当サイトはアドセンス広告およびアフィリエイト広告を利用しています。

007_退職手続のFAQ

【無断欠勤】連絡が取れない歯科スタッフ。一方的に「自然退職」として処理しても問題ないか?

人事相談FAQでは、実際に運営者(RWC合同会社・RWC社労士事務所)が取り扱った人事相談のうち、頻出の事案あるいは重要と思われる事案を厳選し、医療業界に置き換えてご紹介しています。

依頼者からのご相談

疑問な白衣の女性

当院は、歯科医師1名、歯科衛生士2名、歯科助手2名が勤務する歯科クリニックです。1ヶ月前から、入職2年目の歯科助手が突然、無断欠勤を続けています。

当初は体調不良かと思い、電話やLINEで何度も連絡を試みましたが、一切返信がなく、自宅を訪問してもインターホン越しに拒絶されるか、不在を装っているような状況です。他のスタッフからは「彼女がいない分、予約の調整や片付けが回らない。早く新しい人を雇ってほしい」と不満が出ています。

就業規則には「無断欠勤が14日以上に及び、連絡が取れない場合は自然退職として扱う」という規定がありますが、本人の署名が入った退職届がないまま、一方的に「自然退職」として処理しても法的に問題ないのでしょうか?また、離職票の手続きなどで本人の署名がもらえない場合の対応についても教えてください。


ご相談への回答

できるビジネスパースン

スタッフが音信不通のまま無断欠勤を続ける事態は、診療体制の維持が重要な歯科クリニックにとって極めて深刻な問題です。結論から申し上げますと、適切な「出勤督促」の手順を踏んだ上で、就業規則の規定に基づき「自然退職」として処理することは法的に可能です。 ただし、後々のトラブル(不当解雇の主張など)を避けるためには、単に放置するのではなく、客観的な証拠を残す実務が不可欠です。

第一歩は「内容証明郵便」による出勤督促

電話やLINEでの連絡がつかない場合、法的なエビデンスとして「内容証明郵便(配達証明付き)」を利用した出勤督促を行います。

  • 記載内容: 無断欠勤の事実を指摘し、◯月◯日までに出勤するか、欠勤の理由を連絡するよう求めます。
  • 期限の設定: 1週間程度の猶予を持たせた回答期限を設定します。
  • 警告事項: 「期限までに連絡がない場合は、就業規則第◯条に基づき、就労の意思がないものとみなして自然退職(自己都合退職)として処理する」旨を明記します。

この書面が本人に到達した(あるいは受け取りを拒否した)という事実が、後に「会社は雇用維持の努力を尽くした」という強力な証拠になります。

就業規則に基づく「自然退職」の適用

多くのクリニックの就業規則には、無断欠勤が一定期間(通常は14日〜30日程度)続き、督促に応じない場合に、労働契約を自動的に終了させる「自然退職(または当然退職)」の条項が設けられています。

  • 解雇との違い: 「解雇」は事業主側からの意思表示ですが、「自然退職」は一定の事実(音信不通の継続)が発生したことによって、労働者が就労の意思を放棄したとみなして契約を終了させるものです。
  • 退職通知の送付: 回答期限を過ぎても連絡がない場合は、改めて「◯月◯日をもって就業規則に基づき自然退職として受理した」旨を、再度書面で通知します。これにより、その日をもって雇用関係が消滅したことを確定させます。

離職票作成時の実務(本人署名が得られない場合)

雇用保険の離職票(離職証明書)には、通常、本人が記載内容を確認して署名する欄(15欄・16欄)がありますが、音信不通の場合は署名をもらうことができません。

  • 事業主による事情付記: このような場合、事業主が署名欄に「本人が離職後、音信不通で連絡が取れないため」あるいは「本人が署名を拒否したため」といった理由を付記し、事業主の記名・押印を行うことで、ハローワークは受理してくれます。
  • 離職理由の記載: 離職理由は「自己都合(就業規則第◯条の自然退職条項の適用による)」と記載します。ハローワークが不審に思った場合は、前述の内容証明郵便の写しなどを提示することで、事実関係を疎明できます。

本件のポイント

気づきを得た白衣の女性
  • 音信不通でもいきなり退職処理せず、まずは「内容証明郵便」による出勤督促を行い、法的な証拠を確保する。
  • 就業規則に「自然退職」の条項があることを確認し、規定の手順(欠勤日数など)を厳格に守って適用する。
  • 2週間以上の正当な理由なき無断欠勤は、労働基準監督署から「解雇予告除外認定」を受けられる事由にも該当するが、実務上は「自然退職」として整理する方が紛争リスクを抑えやすい。
  • 離職票の本人署名がない場合でも、事業主が理由を付記(疎明)することで、行政手続きを止める必要はない。

無断欠勤は、他のスタッフに過度な負担を強いる「職務専念義務違反」の状態です。院長として迅速かつ法的に正しい手続きを進めることは、残されたスタッフの安心感と、クリニック全体の規律を守るためにも重要です。

本記事の内容は投稿時点の法令にもとづき要点のみを平易な表現で執筆しています。実務においては所轄の官公署にご相談のうえ、貴院の実情に応じて適切にご対応願います。なお弊社でもオンライン人事相談を実施中です。詳しくは弊社ホームページよりご確認ください。


お問い合わせはこちらから

リモートワークスコンサルティング社労士事務所ロゴ
社労士バッジ
  • この記事を書いた人

山口光博/社会保険労務士/医療労務コンサルタント

医療法人の総務課長→医事課長→法人本部人事課長を歴任後、上場準備企業の人事部長を経て開業。歯科・歯科口腔外科部門の事務マネジャー経験あり。

-007_退職手続のFAQ