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019 事務手続

【歯科クリニック向け】昇給・手当変更の後、月額変更届の提出を忘れていませんか?手続きの流れを完全解説

焦って書類を書く白衣の男性のイラスト

ご存知ですか?給与改定時に必要な手続き

歯科クリニックの院長先生は、日々の診療に加えて、スタッフの管理や経営判断など、多岐にわたる業務を抱えていらっしゃることでしょう。

中でも給与計算は毎月発生する作業で、大変だと感じている方も少なくないのではないでしょうか。

さて、昇給や手当の変更など、スタッフの給与に変動があった際、「月額変更届」という手続きが必要になることをご存知でしょうか?

この手続きを忘れてしまうと、スタッフの将来の年金額に影響が出たり、後から社会保険料の差額徴収が発生したりと、思わぬトラブルが発生する可能性があります。

なぜ昇給(降給)・手当変更時に届出が必要なのか?

月額変更届は、正式には「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届」といい、社会保険料の正確な算定のために欠かせない手続きです。

社会保険料算定の仕組み

社会保険料は、給与額に応じて決められる「標準報酬月額」を基に計算されます。

通常、この標準報酬月額は年に一度、7月に提出する「算定基礎届」によって見直しが行われます。

しかし、年に一度の見直しでは、給与に大幅な変動があった場合に実態と大きく乖離してしまいます。

そこで月額変更届によって標準報酬月額を見直し、適正な社会保険料を確保する仕組みになっています。

標準報酬月額や報酬の定義はこちら

届出を怠った場合の具体的なリスク

歯科クリニック側への影響

  • 本来納めるべき社会保険料との差額を遡及徴収される
  • スタッフへの説明や手続きのやり直しなどの負担が生じる

スタッフ側への影響

  • 将来の年金額計算に影響が出る可能性がある(年金額が正しく計算されず、不利益を被る恐れ)
  • 傷病手当金や出産手当金の支給額に影響が生じる

月額変更届が必要になる3つの条件

以下の3つの条件を全て満たす場合、月額変更届の提出が必要になります。

  • 毎月固定的に支給される賃金(昇給、降給、手当の新設・廃止など)に変動があった。
  • 固定的賃金に変動があった月から3ヶ月間の報酬を平均した額に該当する標準報酬月額と現在の標準報酬月額との間に、2等級以上の差がある。
  • 給与の支払基礎日数が3ヶ月とも17日以上ある。

なお、以下のケースは、月額変更届の提出は不要です

  • 勤務実績に応じて支給される残業(時間外)手当など、非固定的賃金の変動により標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合。
  • 固定的賃金は上がったが、変動後3ヶ月の報酬の平均額に該当する標準報酬月額は従前より下がった場合(固定的賃金が下がり、標準報酬月額が上がった場合も対象外)。

月額変更届の提出方法と手続きの流れ

提出期限

月額変更の要件を満たすことが確定次第、速やかに提出します。

提出先

クリニックの所在地を管轄する日本年金機構事務センターもしくは年金事務所へ、郵送もしくは窓口持参で提出します。

健康保険組合(東京都歯科医師健康保険組合など)に加入している場合は、年金事務所に加え、ご加入の健康保険組合にも算定基礎届を提出する必要があります。

また、電子申請による提出も可能です。

必要書類

基本的には「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届」のみで、特別な添付書類は不要です。

年間報酬の平均で算出する特例を申し立てる場合は、所定様式の添付が必要です。
随時改定の際、年間報酬の平均で算定するとき(日本年金機構)

月額変更届の様式と記入方法

月額変更届の様式は、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。

記入すべき主な項目

  • 事業所整理記号・事業所番号、事業所所在地・名称
  • スタッフの被保険者整理番号・氏名・生年月日
  • 賃金の改定年月
  • 従前の標準報酬月額とその改定月
  • 各月の給与計算の基礎日数・報酬月額(固定的賃金の改定月から3ヶ月分)
  • 3ヶ月分の報酬の総計と平均額

月額変更届の知っておくべき注意点とポイント

4月に昇給(降給)した場合

4月に昇給(降給)して月額変更届を提出するスタッフについては、同年の算定基礎届の提出が不要になります。

歯科医師国民健康保険組合に加入している場合

国民健康保険組合に加入している場合でも、厚生年金に加入していれば月額変更届の手続きが必要です。

時給や日給のスタッフ(パート・アルバイトなど)の取扱い

時給・日給の単価や所定労働日数・所定労働時間の変更も、固定的賃金の変動があったとみなされます。

固定的賃金の変動以外の2つの要件も満たすようなら、月額変更届の手続きを忘れずに行いましょう。

日々の事務を専門家に任せて、診療に集中しませんか?

ここまで月額変更届について説明してきましたが、「手続きが複雑で面倒」「判断に迷う」と感じた院長先生も多いのではないでしょうか。

しかし、月額変更届を始めとする社会保険の手続きは、スタッフが安心して働ける環境を守る重要な手続きです。

当事務所では、院長先生が本来業務に専念できるよう、給与計算から社会保険手続きまで労務管理全般をサポートいたします。

「手続きが合っているか不安」「クリニックの状況を相談したい」といったお悩みも、お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちらから

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  • この記事を書いた人

福島智美

文学研究者(文学修士)から人事業界に転身。慢性期病院で給与計算や社会保険事務を担当後、リハビリ病院開設を経験。転職して山口の部下になった縁で共に起業。社会保険労務士試験合格。親族に歯科医師や薬剤師など多数。

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