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01_雇用管理

就業規則

2024年9月4日

就業規則アイキャッチ

就業規則が無ければ業務命令できない!?

就業規則の作成義務

労働基準法は、常時10人以上の労働者を使用する事業主に対し、就業規則を定め、過半数労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の意見書を添えて、事業所を所轄する労働基準監督署に届け出ることを義務付けている(違反者には30万円以下の罰金刑)。

業務命令権の法的根拠

就業規則の作成は事業主の義務だが、適法な就業規則は労働法令に準ずる効力を有し、使用者のみならず労働者も就業規則に従う義務が生じる。また常時10人未満の事業所であっても、労働者に対する業務命令や懲戒処分を行うには、就業規則が必要となる。

就業規則に記載すべき事項

就業規則になにを定めるか?

就業規則に規定すべき事項には、必ず明記しなければならない絶対的必要記載事項、ルールがあれば規定しなければならない相対的必要記載事項、記載するか否かは事業主の任意とする任意的記載事項の3つがある。

絶対的必要記載事項

  • 労働時間に関すること
  • 賃金に関すること
  • 退職に関すること

相対的必要記載事項

  • 退職手当に関すること
  • 賞与および最低賃金に関すること
  • 労働者の費用負担に関すること
  • 安全衛生に関すること
  • 職業訓練に関すること
  • 災害補償や私傷病の扶助に関すること
  • 賞罰に関すること
  • その他全ての労働者に適用されるルール

任意的記載事項(一例)

  • 昇進昇格に関すること
  • 人事評価に関すること
  • 福利厚生に関すること
  • その他

就業規則の作成方法

就業規則作成の基本ステップ

  1. 素案の作成
    就業規則の素案づくり(厚生労働省のモデル就業規則を使うと便利)
  2. 法定記載事項のチェック
    労働契約法や労働安全衛生法などとの照合(社労士に依頼するのが安全)
  3. 役員会の承認
    他の役員に就業規則の内容について承認を得ておく
  4. 意見書の取得
    過半数労働組合もしくは過半数労働者の代表者から意見書を取得する
  5. 所轄労働基準監督署への届出
    就業規則届、就業規則、労働者の意見書の3つを所轄の労基署へ届出する
  6. 全ての労働者への周知
    説明会や研修会をセットして、就業規則の内容についてしっかり周知する
  7. 就業規則を職場に備え付ける
    全文を全労働者がいつでも閲覧できるようにする(違反は30万円以下の罰金)

就業規則を変更する場合

就業規則は、法改正や社会経済情勢の変化にあわせて、定期的にアップデートすることが望ましいが、就業規則の内容を労働者の不利に変更することは、原則として次の4つの要件を満たさない限り認められないので要注意(変更時も就業規則作成と同じ手順が必要)。

  • 労働者の不利益の度合いが許容できるものであること
  • 就業規則を変更しなければならない必要性が認められること
  • 変更後の就業規則の内容の相当性が認められること
  • 就業規則の変更について労使間でしっかり協議されていること

就業規則のまとめ

就業規則のメリット

冒頭で述べたとおり就業規則は法令に規定された事業主の義務であり、業務命令権などの根拠となる法的規範性を有するものだが、それら以外にも就業規則を定めることで、適正な勤怠管理、公平な人事評価、効果的な人材育成などを行いやすくなるメリットがある。

かつて筆者が1,000人規模の事業所の就業規則をイチから作り直した時に参考にした「なぜ就業規則を変えると会社は儲かるのか?(下田直人著)※廃盤)という書籍に、経営が上向くような就業規則作成のポイントが列挙されていたので、参考までにご紹介しておきたい。

  • 自社における従業員の働き方、休みの取り方、賃金のもらい方、辞め方などのルールが明確になっていること
  • 就業ルールに関する問い合わせに対して、上司や人事部、経営者が時間を取られることが無いものであること
  • ルールが不明瞭であるために、社員の間に不安が広がり、優秀な従業員が離職してしまわないものであること
  • 問題従業員が入社してしまった場合には、速やかに会社から去ってもらうことができるようなものであること
  • 従業員として取るべき行動、取ってはいけない行動が明確で、自社のブランド化に貢献できるものであること
  • どう働けば、どう報いられるのかを明確にし、会社と従業員が目指すゴールを合致させられるものであること

おすすめの書籍

前述の下田直人さんの近著。下田さんは社労士でもあり、20年以上にわたって人材育成や組織開発などの領域を探求し続けており、就業規則に関する著作が多い。近年は労働基準法の改正が続いているため、最新版の実務書で自社の不備や漏れをチェックしておきたい。

時代遅れの自社の人事制度に対し、なんらアクションしない人事部に対する不満を感じているサラリーマンが多い…というWebニュースの記事をみかけたが、「ニーズを汲み取る企業に優秀な人材は定着する」とはまさに言い得て妙。人事部門の方は絶対に読むべき。


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  • この記事を書いた人

山口光博

RWC合同会社/社労士事務所代表。社会保険労務士、日商販売士1級、建設業経理士1級ほか。コンビニ店長やスーパーの販売課長を経て、三十路で人事畑に転身。事業再生法人や上場準備企業で人事制度の再建に携わった後に起業。

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