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コンサルが入っても倒産してしまう会社、新潟鉄工で実感した限界(DIAMOND onine/2024.01.27)

2024年2月13日

経営コンサルタントの限界

この記事の要旨は「経営コンサルタントが関与しても倒産してしまう会社もある。経営コンサルタントは社外の人間ゆえに、関与先の内部事情にどこまで口を挟むか躊躇する場面も少なからずあり、ここに経営コンサルタントの限界がある。」というものです。

そのため社外から間接的にしかクライアントに関与できない経営コンサルタントの仕事に物足りなさを感じ、思い切って顧問先に転職して、社内の当事者としてコアな経営課題にチャレンジしたいと考える経営コンサルタントは多い、と何かの本で読んだことがあります。

また、経営コンサルタントといえども営業職なので、よほど高名な経営コンサルタントでない限り、不用意な発言によって顧客の気分を害し、契約を打ち切られたらどうしよう、といった心理が働いて、思い切ったコンサルティングができないケースもあるでしょう。

社内にいることで改善が進まなくなることもある

ところで私の場合は全く逆で、社内にいるがゆえに自分が本来やるべき仕事に注力できなかったり、自分の強みを発揮できなかったりしたことが度々あったために、社内のしがらみに囚われない外部の専門家として様々な経営課題に関わりたい、と考えるようになりました。

それは過去に勤めた職場では、私が「この会社の人事制度を立て直すのだ。」などと意気込んで入社しても、既存の社員たちは「面倒な雑用を新人に押し付けることができるぞ。」といった程度の認識しかなかったため、事あるごとに衝突して嫌気が差していたからです。

なぜこのような認識の食い違いが起こるのか?というと、それは私に協調性や謙虚さが無いからだ…などといった低次元な話などではなく、多くの日本の会社が、未だに昭和チックなメンバーシップ型雇用と適材適所人事をダラダラと引きずっているからです。

中途の即戦力を潰す日本の職場

メンバーシップ型雇用とは能力よりも人柄重視で採用を行うこと、適材適所人事とはまず人物ありきで後から恩賞的に職位や担当を割り付ける日本特有の慣行です。

このような人事制度の下では中途採用を行う目的が曖昧であり、中途採用者がどんな役割を担うために入社してくるのか?といったことが、事前に社内できちんと共有されていないことが多いため、前述のような認識の齟齬が生じやすいのです。

また即戦力を中途採用しても「最初は低い役職からスタートさせ、当面の働きぶりをみて今後の処遇を考える」などといった古い考え方の経営者も少なからず存在するため、役割に見合った権限が与えられず、不毛なマウント合戦で尾羽打ち枯らしてしまうこともあります。

さらに「郷に入れば郷に従え」といった閉鎖的な同調圧力が強い職場では、有能な人材であっても、古参達に足を引っ張られているうちに薹が立って、毒にも薬にもならない無能な人に成り下がってしまった、というような事例は、日本の職場において枚挙に暇がありません。

弊社がオンラインコンサルティングにこだわる理由

話は変わりますが、弊社はオンラインでの人事コンサルティングに特化しています。なぜ対面ではなくオンラインにこだわるのか?という理由についてはいくつかありますが、その主なものを2つご紹介すると、次のとおりです。

まず、人事コンサルティングは、方向性を誤ると有能な人材の離職を招いたり、社内不安を煽って労使紛争に発展するリスクが高いため、密室で慎重に進められることが一般的です。

特に弊社が得意とする中小のリテーラーは、事務所に店舗が併設されていることが多く、機密保持の難しさから、オンラインにした方がなにかと都合が良いのです。

2つ目の理由は、対面でのコンサルティングとなると営業エリアが限定されてしまい、その地域の商慣習や地縁のしがらみに囚われて、弊社の強みや持ち味を発揮しづらくなるからです。

コンサルティングの質において競合先との明確な差別化ができなくなると、やがてクライアントから相見積もりを要求されて不毛な価格競争に巻き込まれてしまうことになり、弊社の経営理念とは程遠いチープなビジネスになってしまう恐れがあります。

人事コンサルティングの成否を握る要素とは?

人事コンサルティングの成否は、人事マネジメントの知見やコンサルティングスキル次第であることは論を俟ちませんが、人事コンサルティングは経営の根幹に関わる領域なので、クライアントとコンサルタントの相性も非常に大切です。

特に人事制度改革は、クライアントとコンサルタントが心をひとつにして一枚岩とならねば貫徹できませんので、弊社では、弊社と価値観を共有できそうなクライアントに限定して、依頼を引き受けさせて頂いております。

「客を選り好みしていたら商売なんかできるわけない。」という意見もありそうです。しかし今やオンラインで日本全国の見込み客にアプローチできますので、弊社を必要としている経営者に対して、弊社が得意なやり方で、弊社らしいサービスを提供することができます。

最後は話の本筋から脱線してしまいましたが、今回は私がコンサルティング起業した事情と、コンサルティングに対する弊社の考え方について、少しばかり説明させて頂きました。

  • この記事を書いた人

山口光博

コンビニの店長やスーパーの販売課長を経て、31歳の時に管理畑に転職する。以後、20年以上にわたってあらゆる人事マネジメントの実務に携わる。上場準備企業の人事部長として人事制度改革を担当した後に独立、現在に至る。

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