を招くリスクが高い。経営リソースのうち、ヒトの問題は手当てに時間がかかり、不確実性が高いので、戦略にもとづく採用計画と計画達成のための組織体制をしっかり整備しておきたい。
おすすめの書籍
採用ばかり注力しても、入社後の人事管理がずさんだと、せっかく獲得した人材の早期理力を招くどころか、SNSでブラック企業などと吹聴されて、以後のリクルートが困難になる。筆者の持論でもあるが、採用は教育、評価、処遇とあわせてトータルで質を高めるべきなのだ。
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