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17.人事にまつわる事務手続き

育児休業中の社会保険料免除の手続き

2025年2月17日

育児休業中の社会保険料免除の手続きのアイキャッチ画像

育児休業を取得する従業員がいる場合、所定の手続きを行うことで、社会保険料の負担が免除されます。

この記事では、その手続きに必要な「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届」について、いつまでに、どこに、どのように提出すればよいのか解説します。

この記事は、協会けんぽに加入している被保険者向けの内容となっています。
他の健康保険制度に加入している場合の手続きについては、それぞれの保険者にお問い合わせください。

育児休業中の社会保険料免除手続きが必要なとき

従業員が育児休業を取得する際は、社会保険料の負担を免除するための手続きを行います。

具体的には、「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届」を提出することで、育児休業(育休)期間中の社会保険料が事業主負担分・従業員負担分とも免除されます。

この手続きが必要となるのは、以下の場合です。

  • 育休を開始したとき
    • 子が1歳に達するまでの育児休業(出生時育児休業(産後パパ育休)を含む)
  • 育休を延長したとき
    • 保育所に入所できない等の理由による、1歳から1歳6か月までの延長
    • 上記同様の理由による、1歳6か月から2歳までの再延長
    • 育児休業に準ずる措置による、1歳(上記の延長をした場合は1歳6か月または2歳)から3歳の休業
  • 育休を予定より早く終了したとき
    • 当初の予定より早く復職など
      ※終了予定日に育休を終了した場合は手続き不要
制度の概要はこちらから

育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届の提出期限

  • 育休を開始したとき
    • 育休の開始日から終了日の1か月後までの間に提出します
  • 育休を延長したとき
    • 延長した育休の開始日から、その終了日の1か月後までの間に提出します
  • 育休を予定より早く終了したとき
    • 育休が終了次第すみやかに提出します

育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届の様式

育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届の様式は、日本年金機構のホームページからダウンロードできます(PDFおよびExcel形式。リンクは次章を参照)。

開始・延長・終了いずれのケースも同じ様式を使用します。

育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届の作成

育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届を作成する際のポイントは、以下の通りです。

なお、記入方法の詳細は、日本年金機構のホームページに掲載されている記入例や、申出書の裏面に記載で確認できます。

育児休業を開始したとき

育休を開始した際は、以下の欄に必要事項を記入します。

  • 提出者記入欄
  • 共通記載欄

なお、同月内に複数回の育休を取得した場合は、上記に加え、「C.育休等取得内訳」欄の記入も必要です。

育児休業を延長したとき

育休を延長した際は、以下の欄に必要事項を記入します。

  • 提出者記入欄
  • 共通記載欄
    • 「⑩育児休業等開始年月日」と「⑪育児休業等終了(予定)年月日」欄には、最初に育休開始の申出を行った際の年月日を記入します。
      延長した育休の開始日・終了予定日を記入しないように注意しましょう。
  • A.延長欄

同月内に複数回の育児休業を取得した場合は、上記に加え、「C.育休等取得内訳」欄の記入も必要です。

予定より早く育児休業を終了したとき

育休を予定より早く終了した際は、以下の欄に必要事項を記入します。

  • 提出者記入欄
  • 共通記載欄
    • 「⑪育児休業等終了(予定)年月日」欄には、最初に育休取得の申出を行った際の終了予定年月日を記入します。
      繰上げ後の終了予定日を記入しないように注意しましょう。
  • B.終了欄

添付書類

育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届に添付する書類はありません。

育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届の提出先

管轄の日本年金機構事務センター、もしくは年金事務所へ、郵送や窓口持参で提出します。

また、電子申請による提出も可能です。

育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届を提出したあと

届出が受理されると、日本年金機構から以下の通知書が交付されます。

通知書を受け取ったら記載内容に誤りがないか確認し、内容を従業員へ通知しましょう。

  • 育休開始・延長時
    • 「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者確認通知書」
  • 育休終了時
    • 「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者終了確認通知書」

また、育休が終了した場合は、必要に応じて以下の手続きを行います。

  • 養育期間の標準報酬月額のみなし措置の申出
  • 育休終了時の標準報酬月額の改定

社会保険料の免除期間

この手続きを行うと、育児休業開始日の属する月から、育児休業終了日の翌日が属する月の前月までの社会保険料が免除されます。

ただし、以下の例外があります。

  • 給与に係る保険料
    • 同月内に14日以上の育児休業を取得した月は、その月の保険料が免除されます
      (例:6月5日~25日に育児休業を取得→6月分の保険料を免除)
  • 賞与に係る保険料の免除
    • 連続して1か月を超える育児休業を取得した場合のみ免除されます
      (例:6月20日~7月5日に育児休業を取得→6月に賞与の支払いがあっても、その保険料は免除されない)

給与や賞与を計算する際には、育休の取得者や復職者について、保険料控除の停止および再開が適切に行われているか必ず確認しましょう。

給与に係る社会保険料は1か月遅れで控除するため、保険料免除の開始月や控除の再開月には特に注意が必要です。

適切な手続きで育児休業中の従業員をサポート

育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届の提出は、会社と従業員双方の社会保険料が免除される重要な手続きです。

育休の開始時・延長時・早期終了時に漏れなく提出を行い、給与・賞与計算時の保険料控除を適切に管理することで、従業員が安心して育児に専念できる環境を整えましょう。

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  • この記事を書いた人

福島智美

学術の道から実務の世界に飛び込み、大手医療法人で賃金計算や社会保険事務を担当した後に、事業会社の人事課長を経て山口と共に起業。社会保険労務士、FP2級、東商ビジネス法務2級、第一種衛生管理者などの有資格者。

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