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大企業では得られない中小企業での実務経験
零細企業では、マンパワー不足のため、マルチプレイヤーとして働くことが多いです。一方、大企業では、分業制が進んでいるため、ひとつの業務について全体的に学ぶ機会が少ない傾向にあります。
たとえば給与計算業務の場合、零細企業では時間外集計や法定外控除の計算、給与支給額の送金処理、その後の会計記帳まで、一連の流れを経験することができます。
ところが大企業出身者の中には、職務経歴書に「給与計算業務」と書いてあっても、残業集計作業の経験しかなく、控除すべき社会保険料や源泉所得税を計算できないという人も、結構います。
そこで零細企業から大企業に転職したい場合は、零細ならではの強みをフルに活かすべく、転職を希望するポジションの業務を、浅くてもいいからひととおりマスターしておくとよいでしょう。
そして大企業の面接では、業務ボリュームの大きいフィールドで、自分のスキルをより深化させたいという意欲を、採用担当者にアピールすることで、志望動機に説得力をもたせることができますし、さらに業務関連資格を取得しておくと、選考で有利になります。
本当に大企業に就職するメリットはあるのか?
ただし大企業の新卒求人倍率が、人手不足の時代といわれつつも依然として1倍未満であるように、中途採用においても大企業への転職は狭き門です。
たしかに大企業は中小企業よりもネームバリューが高く、福利厚生が充実していますが、組織の歯車に徹しなければならない大企業よりも、なんでもこなさなければならない中小企業での経験の方が、いざという時に潰しが効くでしょう。
アメリカでは大学院を出た高度専門人材は、ほぼスタートアップに就職すると聞きました。彼らが言うには、せっかく高度專門知識を習得したのに、なぜわざわざ大企業に就職して組織の歯車になる必要があるのだ?とのことです。
そして最近のニュースでたびたび目にするのが、大企業で行われている中高年をターゲットにした大規模なリストラです。もはや大企業に就職すれば安泰などという時代ではありませんし、大企業の一般職ほど使えないキャリアはありません。
いざという時の本物のスキルを身につけたいのであれば、大企業=良い会社などという、大企業信仰は捨てましょう。むしろ私は「◯◯のプロです。」と胸を張ってPRできるようなキャリア形成を目指すべきです。