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08_障害時の制度

障害年金の併給調整

障害年金の併給調整アイキャッチ

障害年金の併給調整

社会保険

厚生年金保険と国民年金は2階建てと呼ばれ、老齢、障害、死亡など、同一の給付事由のものは併給される。ただし65歳以後は、給付事由の異なるものでも、併給される場合があり、障害基礎年金(=満額の老齢基礎年金)については、全ての厚生年金と併給できる。

労災保険

障害厚生年金および障害基礎年金は、障害の事由が労災か私傷病かを問わないため、労災保険の障害(補償)等給付が併給されることがある。この場合、労災保険の障害(補償)等給付の側で、一定の割合を減額調整することになっている。

労働基準法の災害補償

労災保険は、労働基準法に定める事業主の災害補償義務(業務災害に限る)が、事業主の資力不足によってきちんと履行されず、被災労働者が経済的に困窮することのないように、事業主の補償を代行する制度である。

もし、労働基準法にもとづき、事業主が被災労働者に対して補償を行うことになった場合は、障害厚生年金と障害基礎年金は、6年間を上限として支給停止される。なおこれまでに解説してきた併給調整の関係をまとめると、下表のとおりとなる。

労災保険から補償給付が行われる場合は、労働基準法の災害補償責任の履行はいったん猶予され、労災保険から実際に補償が行われた時に、事業主は免責される。

障害手当金の併給調整

厚生年金保険の障害手当金については、原則として他の制度から保険給付が行われる場合は、給付されない(そもそも受給権を取得しない)。

例外は健康保険の傷病手当金で、障害手当金の支給総額の範囲内で、健康保険の傷病手当金が支給停止される。

障害の程度が変わったとき

事後重症

初診の時点ではいずれの障害等級にも該当しなかったが、65歳になる前に重症化して、障害等級1〜3級(国民年金は1〜2級)に該当した時は、障害年金を給付する。

基準障害

障害等級2級以上に該当しなかったが、その後、新たな傷病(基準傷病)によって、65歳になる前に障害等級2級以上になった場合は、2級以上の障害年金を給付する。

その他障害

障害等級2級だったが、その後、新たに障害等級3級以下の障害が増えたことによって、障害の程度が増悪してしまった場合は、障害等級1級とする。

併合認定

障害等級2級以上だったが、その後、新たに障害等級2級以上の障害が増えた場合は、併合してひとつの障害年金に1本化した上で、保険給付する。

障害年金の併給調整のまとめ

厚生年金は障害等級3級に注意

厚生年金は障害等級3級以上であれば、65歳以後も引き続き障害年金を受給でき、老齢年金とどちらかを選択することになる。ただし65歳以後に、障害状態の増悪によって年金改定(増額)を請求できるのは、2級以上となっている点に注意が必要である。

おすすめの書籍

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  • この記事を書いた人

山口光博

コンビニやスーパーの販売職を経て三十路を機に人事業界に転身。20年以上にわたり人事部門で勤務先の人事制度改革に携わった後に起業。社会保険労務士試験合格。日商販売士1級、建設業経理士1級、FP技能士2級など多数取得。

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