
給与計算のしくみ
給与の構造
給与計算とは、総支給額から控除額を差し引いた手取り額を、給料日までに従業員の指定する金融機関の口座に振り込む一連の作業をいう。これら給与計算の流れを理解するには、給与明細を見て、給与の構造を知ることが近道である。
給与計算の流れ
給与の構成をもう少し詳しく見ると、総支給額は固定給と変動給、控除額は法定控除と法定外控除で構成されている。なお給与計算は人事部で行うが、従業員の月々の勤怠実績のチェックと承認は店長の仕事である。さらに給与振込は経理部が担当するのが一般的である。
給与計算の標準的なスケジュールは下表のとおりとなっている。これは2025年1月25日に給与を支給すると仮定した場合の作業スケジュールだが、1月25日(土)は金融機関の休業日なので、1月24日(金)支給へ向けて、逆算して作業スケジュールを組み、関係者に周知する。
給与計算の手順
支給額の計算
固定給の主なものは基本給、役職手当、家族手当、住宅手当、通勤手当などである。これらは人事異動が無い限り、毎月の支給額は変わらない。よって給与計算ソフトでは固定給マスタデータとなっており、人事発令や従業員からの届出をチェックして、変更部分のみ更新する。
変動給は残業や休日出勤、深夜勤務に対する割増手当であり、月々の勤務実績に応じて変動するため、その都度、勤務時間を給与計算ソフトに入力して、支給額を計算する。なお遅刻や遅刻・早退の場合、固定給マスタは変更せずに、変動欄で控除(マイナス支給)する。
控除額の計算
法定控除は社会保険料や各種税金である。社会保険料のうち、健康保険料と介護保険料、厚生年金保険料は毎月同額なので給与計算ソフトでは社会保険マスタに登録し、雇用保険料と源泉所得税は、月々の算定基礎額に応じて変動するので、自動計算される仕様が一般的である。
法定外控除は法定控除以外のもので、代表的なものには財形貯蓄の積立金やiDeCoの掛け金などがある。法定外控除はなんでもかんでも給与天引きできるわけではなく、原則として法定控除に準じるものについて、労使協定を締結したうえで行わねばならない。
給与振込・給与明細の配布
手当の水増し支給などの内部不正を防止するため、勤怠承認は店舗で、給与計算は人事部で、給与振込は経理部でそれぞれ行い、3者がお互いにチェックする体制が理想である。かつて給与明細の手渡しは一苦労だったが、最近はWeb給与明細システムを使えば一瞬で終わる。
賃金台帳の調製
給与計算データは賃金台帳として、労働基準法にもとづき5年間(当面は3年間)保存することになっているが、賃金データは税法上の税務書類にも該当するため、税法に従って給与支給日から7年間保存しておくことが望ましい。
給与資金のまとめ
給与計算ミスが減らない理由
給与計算ミスが多い会社の特徴は、幹部がその場の思いつきで規程外の手当を乱発している、手当の支給基準が曖昧、勤怠締め切りのスケジュールが守られていない、部下の勤怠を適正に管理できる所属長が育っていないなど、会社の人事管理そのものが杜撰であることが多い。
こういった給与計算のルールや仕組み、所属長教育の不行き届きなどの責任は全て経営者にある。そこをスルーして給与担当者だけを責めても給与計算ミスが減るはずもない。給与計算ミスが減らないと嘆く経営者は、まず自社の人事制度の見直しと幹部の再教育を考えるべき。
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