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17.人事にまつわる事務手続き

産前産後休業・育児休業終了時の標準報酬月額変更の手続き

産休・育休終了時の標準報酬月額変更手続きのアイキャッチ画像

従業員が産休や育休から職場復帰した際、短時間勤務などによって給与が少なくなることはありませんか?

こうしたケースに対応するために、随時改定の条件を満たさなくても標準報酬月額を変更することで、社会保険料の負担を軽くできる制度があります。

この記事では、従業員の社会保険料負担を適正化するとともに企業側の負担軽減にもつながる、「産前産後休業終了時報酬月額変更届」「育児休業等終了時報酬月額変更届」の手続きの流れを解説します。

この記事は、協会けんぽに加入している被保険者向けの内容となっています。
他の健康保険制度に加入している場合の手続きについては、それぞれの保険者にお問い合わせください。

産育休終了時の報酬月額変更手続きが必要になるとき

産前産後休業(産休)や育児休業(育休)から復職した従業員が、以下の条件を満たす場合、「産前産後休業終了時報酬月額変更届」や「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出し、標準報酬月額を改定することができます。

  • 休職前と改定後の標準報酬月額に、1等級以上の差がある
  • 休職終了日の翌日が属する月以後3か月のうち、給与計算の基礎日数が17日以上1の日が1月以上ある
  • 産休終了後すぐに育休を開始していない(または育休終了後すぐに産休を開始していない)
  1. 特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日、短時間就労者で3か月とも17日未満の場合は15日 ↩︎

なお、通常の随時改定(月額変更)とは、対象となる条件が一部異なります(下記参照)。

  • 固定的賃金の変動がなくても改定が可能。
  • 改定前と改定後の標準報酬月額に、2等級以上の差がなくても改定が可能。
  • 事業主は従業員からの申出に基づき届出を行うものとされている。

産休・育休終了時の報酬月額変更の手続き期限

「産前産後休業終了時報酬月額変更届」および「育児休業等終了時報酬月額変更届」とも、すみやかに提出しましょう。

産休・育休終了時の報酬月額変更の届出様式

「産前産後休業終了時報酬月額変更届」および「育児休業等終了時報酬月額変更届」の様式は、日本年金機構のホームページからダウンロードできます(PDFおよびExcel形式、リンクは次章)。

様式が酷似しているため、産前産後休業と育児休業と誤って使用しないように注意しましょう。

産休・育休終了時の報酬月額変更届の作成

産育休終了時の報酬月額変更届を作成する際は、日本年金機構のホームページに掲載されている記入例や、変更届の裏面の記入方法を参考にするとよいでしょう。

記入が必要な欄は、以下の通りです。

  • 提出者記入欄
  • 申出者欄
    • 対象となる従業員の住所・氏名を記入し、従業員本人が左上の□へチェックマークを入れます。
  • 被保険者欄

添付書類

原則として、添付書類は不要です。

ただし、従業員(被保険者)に代わって事業主(会社)が電子申請を行う場合は、以下の書類が必要です。

  • 下業主を代理とする旨の委任状
    • 従業員が作成(記入)したもの
    • ただし、従業員本人の電子署名を添付する場合は不要

委任状の様式は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
なお、委任状の原本は2年間保存しなければなりません。

産休・育休終了時の報酬月額変更届の提出先

管轄の日本年金機構事務センター、もしくは年金事務所へ、郵送や窓口持参で提出します。

また、電子申請による提出も可能です。

産休・育休終了時の報酬月額変更届を提出したあと

届出が受理されると、日本年金機構から「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」が交付されます。

従業員にその内容を伝え、通知書に記載の新しい標準報酬月額に基づいて社会保険料を計算し、給与から控除しましょう。

標準報酬月額の改定月は「産育休終了日の翌日が属する月から4か月目」となります。

【具体例】7月5日に復職した場合
・改定月:10月(7月から数えて4か月目)
・社会保険料変更:11月支給の給与から控除額変更

養育期間特例措置の手続きも忘れずに

産育休から復職した際に報酬月額変更届を提出して標準報酬月額が下がった場合、「養育期間の従前標準報酬月額みなし措置」を利用できることがあります。

この制度の適用を受けると、従業員が将来受け取る年金額が改定前の標準報酬月額で計算されます。

産育休明けの従業員には、報酬月額変更手続きと併せて養育期間特例措置についても説明し、セットで手続きを進めるとよいでしょう。

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  • この記事を書いた人

福島智美

研究の道から人事の世界に飛び込み、大手医療法人グループで長らく給与計算や社会保険手続きなどを担当する。社会保険労務士やFP2級、第1種衛生管理者の資格を有する事務スペシャリスト。事業会社の人事課長を経てRWCに参画。

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