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賞与にかかる社会保険料

2024年1月11日

賞与にかかる社会保険料アイキャッチ

要するに社会保険料率を乗じる標準報酬月額と標準賞与額の上限額が異なるがゆえに損得が生じるという話である。

例えば健康保険の標準報酬月額は50等級139万円、厚生年金保険は32等級65万円だが、標準賞与額については健康保険が年間で573万円、厚生年金保険は支給1回あたり150万円がそれぞれ上限となっており、年俸制の場合は報酬と賞与の比率を上手に調整すると1年間に収める社会保険料を節約できるかもしれない。

ただし冷静に考えてみると、月額139万円以上もらっている人が世の中に一体どれくらいいるのか?ということである。

標準報酬月額が低めに設定されている厚生年金保険でさえ月65万円である。サラリーマン時代は会社の黒歴史というか、負の遺産の後始末ばかり担当してきた筆者でも、こんなにもらったことはない。ましてや賞与573万円なんて夢のような話だ。

閑話休題。筆者の愚痴はさておき、賞与にも社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)はかかるし、労働保険料(労災保険料、雇用保険料)も税金(源泉所得税、個人住民税)もかかる。なお社会保険料については平成15年3月末までは、保険料徴収の対象外だった。

筆者が販売職から人事業界にキャリアチェンジしたのは平成14年の春だったが、その翌春に総報酬制が導入され、賞与からも社会保険料が徴収されるようになった(販売畑一筋だった筆者にとって、社会保険の”しの字”もわからない中での総報酬制への切り替えはかなり堪えた)。

ともあれ現在の社会保険料は標準報酬月額と標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じて得た額を、労使が折半して負担することになっていて、サラリーマンの給与から天引きされている社会保険料は、本来の保険料の半額である(残りの半額は会社の経費で賄っているのだよ…)。

労働保険料は、いったん概算保険料を納付しておいてから、毎年7月10日までに保険料の年度更新を行い、前年度の賃金総額(賞与含む)に保険料率を乗じて得た額の確定保険料と相殺する(労災保険と雇用保険二事業の保険料は会社が全額負担する)。

源泉所得税は概算額を月々の給与および賞与から天引きし、12月に確定額と概算額を年末調整で清算する仕組みである。個人住民税は年末調整をもとに算定されて翌年6月から徴収される。

ちなみに皆さんが「給与」と言っているのは所得税法の用語であり、社会保険では「報酬」、労働保険では「賃金」という。そして給与の年税額の算定期間は1月〜12月だが、社会保険と労働保険の保険年度は4月〜翌3月となっている。

最後に無理やり総括すると、サラリーマンの場合は社会保険料も所得税も源泉徴収方式で徴収されるため、個人事業者のような確定申告の裏ワザといったものはほとんど期待できない。むしろ働きかたを含めたライフプランニングをしっかり行うことこそ重要ではないかと思う。

小学生のくらしと…というタイトルの一方で、大人でも十分になるほど〜と思わせる本格的な内容。税金と社会保険を徴収する目的とそれらがどのように我々の生活に反映されているのか、わかりやすく解説されている。「矛盾に気づける!」という表紙のコピーにも、単なる子供向け学習書ではないことがうかがえる。


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  • この記事を書いた人

山口光博

RWC合同会社/社労士事務所代表。社会保険労務士、日商販売士1級、建設業経理士1級ほか。コンビニ店長やスーパーの販売課長を経て、三十路で人事畑に転身。事業再生法人や上場準備企業で人事制度の再建に携わった後に起業。

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