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003_休日休暇のFAQ

【名称の工夫】「生理休暇」が取得しづらい…。女性スタッフに配慮した「ウェルネス休暇」の提案

人事相談FAQでは、実際に運営者(RWC合同会社・RWC社労士事務所)が取り扱った人事相談のうち、頻出の事案あるいは重要と思われる事案を厳選し、医療業界に置き換えてご紹介しています。

依頼者からのご相談

疑問な白衣の女性

当院は、私(院長)以外はすべて女性スタッフ(歯科衛生士5名、受付・助手3名)の歯科クリニックです。スタッフの年齢層も20代から40代と幅広く、日頃から「女性が働きやすい職場」を目指しています。

就業規則には労働基準法に基づき「生理休暇」を定めていますが、実際のところ利用者はゼロです。ベテランの衛生士から「名前が直接的すぎて、男性である院長には申請しづらい。更年期障害で体調が悪い時なども含めて、もっと使いやすい休暇制度にならないか」と提案を受けました。

そこで、生理休暇やその他の体調不良を統合して、「ウェルネス休暇」という名称に改め、取得を促したいと考えています。以下の点について教えてください。

  1. 法律で決まっている「生理休暇」の名前を、勝手に「ウェルネス休暇」に変えても法的に問題ありませんか?
  2. 女性特有の症状だけでなく、更年期障害なども対象に含めることは可能でしょうか?
  3. この休暇を「有給」とした場合、国が義務付けている「年5日の年次有給休暇の取得義務」のカウントに含めることはできますか?

ご相談への回答

できるビジネスパースン

歯科クリニックのように女性が中心となって活躍する現場において、スタッフの健康課題(ウェルネス)に配慮した制度設計は、離職防止やエンゲージメント向上の観点から非常に重要です。

法定休暇の名称変更と実務上の工夫

労働基準法第68条に定める「生理休暇」は、生理日の就業が著しく困難な女性が請求した際、就業させてはならないという法定休暇です。

この名称をクリニック独自の「ウェルネス休暇」や「F休暇(Femaleの略)」などに変更することは、実務上全く問題ありません。むしろ、名称をマイルドにすることで心理的なハードルを下げ、取得を促進することは好ましい取り組みといえます。

ただし、法的な定義を明確にするため、就業規則には「ウェルネス休暇とは、労働基準法第68条に定める生理休暇を含むものとする」といった但し書きを付記しておく必要があります。

更年期障害等への適用拡大と「独自休暇」としての設計

生理休暇は法律上「女性」のみが対象ですが、更年期障害による体調不良(LOH症候群など)は男性スタッフ(歯科医師等)にも起こり得ます。

そのため、生理休暇としての枠組みを維持しつつ、さらに広範な体調不良をカバーする制度にするのであれば、「法定の年次有給休暇とは別に、クリニック独自の有給休暇(ウェルネス休暇)」として新設するのが最もスムーズです。

  • 対象範囲: 生理痛、更年期症状、不妊治療、がん検診の受診など、心身の健康維持(ウェルネス)に関わる事由を広く含めることができます。
  • 不合理な差別の禁止: この休暇を導入する場合、正社員だけでなく、パートタイムや有期雇用のスタッフにも同様に適用しなければならない点に注意してください。

「年5日取得義務」へのカウントの可否

ここが実務上の重要なポイントです。

  • 原則: 単なる「生理休暇(法定休暇)」は、年次有給休暇(年休)とは別物であるため、取得させても「年5日の年休取得義務」のカウントには含まれません。
  • 工夫: もし、このウェルネス休暇を「クリニックが独自に付与する上乗せの有給休暇」として設計し、その取得日を年休の取得実績としてカウントしたいのであれば、あらかじめ就業規則でその旨を定め、スタッフに周知しておくことで、法的な取得義務(5日分)の枠内で運用できる可能性があります。

ただし、生理休暇としての性質(請求があったら拒めない)を維持する必要があるため、詳細な規程整備については専門家(社労士等)に相談されることをお勧めします。


本件のポイント

気づきを得た白衣の女性
  • 「生理休暇」の名称を「ウェルネス休暇」等に変えることは可能だが、就業規則で法的な生理休暇であることを紐付けておく。
  • 更年期障害や検診受診などに対象を広げることで、スタッフが健康不安を抱えたまま無理して働くリスク(プレゼンティーイズム)を軽減できる。
  • 独自の有給休暇として設計すれば、年5日の年休取得義務に貢献させることも可能である。
  • 雇用形態(正規・非正規)に関わらず、健康課題は共通の事象であるため、全スタッフを対象とした制度にする必要がある。

スタッフが心身ともにベストな状態で診療に臨める環境を整えることは、結果として患者様への質の高いサービス提供(患者満足度)に直結します。

本記事の内容は投稿時点の法令にもとづき要点のみを平易な表現で執筆しています。実務においては所轄の官公署にご相談のうえ、貴院の実情に応じて適切にご対応願います。なお弊社でもオンライン人事相談を実施中です。詳しくは弊社ホームページよりご確認ください。

  • この記事を書いた人

山口光博/社会保険労務士/医療労務コンサルタント

医療法人の総務課長→医事課長→法人本部人事課長を歴任後、上場準備企業の人事部長を経て開業。歯科・歯科口腔外科部門の事務マネジャー経験あり。

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