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電話依存やめませんか?

2024年2月7日

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フロー状態とは米国クレアモント大学のチクセントミハイ教授が提唱した理論で、時間の経過を忘れるくらいに物事に没頭している状態をいい、仕事やスポーツ、芸術活動、勉強などあらゆるシーンで起こりうる。ただしフロー状態に入るにはいくつか条件があり、チクセントミハイ教授は、その主なものとして、①自分の能力に見合った課題、②明確な目標、③集中力を妨げる要因の少ない環境などを挙げている。

フロー状態を獲得すると、集中力や想像力が増して生産性がアップし、幸福感や充実感を得ることもできるが、仕事の場合であれば、多くの職場においてフロー状態を妨げる無神経な要因があちこちに存在している。そしてその最たるものこそ、不意にかかってくる、要領を得ない、ダラダラと永遠に続きそうな無駄な長電話ではないかと思っている。

例えば緊急性のない宛先不明の社内の問い合わせ電話。とりあえず誰でもいいからこっちの要件を放り込んでおけばいい、といった無責任な態度のおかげで、こちら側では電話を受けた者が要件をメモし、復唱して確認し、部内の担当者を探して、要件の内容を取り次ぐといった余計な手間が生じる。もし最初から人事部宛にメールをもらえたら、こうはならない。

もうひとつあげるとすれば、資料をDLしたり、求人を出したりする度にかかってくるしつこい営業電話。一応「お忙しいところ申し訳ありません。」と前置きしてくるものの、こちらの都合などお構いなしに電話をかけてきて、興味の無い話を一方的にまくしたて、「いかがですか?」などと言われたって、こちらとしては閉口せざるを得ない。

特に前職は電話や立ち話が好きな人が多い職場風土だったせいか、とにかく社内コミュニケーションの効率が悪かった。こういうことを言うと「電話応対もオマエラの仕事だろう。」と食ってかかる人もいそうだが、社内対応しないと言っているのではない。あまりにも生産性の低い緩慢なコミュニケーションのやり方を改めませんか?と言っているのだ。

そこで前職では問い合わせの多い事項は予め社内のポータルサイトに掲示しておき、各部門長には人事部宛の問い合わせや依頼は原則として5W2Hを簡潔にまとめたメールで行い、緊急時以外はなんでもかんでも電話してこないように要請した。古参の社員達からは相当に反感を買ったが、結果的に当時は私の部署が一番生産性が高かったと自負している。

極論すれば現代のビジネスにおいて電話はすでに時代遅れのコミュニケーションツールである。ビジネスが複雑化し、多様化し、実行スピードが求められる今の時代は、テキストベースのコミュニケーションがデフォルトであるべきだ。なぜならテキストベースすなわちメールやチャットなどでのコミュニケーションには電話にはない沢山のメリットがあるからだ。

メリットその① 効率よく情報を伝達できる
〜電話では相手の時間を拘束してしまうが、メールなら情報の送り手と受け手がそれぞれ都合の良い時に対応することができる(すぐメールを見ろ!は誤用)。

メリットその② 効率よく記録を保存できる
〜電話では会話の内容をメモし、忘れないようにパソコンや手帳に転記する作業が生じるが、メールはそのまま保存しておくだけでいつでも見返すことができる。

メリットその③ 効率よく情報を共有できる
〜部署共有のメアドを設置することで、案件ごとにそれぞれの担当者がすぐに対応できる。またCCや転送機能を活用すればスピーディに関係者に情報共有できる。

メリットその④ 効率よく情報を検索できる
〜電話でありがちなのが「言った」「聞いてない」の不毛な押し問答。メールなら送受信の履歴を検索すれば一発で過去のやりとりをチェックすることができる。

メリットその⑤ 情報のヌケやモレを防止できる
〜定例的な確認事項や連絡事項であれば、事前に内容をテンプレ化しておくことで、確認モレや連絡モレを防ぐことができる。

今どきは部外者とはメールで、チームメンバーとはチャットで適宜コミュニケートし、複雑な案件やセンシティブな内容の時は、スケジューラで互いの予定を調整してから、Webミーティングを行って、細かな意思疎通を図るのがセオリーだ。さらにWebミーティングであれば録画もできるし、AIを使って自動的に議事録を生成することができる。

一方で、いくらテキストベースのコミュニケーションのメリットを説明しても、電話に固執する人達がいるのも事実。彼らの言い分は「電話でなければ微妙なニュアンスが伝わらない。」というものだが、グローバル時代に日本特有の「空気を読む」などといった、受け手の気遣いに期待するようなコミュニケーションはミスリードを招き生産性を下げるだけだ。

あるいは「創発は雑談から生まれるものだ。」などという人もいた。しかし日常的なルーチンすらテキパキと捌けないような人達が集まってグダグダ雑談したところで、しょせんは何の付加価値も生まない自己満足的なパフォーマンスに過ぎないというのが私の考え。むしろさっさとテキストコミュニケーションに切り替えて、フロー環境の醸成を図った方が生産的だろう。

時代の変化にあわせて最適なコミュニケーションツールも変わってゆく
  • この記事を書いた人

山口光博

コンビニやスーパーの販売職を経て三十路を機に人事業界に転身。20年以上にわたり人事部門で勤務先の人事制度改革に携わった後に起業。社会保険労務士試験合格。日商販売士1級、建設業経理士1級、FP技能士2級など多数取得。

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