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DXを阻むオッサン的美徳

2024年1月24日

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日経新聞の記事によると「DX推進度が全国でほぼ最下位の北海道にあって、人口2万人弱の当別町が、生成AIを活用して劇的な業務効率化に成功した」とのこと。具体的にどんな業務にどうAIを活用したのかについて詳しくは触れられていなかったが、ブログやSNSの運営を効率化すべくGeminiやChat GPTを相手に悪戦苦闘している(要するに上手に使いこなせていない)筆者にとって、大いに興味があるテーマだ。

筆者が生成AIを上手に使いこなせていないのは、プロンプトの構文スキルが未熟なだけかもしれない。しかし、生成AIは日進月歩で進化しているので、いずれ生成AIの方から筆者に歩み寄ってくれて、人力による校正の煩わしさが解消されるのではと密かに期待している。生成AI以外では、Google Workspaceなどのビジネス・コミュニケーションツールやデータポータルをはじめとするBIは、数年前とは比べ物にならないくらいに使い勝手が良くなった。

一方でユーザーたる人間の側はあまり進化していないように感じる。それは手作業をITツールに置き換えることをDXだと勘違いしている人が多いからだ。DXにおけるITやICTは事務効率化のひとつの手段に過ぎない。むしろDXを推進して労働生産性を向上したいなら、まず日本の多くの職場にはびこっている玉虫色の社内ルール、属人的な職務分掌、非効率なコミュニケーション、不透明な意思決定プロセス、無意味な儀式や慣習などを徹底的に排除する必要がある。

旧来の仕事の常識を破壊した上で、改めて合理的な業務フローを敷設し、適所適材にもとづいた人員配置を行い、新しい秩序にそぐわない価値観は逐次矯正してゆくことがDXの肝なのだが、こういうことを言うと「そもそも組織は理不尽で不合理なものだ。」などと諭してくるオッサンが出現する。しかし理不尽さや不合理さくらいDXと相性が悪いものはない。AIは是々非々で淡々とジョブを処理してゆくだけで、もしAIが清濁併せ呑むようになればかえって怖い。

ところでお役所といえば「ネ申エクセル」である。念押しすると「神」ではなく「ネ申」。これは表計算ソフトのセルを方眼紙状にしてセル結合を多用したお役所独特の表計算ソフトの使用法を揶揄したものだが、表計算ソフトの機能をわざわざ封殺した極めてガラパゴス的なフォーマットである。なぜこんな摩訶不思議な使い方をするのか?というと、お役所の資料は紙に印刷したり、手書きで付記したり、人力でチェックすることを前提としているからである。

「ネ申エクセル」はいまやお役所を象徴する代名詞となってしまったが、総務省統計局のE-Statなどは未だに「セル結合」と「再掲」のオンパレードで、統計データをBIに読み込んで情報として活用するには、データクレンジングに膨大な労力を費やす。これは利用者側のPCスキルが未熟なため、お役所としては印刷できる体裁にして資料を作成しなければならない、という事情もあるのではないかと推察するが、ここらを生成AIを活用して上手く解決できないものか。

それにしても保守的なお役所にあって、この職員の方は生成AIをどのように導入して職場の作業効率化を図ったのだろうか?筆者としては生成AIの活用法よりも、職場の意識を変革していったプロセスの方がより気になる。恐らく自分達の慣れ親しんだ仕事のやり方にこだわる古参の職員達などから激しい抵抗があったのではないかと想像され、これらを解消し克服していったコツなど、もし機会があれば後学のために是非伺いたいと考えている。

エクセルファイルなどをPPAPで配布することは情報漏えいリスクが高いため、実はお役所を中心に禁止の動きが広がっていることを申し添えておきたい。ちなみにPPAPは受信者が好き勝手にファイルを編集しり、オーナーの知らないところでファイルが複製されたりして、ミスリードを招くため、恐ろしいくらいに生産性が上がらなくなる。今どきはGoogleで10Xが正解。


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  • この記事を書いた人

山口光博

RWC合同会社/社労士事務所代表。社会保険労務士、日商販売士1級、建設業経理士1級ほか。コンビニ店長やスーパーの販売課長を経て、三十路で人事畑に転身。事業再生法人や上場準備企業で人事制度の再建に携わった後に起業。

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