デンマーク式会議術とは?
特に年配のサラリーマン諸氏にぜひ読んで頂きたい記事ですが、参考までにこの記事のエッセンスをサマライズすると次の3つになります。
国際的に日本の労働生産性が低いことは周知の通りですが、デンマーク人の会議に対する生産的な考え方に共感すると同時に、古くから日本の職場において教育されてきた人間関係や職場の和についても、考え直す時期に来ているのだと痛感させられた内容でした。
日本の会議の稚拙さは絶望的
私もこれまでにいくつかの職場で、たくさんの会議に出席してきましたが、日本の職場における会議のほとんどは、絶望的なくらいに生産性が低く、日本特有の稚拙な会議のやり方こそ、日本の職場の労働生産性が向上しない主な要因のひとつであると考えています。
例をあげるときりがありませんが、目的のよくわからないダラダラ会議、最初に資料を回覧すれば済みそうな偉いさんの独演会、恐らく誰も読み返さないであろうと思われる議事録をせっせと板書させられる若手社員、そして会議が終わっても何も変わらない職場等々…。
日本の会議は、はじめに結論ありきの予定調和を確認する儀式のようなもので、もし本気で議論でも始めようなら、面倒くさいヤツ、協調性のないヤツ、場の空気を読めないヤツなどというレッテルを貼られて、次回からは会議に呼ばれなくなるのがオチです(経験者談)。
会議の生産性を高めるポイント
そこでご紹介した記事に付け加える形で、私がこれまでに実践してきた生産性の高い会議のポイントをいくつか列挙してみたいと思います。
会議の目的とゴールを明確にする
その会議は議論したいのか?周知したいのか?同意を求めたいのか?など、まず会議の目的を明確にしましょう。そしてダラダラ会議をしないために、会議の終了時間と、会議終了までにどのような状態になっていればよしとするのか、ゴールを決めておくことが重要です。
適切なメンバーを選定する
会議で具体的な成果を出すために、議事ごとに誰が会議のメンバーとして適任なのか、人選を誤らないようにしましょう。日本では会議の間、一言も発しない人は少なくありませんが、何も発言することが無いということは、そもそも議題に対して関心も無いということです。
資料は事前に読み込んでから出席する
会議の当日になってから資料を配布して、資料の読み合わせから会議を始めるような前時代的な職場は、いずれ市場競争に敗れて淘汰されると思った方がいいでしょう。会議は議論の場ですから、事前に資料を読み込み、質問や確認事項を整理してから参加するのが基本です。
議論と人格を混同して感情的に対立しない
とかく日本人は権威に弱いですが、その最たるものが会議の席で「相手が何を言っているか」より「誰が言っているのか」によって態度を変える輩です。また誰かから反論されると、相手を逆恨みしてライトファイト(健全な議論)を封殺してしまう未成熟な人も多いです。
議論を可視化して論点に集中させる
日本人は学校教育の過程で論理的に思考する訓練を受けていないので、会議になると議論が脱線したり、会議室の隅っこで別の議論を始めたりする人達が現れますが、こういった時はホワイトボードで議論を可視化することで、論点にメンバーの意識を集中させられます。
発言録ではなく議事録を記録する
誰がどのような発言をしたのか?ということを逐一記録する人がいますが、議事録とは、議題に対してどのような議論が行われ、その結果、どのような結論に至ったのか?という要点を簡潔明瞭にまとめ、会議後のTODOに反映させたり、後日の蒸し返しを防ぐことが目的です。
会議終了後のTODOを明確にする
会議で決めたことを、会議終了後にすみやかに実行するためのTODOを明確にし、出席メンバーに対してきちんとアサインしましょう。もし議事が次回の会議に持ち越されるのであれば、解散する前に次回の会議の議題と、各メンバーに課す宿題も決めてしまいましょう。
日本でいう「職場の和」など薄っぺらい
日本の会議のダメさ加減と、今回紹介したデンマーク人の人間関係や社会性に対する考え方を比べてみると、普段多くの日本の職場で口うるさく言われている人間関係や職場の和というものが、いかに薄っぺらく無味乾燥なものであるかがよくわかります。
そうはいっても、日本人のサラリーマンの多くは、理屈よりも感情で行動習慣が左右される傾向が強いため、従業員に対してデンマーク式の人間関係や社会性を説くよりも、「みんなも忙しいだろうから」などと説明して、まずは会議のやり方から変えてみましょう。
会議は組織的に仕事を進めてゆくために不可欠なコミュニケーションですが、会議のやり方をガラリと改めることで、会議の前後の作業プロセスも自然と矯正されますので、日常の仕事のやり方も生産的になってゆくのではないかと期待しています。